【完全版】永住権申請ガイド|必要書類や条件・注意点などを解説
2025.08.13
日本での安定的かつ長期的な生活を望む外国人にとって、「永住権」の取得は大きな目標の一つです。
永住権を得ることで在留期間の更新が不要になり、職業選択の自由度も格段に向上します。
しかし、その申請は要件が厳しく、準備すべき書類も多岐にわたります。
本記事では、2025年の最新情報に基づき、永住権申請の基本的な条件から、日本人配偶者や高度人材向けの特例、具体的な必要書類、申請手続きの流れ、そして審査における注意点や永住権取り消し事由まで解説します。
CONTENTS
1.永住権(永住許可)とは?
「永住権」と「永住ビザ」の用語解説と法的な位置づけ
一般的に「永住権」と呼ばれるものは、法的には日本の在留資格の一つである「永住者」を指します。なお、「永住ビザ」という名称の査証(ビザ)は日本には存在せず、在留資格「永住者」の通称として使われることが多いようです。 この「永住者」の資格は、出入国管理及び難民認定法に定められており、永住許可は法務大臣の広範な裁量によって判断されます。
永住権取得による主なメリット4選
- 1. 在留期間の更新手続きからの解放
永住権を取得すると、在留期間が無期限となり、数年ごとの更新申請が不要になります。これにより、更新申請の準備や審査待ちのストレスから解放されます。ただし、在留カードの有効期間更新(7年ごと)が必要です。 - 2. 職業選択の自由度の大幅な向上
永住者は在留活動に制限がなくなり、原則としてほとんどの職業に就くことが可能です(公序良俗に反しない限り)。起業や副業、アルバイトも自由に行え、転職時の在留資格変更手続きも不要となります。 - 3. 社会的信用の向上
永住者としての資格は日本に長期的に定住する意思が公的に認められるため、社会的信用度が高まります。住宅ローンや事業資金の融資審査で有利になるほか、クレジットカードの作成や賃貸契約もスムーズに進みやすくなります。 - 4. 家族(配偶者・子)の在留資格取得・更新の円滑化
永住者の配偶者や子は、「永住者の配偶者等」という在留資格を取得しやすくなり、家族が日本で安定して生活するための基盤が強固になります。さらに、永住者の実子が日本で出生した場合、永住許可申請の特例もあります。
「永住者」と「帰化」「特別永住者」の違い
- ● 永住者:外国籍のまま日本に無期限に在留できる権利であり、在留活動の制限はありません。
- ● 帰化:日本国籍を取得し、法律上日本人となることで、原則として元の国籍は喪失します。
- ● 特別永住者:戦前から日本に居住していた旧植民地出身者とその子孫に与えられる特別な永住資格で、入管特例法に基づきます。
このように、それぞれ法的根拠や権利・義務、手続きに違いがあります。

2.永住権取得のための基本条件
永住権取得のための基本条件
日本で永住権を取得するためには、入管法第22条2項に規定された基本的枠組みと、法務省が公表する「永住許可に関するガイドライン」に基づく3つの主要な要件をすべて満たす必要があります。これらは永住許可審査の根幹を成し、慎重に評価されます。
要件1:「素行が善良であること」(素行善良要件)
申請者は日本の法律を遵守し、社会的に非難されるような行為をしていないことが求められます。具体的には、過去に懲役や禁錮、罰金刑を受けていないこと、少年法による保護処分が継続中でないことが挙げられます。また、交通違反(軽微なものを除く)の回数や内容も審査対象となります。さらに、資格外活動違反や不法滞在などの入管法違反もないことが必要です。
要件2:「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」(独立生計要件)
申請者は公共の負担にならず、自立した安定的な生活を送れる経済的基盤を持っている必要があります。この基準は世帯単位で審査され、将来にわたり安定した生活が見込まれることが求められます。具体的な目安としては、単身者で年収約300万円以上が基準とされ、扶養家族の数に応じて加算されます。預貯金や不動産の所有状況も審査に考慮されることがあります。
