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本物かどうかなんて関係ない!ブランド大好きアジア人?!
キャリアアドバイザー伊能あやめの見聞録Case38

生活関連

2025.08.27

20XX年。
少子&超高齢社会を迎えた日本。
国内企業は、人材不足解消のため外国人材の活用に活路を見出していることだろう。

しかし、外国人材の活用については、労働環境の整備や異文化理解・コミュニケーションなど、課題であふれている。

果たして、企業が外国人労働者から選ばれるには?

本コラムは、外国人材の背景にある“異文化”への理解の第一歩として読んでいただきたいノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能あやめの見聞録Case38
本物かどうかなんて関係ない!ブランド大好きアジア人?!

私、伊能あやめは、日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。

日頃は外国人材を雇用する企業や雇用される外国人の皆さんをサポートするキャリアアドバイザーとして、メンバーとともに全国各地で起こる珍事を紐解き、解決しているのだが(これまでの「青山智香の解明」はこちら)、現在、弊社ではベトナム、インドネシアなど外国人材市場の開拓にも力を入れており、海外での業務も増えてきた。

今回は、ベトナム出張に際して、見聞き、体験した記録を紹介していきたいと思う。

ベトナムの市場は偽造品だらけ!

ベトナムの市場を歩いていると、実に多くのブランド品が並んでいることに気づく。GUCCIやPRADAといった欧米の高級ブランドから、NIKEやUNDER ARMOURといったスポーツブランドまで、数えきれないほどだ。店頭にはそうした商品が所狭しと並び、定価であれば何万円もするようなアイテムが、1万円をゆうに下回る価格で販売されている。

しかし、これらの大半は偽造品(模造品?)だ。遠目にはそれらしく見えるが、近くで確認したり実際に身に着けてみたりすると、縫製の甘さや素材の質感など、明らかに本物とは異なる点が多く見受けられる。ロゴやタグも一見して本物に近いが、細部において粗雑さが目立つ。

ダナンの市場で買ったナイキのスポーツウェア。
見た目はソレっぽいが全然汗を吸わず…すこぶる不快な着用感だ。


では、なぜこのような偽造品がこれほどまでに出回っているのか。言うまでもなく、そこに一定のニーズがあるからだ。ベトナムに駐在している同僚によれば、ベトナム人は「見栄を張る」傾向があるそうだ。つまり、重要なのは物の真偽ではなく、周囲からの評価やステータスを得ることなのだ。

実際、特定技能や技能実習生として来日するベトナム人の若者たちが、入国直後で金銭的余裕などなさそうなのに、ブランド品と思しき物品を身につけている姿は割とよく目にする。

この点、市場であまりに品のない数多の偽造ブランド品を目にして、妙に納得がいった。何もベトナムだけではないだろうが、こうした価値観を背景にそれなりに需要が発生し、インチキ&フェイク品が並ぶ市場が成立するのであろう。

なぜアジア人はブランド物を好むのか?

昨今、経済成長を遂げた多くのアジア人がブランド品を好んで身につけていると聞く。高級ブランドのバッグや財布を持つ人は珍しくなく、それは中高生といった若年層にも広がっているようだ。

「ブランド品」と言ってもその範囲は身の回りの生活用品から自動車まで多岐にわたる。アジア人のブランド志向の中心にあるのは、Louis Vuitton、CHANEL、Hermèsなどの高級ブランドだ。

ブランド志向の根底には、必ずしも商品の品質や実用性だけではなく「他者からどのように見られるか」という意識が大きく影響しているように思われる。



こうした性質を紐解くには「木を見る西洋人 森を見る東洋人思考の違いはいかにして生まれるか リチャード・E・ニスベット (著) 村本 由紀子 (翻訳) 」を一読するのが良いだろう。この著書では“西洋的な個人はあくまで個人として重要であり、東洋的な個人は社会の一員として重要である”といった、東洋と西洋における価値観の相違が説かれている。

つまり何が言いたいかというと、アジア社会に根付いた集団意識は高級ブランドの購買動機として「『有名だから』『皆が所有しているから』そうした物を自分も持たねば不安になる」という心理を無意識に働かせてしうまうのだ。
対して、欧米におけるブランド品の扱いは「高価でも長く使える品物」として捉えられ、耐久性やデザインの完成度といった要素で選ばれ、時にはそれを子や孫の世代へと受け継ぎ、資産の一部とする側面もある。



もちろん、全ての東洋人、欧米人がこれに当てはまるとは言わない。だが、こうしてみると、同調圧力の強い文化において”ブランド”は単なる商品以上の役割を果たしていることがわかる。
その一例に、中高生など自我や価値観の確立していない子どもたちが、いわゆる“ブランド物”を持つことで安心感、自己肯定感、時に優越感を得ようとする。この依存症状は「他者からの見え方=見栄」の要求、さすれば「虎の威を借る狐」の現れであろう。



さて。ところで私には、こうしたアジア人特有のブランド志向は、自己の内面を高める努力を疎か(おろそか)にする危険性をはらんでいるように思えてならない。

例えば、外見に対する過剰な執着の行き着く先は美容整形だ。整形を繰り返す人々は残念ながら価値基準を自分の外に置いてしまっている。また悪いことに、そうして出来た顔はSNSによって拡散され、“基準”となり、同じような顔をした人が量産されてしまう。

ブランド品を持つことも美容整形に勤しむことも決して否定はしない。だが、そこに過度な意味を見出すことは、自分のオリジナルな価値を見失いかねない危うさがある。同時に内面を磨くことを忘れた空っぽな人々は、ブランドに着られているだけの“偽物”に成り下がってはいないだろうか。翻って、美容整形に本人の満足以上の価値が見出されることもない。

真に成熟した社会とは、人を身につけているものや容姿、人種、性別、国籍といった外見で評価せず、内面の豊かさを認め合う社会だと思う。




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