要件3:「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」(国益適合要件)
申請者の永住が日本社会や経済にとってプラスになると認められなければなりません。この要件には、以下のような項目が含まれます。
- ● 継続して10年以上の日本在留と就労・居住期間
原則として、申請者は連続して10年以上日本に在留している必要があります。そのうち直近5年以上は就労可能な在留資格(例:技術・人文知識・国際業務)や居住資格(例:日本人の配偶者等)で在留していることが求められます。
「継続して」とは、在留資格が途切れず、長期の海外出国がない状態を指します。なお、「技能実習」や「特定技能1号」の期間はこの就労期間に含まれません。 - ● 罰金刑・懲役刑の有無と公的義務の履行
罰金や懲役刑を受けていないことが前提です。加えて、納税義務(住民税・所得税など)や公的年金、医療保険料を適切に納付し、入管法に定められた各種届出義務(住所変更届など)を怠っていないことも重要です。 - ● 在留資格の最長在留期間の保有
原則として、現在保有している在留資格における最長の在留期間で在留していることが求められます。ただし、当面は3年の在留期間があればこの要件を満たすものとされます。 - ● 公衆衛生上の有害となるおそれがないこと
感染症法に定める一類感染症、二類感染症、指定感染症の患者でないこと、また麻薬や覚醒剤などの中毒者でないことが求められ、日本社会の公衆衛生に悪影響を及ぼさないことが条件となります。
このように、永住権取得には法律面、社会的義務、経済的基盤など多面的な要件があり、これらを全てクリアする必要があります。また、審査は法務大臣の裁量によって行われるため、申請準備には慎重な対応が求められます。

3.永住権取得における「原則10年在留」の特例条件
永住権取得における「原則10年在留」の特例条件
永住許可の基本的な要件の一つである「原則10年以上の日本在留」には、一定の条件を満たす場合に特例が認められています。主な特例条件は以下の通りです。
1. 日本人・永住者・特別永住者の配偶者またはその実子の場合
配偶者の場合:実体のある婚姻生活が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上日本に在留している必要があります。また、実子等の場合は引き続き1年以上日本に在留していることが条件となります。
なお、この場合は「素行が善良であること」「独立の生計を営むこと」の要件が緩和されますが、「国益適合要件」(納税義務や年金等の公的義務の履行)は引き続き厳しく審査されます。
2. 在留資格「定住者」で5年以上継続して在留している場合
「定住者」の資格で引き続き5年以上日本に在留していることが求められます。この場合も素行善良要件や独立生計要件、国益適合要件(ただし10年在留要件は除く)は通常通り審査されます。
3. 難民認定を受けている場合
日本で難民認定を受けた後、引き続き5年以上日本に在留している必要があります。他の要件についても通常通り審査が行われます。
4. 日本への顕著な貢献が認められる者
外交、社会、経済、文化などの分野で日本への貢献が特に顕著であると法務大臣が認めた場合、5年以上の在留で永住申請が可能となることがあります。具体例としては、ノーベル賞受賞者、スポーツでの国際的活躍者、学術研究で顕著な功績を残した者などが挙げられます。ただし、該当するケースは非常に限定的です。
5. 高度専門職ポイント制度利用者への優遇措置
- ● ポイント70点以上の場合:高度専門職としてポイント70点以上を獲得し、3年以上継続して日本に在留している場合、永住許可の申請が可能になることがあります。
- ● ポイント80点以上の場合:ポイント80点以上を獲得し、1年以上継続して日本に在留している場合は、より早期に申請できる特例が適用されます。
※いずれも永住申請日に遡って3年前または1年前の時点でポイント計算し、基準を満たしている必要があります。
このように、永住権取得のための「原則10年在留」ルールには多様な特例が設けられており、申請者の状況に応じて緩和措置が適用される場合があります。該当する場合は、これらの特例を活用して申請を検討すると良いでしょう。

4.永住権申請の手続き方法
永住権申請の手続き方法
1. 必要書類の準備と申請書作成
まず、自身の状況に応じて必要な書類をリストアップし、収集します。代表的な書類には、パスポート、在留カード、納税証明書、住民票、所得証明書、理由書などがあります。
永住許可申請書には正確に情報を記入し、理由書など作文が必要な書類は丁寧に作成しましょう。
2. 地方出入国在留管理局への申請提出
申請は、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署の窓口で行います。近年では条件によりオンライン申請システムを利用できる場合もありますが、基本は窓口申請が中心です。
3. 審査と結果通知
提出された書類をもとに入管庁で審査が行われます。審査期間中に追加書類の提出や面談を求められることもあります。審査結果は郵送(通常はハガキ)で通知されます。
4. 許可時の手数料納付と在留カードの受領
永住許可が下りたら、指定された期間内に入管庁に出頭し、手数料を収入印紙で納付します(2025年4月1日以降は8,000円から10,000円に引き上げられる可能性があります)。その後、新しい「永住者」の在留カードが交付されます。
申請を行うべき適切な時期と注意点
- ● 永住許可の申請は、原則として「原則10年の在留」など期間要件を満たしてから行います。
- ● 期間要件到来の2ヶ月前ごろから申請できる場合があり、審査期間を考慮して早めに準備するのが望ましいです。
- ● 現在の在留資格の在留期間満了が近い場合は、永住申請と並行して在留期間更新許可申請を行うか、先に更新申請を済ませる必要があります。
- ● 永住申請中に在留期間が満了すると不法滞在(オーバーステイ)となり、非常に厳しいため注意が必要です。
申請者の範囲
- ● 申請者本人が原則です。
- ● 16歳未満の場合は親権者や成年後見人などの法定代理人が申請します。
- ● 弁護士や行政書士、承認を受けた企業・受入れ機関の職員などの申請取次者を通して申請することも可能です。
申請書類の提出先
- ● 申請は、申請者の住民票上の住所地を管轄する地方出入国在留管理局(支局または出張所)に提出します。
- ● 勤務先所在地の管轄局ではなく、住居地の管轄局に提出する点に注意が必要です。
- ● 管轄局は出入国在留管理庁の公式ウェブサイトで確認できます。
審査期間と近年の傾向
- ● 入管庁の公表している標準処理期間は約4ヶ月ですが、申請件数の増加や審査の厳格化により、6ヶ月から1年以上かかるケースもあります。
- ● 特に大都市圏の入管局では審査期間が長くなる傾向があります。
- ● 書類不備や追加資料の提出が必要になると、さらに審査期間が延長されるため、提出書類は慎重に準備しましょう。
このように、永住権申請は準備から審査、許可後の手続きまで一連の流れを踏んで進める必要があります。十分な準備と注意をもって申請に臨みましょう。
5.【共通・在留資格別】永住権申請の主要な必要書類
ここで「【共通・在留資格別】永住権申請の主要な必要書類」のポイントをまとめます。
1.全ての申請者に共通する基本書類
- ● 永住許可申請書
- ○ 出入国在留管理庁の公式サイトから最新様式をダウンロード
- ○ 申請者の状況により使用ページが異なる場合あり
- ○ 出入国在留管理庁の公式サイトから最新様式をダウンロード
- ● 写真
- ○ 縦4cm×横3cm、申請前3ヶ月以内撮影
- ○ 無帽、正面、無背景、鮮明なもの
- ○ 裏面に氏名を記入し申請書に貼付
- ○ 縦4cm×横3cm、申請前3ヶ月以内撮影
- ● パスポート及び在留カードの原本提示
- ● 住民票
- ○ 申請人を含む世帯全員分(続柄記載)
- ○ マイナンバーは省略版
- ○ 発行から3ヶ月以内のもの
- ○ 申請人を含む世帯全員分(続柄記載)
- ● 職業を証明する資料
- ○ 会社員:勤務先発行の在職証明書
- ○ 自営業:確定申告書控えや営業許可証の写し(あれば)
- ○ 無職:理由説明文と立証資料(扶養者資料など)
- ○ 会社員:勤務先発行の在職証明書
- ● 所得及び納税状況を証明する資料
- ○ 住民税関係:直近の課税証明書・納税証明書(過去5年分など期間はケースにより異なる)
- ○ 国税関係:税務署発行の未納税額なし証明書(源泉所得税、申告所得税、消費税、相続税、贈与税など)
- ○ 住民税関係:直近の課税証明書・納税証明書(過去5年分など期間はケースにより異なる)
- ● 公的年金及び医療保険の保険料納付状況証明
- ○ 年金:「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」印刷、国民年金保険料領収書写し
- ○ 医療保険:健康保険証の写しや納付証明書
- ○ 提出困難な場合は理由書を添付
- ○ 年金:「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」印刷、国民年金保険料領収書写し
- ● 身元保証に関する資料
- ○ 入管指定の身元保証書(保証人署名押印)
- ○ 保証人の身分証明書(免許証写し等)、職業証明書、所得証明、住民票(マイナンバー省略)
- ○ 入管指定の身元保証書(保証人署名押印)
- ● 了解書
- ○ 永住後の義務を理解した旨を示す書類(入管指定様式)
2.現在の在留資格に応じた追加提出書類
就労系(技術・人文知識・国際業務、技能等)
- ● 永住許可申請理由書(日本での生活安定性・社会貢献・将来展望など具体的に)
- ● 任意書類(推薦状、ボランティア証明、日本語能力証明など)
「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」
- ● 配偶者や実子の身分関係証明
- ○ 日本人配偶者:戸籍謄本(全部事項証明書)
- ○ 日本人実子:戸籍謄本、出生届受理証明など
- ○ 永住者配偶者:婚姻証明書(本国+日本語訳)、住民票など
- ○ 永住者実子:出生証明書(本国+日本語訳)、親子関係証明書類など
- ○ 日本人配偶者:戸籍謄本(全部事項証明書)
- ● 理由書は原則不要だが、婚姻実態や生活説明を求められる場合あり
「定住者」
- ● 身分関係を証明する書類(例:戸籍謄本、出生証明書など)
- ● 理由書(定住経緯や生活状況、永住希望理由を記述)
「家族滞在」
- ● 扶養者との身分関係証明(戸籍謄本、婚姻証明書、出生証明書など)
- ● 扶養者の職業・所得・納税・年金・医療保険証明
- ● 理由書(家族としての永住希望理由や扶養者の経済的安定性など)
3.永住許可申請理由書の作成ポイント
含めるべき内容
- ● 来日から現在までの経緯(目的、在留資格の変遷)
- ● 現在の仕事内容・勤務先・役職・業務内容、仕事の展望
- ● 家族構成や私生活の状況(同居家族、地域活動など)
- ● 日本での定着性(住宅購入、ボランティア、地域活動参加など)
- ● 永住希望の具体的理由と日本社会への貢献意思
作成時の注意
- ● 他の提出書類との整合性を保つこと
- ● 具体的かつ正直な記述を心がけること(虚偽記載は厳禁)
- ● 日本語で作成し、母国語で書く場合は正確な日本語訳を添付すること

6.永住権申請における重要な注意点と審査ポイント
次に、永住権申請における重要な注意点と審査ポイントについて、以下にまとめます。
1. 申請書類の有効期限と提出タイミングの管理
永住権申請では、日本で発行される書類(住民票、納税証明書、課税証明書など)は 発行日から3ヶ月以内のものが有効 となっています。そのため、書類をバラバラのタイミングで取得してしまうと、申請時に一部の書類が期限切れになってしまうリスクがあります。必ず、全ての書類が有効期限内に揃うよう、申請予定日を逆算して計画的に準備しましょう。
スムーズに申請を進めるためには、申請直前のタイミングで一気に書類を集めるのがおすすめです。
2. 税金(住民税・国税)及び社会保険料(年金・健康保険)の納付状況
永住権申請の審査において、税金(住民税や国税)や社会保険料(年金・健康保険)の未納・滞納は非常に重大なマイナス要因となります。特に注意すべきポイントは以下の通りです。
- ● 直近の納付状況が厳しくチェックされるため、最近の支払い遅れや未納は特に不利に働きます。
- ● 2024年に施行された改正入管法では、未納が永住許可取り消しの対象となる可能性が明示的に加わっており、今後さらに厳格に扱われる見込みです。
- ● そのため、永住申請前には、過去の納税記録や社会保険料の支払い状況を必ず確認し、未納があれば速やかに解消することが必須です。
未納のままだと審査において致命的なリスクになるので、納税や保険料の支払いは常に滞りなく行うことが永住権取得の重要なポイントです。
3. 交通違反歴と「素行善良要件」への影響
永住権申請における「素行善良要件」の審査で、交通違反歴は非常に重要なチェックポイントとなります。具体的には
- ● 軽微な違反(駐車違反、一時停止違反など)でも、回数が多いとマイナス評価
- ○ 過去5年間で5回以上
- ○ 直近2年間で3〜4回以上
こうした累積違反がある場合は、素行が良いとはみなされにくく、不許可のリスクが高まります。
- ○ 過去5年間で5回以上
- ● 重大違反はほぼ致命的
- ○ 飲酒運転、無免許運転、大幅な速度超過など
- ○ 罰金刑以上の処分歴(たとえば刑事罰や略式起訴など)がある場合も厳しい審査となります。
- ○ 飲酒運転、無免許運転、大幅な速度超過など
このため、交通違反歴は申請前に正確に把握し、必要に応じて反省文や謝罪文を準備して、誠実な態度を示すことが求められます。また、虚偽申告は絶対に避けるべきで、過去の違反は正直に申告し、改善の意志や社会的責任を果たしていることを示すことが重要です。
4. 身元保証人の選定条件と責任範囲
以下に、身元保証人についてのポイントを整理します。
- ● 身元保証人の資格
日本人または永住者であることが基本条件。安定した収入があり、納税や年金など公的義務をきちんと履行していることが求められます。 - ● 責任の範囲
身元保証人の責任はあくまで道義的責任であり、法的な連帯保証責任は負いません。つまり、申請者が問題を起こしても、保証人が法的に賠償などを求められることは基本的にありません。 - ● 期待される役割
申請者の日本での生活指導や法令遵守の支援が主な役割です。申請者が日本社会に順応し、ルールを守って生活できるようにサポートします。 - ● 身元保証人になりやすい人物
配偶者、親、勤務先の上司や会社の責任者など、申請者と密接な関係があり、申請者の生活状況をよく把握している人が多いです。
これらを踏まえて、身元保証人は信頼でき、安定した立場の人物を選ぶことが重要です。
5. 申請期間中の転職・離職・海外渡航の影響と届出義務
以下に、審査期間中の転職・離職や長期の海外渡航について、重要なポイントをまとめます。
- ● 転職・離職時の対応
審査中に転職や離職をした場合は、速やかに出入国在留管理局に報告することが必要です。新しい勤務先の在職証明書や就労条件を示す書類などの提出も求められます。収入や勤務内容の変化は永住審査に影響を及ぼす可能性があるため、隠さず正確に伝えることが大切です。 - ● 海外渡航の注意点
審査期間中に3ヶ月以上の海外滞在をする場合は、必ず再入国許可を事前に取得してください。再入国許可がないと、長期の海外滞在は「継続して日本に在留している」という条件を満たさず、審査に悪影響が出る可能性があります。
これらのルールを守ることで、永住許可申請の審査がスムーズに進みやすくなります。
6. 虚偽申請や不利益事実の隠蔽の重大な結果
永住権申請においては、虚偽申請は絶対に避けるべき重大なリスクです。
- ● 虚偽申請が1件でもあれば不許可確実
入管は厳正にチェックしており、一つでも虚偽や隠蔽が発覚すると許可はされません。 - ● 将来の申請にも悪影響
永住だけでなく、今後の在留資格変更や更新申請にもマイナス評価が続き、手続きが非常に難しくなります。 - ● 最悪の場合、退去強制や刑事罰の対象に
意図的な虚偽申請は不法行為とみなされ、強制退去や罰金・懲役など刑事罰の対象になることもあります。 - ● 軽微な違反でも正直に申告し誠実さを示すことが重要
過去の軽微な違反や問題点も正直に申告し、反省の気持ちや現在の状況改善を示すことで、誠実さをアピールすることが審査においてプラスに働きます。
永住申請は正直・誠実が最も大切なポイントです。
7. 「短期滞在」からの永住権申請の原則不許可
- ● 短期滞在(観光・短期商用等)からの永住権申請や在留資格変更は原則不可
短期滞在は「一時的な滞在」を目的としているため、永住や長期在留を前提とした申請は基本的に認められていません。 - ● 例外的に許可されるケースは極めて限定的
例えば、日本人との身分関係が発生した場合など、「やむを得ない特別の事情」が認められた場合のみ例外的に許可されることがあります。 - ● 通常は、まず適切な在留資格へ変更し、その後永住申請を目指すのが一般的な流れ
永住申請には在留資格の安定性や継続性が求められるため、短期滞在のまま申請は困難です。
短期滞在のままで永住を目指すのはほぼ不可能なので、まずは他の適切な在留資格を取得することが大切です。

7.永住資格の取り消し事由
永住資格の取り消し事由
- 1. 再入国許可(みなし再入国許可含む)の手続き不備
- ○ 日本から1年以上出国する場合は、事前に再入国許可の取得が必要。
- ○ みなし再入国許可で出国した場合、出国後1年以内に再入国しないと永住資格を失う。
- ○ 有効な再入国許可なしに長期出国すると、永住者の地位が消滅。
- ○ 日本から1年以上出国する場合は、事前に再入国許可の取得が必要。
- 2. 税金・社会保険料の支払い義務の継続
- ○ 永住許可取得後も、日本に居住している限り、納税義務・社会保険料の支払い義務は継続。
- ○ 2024年改正入管法で、故意にこれらの支払いを怠ると永住許可の取消し対象になる可能性が明記された(施行は公布から3年以内)。
- ○ 永住許可取得後も、日本に居住している限り、納税義務・社会保険料の支払い義務は継続。
- 3. 虚偽の届出や住所変更等の届出義務違反
- ○ 氏名、国籍、性別、生年月日、住所などに変更があった場合、14日以内に出入国在留管理庁に届出が必要。
- ○ 届出義務を怠ると、罰則や永住許可取消しの対象になる可能性がある。
- ○ 氏名、国籍、性別、生年月日、住所などに変更があった場合、14日以内に出入国在留管理庁に届出が必要。
- 4. 退去強制事由に該当する行為
- ○ 入管法第24条にある退去強制事由(例:麻薬犯罪、売春関係、不法入国幇助、テロリズム、一定の刑罰受刑など)に該当すると、永住者でも退去強制対象となり、永住資格を失う。
- ○ 入管法第24条にある退去強制事由(例:麻薬犯罪、売春関係、不法入国幇助、テロリズム、一定の刑罰受刑など)に該当すると、永住者でも退去強制対象となり、永住資格を失う。
- 5. 在留カードの定期的な更新
- ○ 永住者の在留カード有効期限は7年間。
- ○ 有効期限前に更新申請が必要で、手続きを怠ると不法滞在状態となるリスクがある。
- ○ 永住者の在留カード有効期限は7年間。
8.【企業担当者向け】永住権を持つ外国人材の雇用に関する留意点
永住権を持つ外国人を採用するメリット
- ● 就労制限なし
どの職種・業種でも自由に雇用可能。ビザ変更の手間がない。 - ● 在留期間更新不要
更新手続きの負担がなく、雇用管理が楽になる。 - ● 生活基盤が安定
長期的な雇用関係の構築が期待できる。 - ● 社会的信用が高い
信頼性が高く、企業にとって安心して雇用しやすい。
採用時に確認すべき事項
- ● 在留カードの確認
表面に「永住者」と明記されていること。
在留カードの有効期限が切れていないか。 - ● 現住所の確認
裏面の住所記載欄が現住所と一致しているか。 - ● 偽造・変造のチェック
偽造カードに注意し、入管庁のチェックポイントを活用。
「外国人雇用状況の届出」の必要性
- ● 永住者も含め、外国人を採用・離職した際は
ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」が義務。 - ● 届出を怠ると罰則対象となるので注意。
企業側が負担する費用の有無
- ● 永住権申請手続き自体は申請者本人の責任であり、企業に法的な費用負担義務はない。
- ● ただし福利厚生や人材定着支援として、申請費用の一部補助や行政書士依頼費用を負担する企業もある。

9.永住権申請の要件と手続きを正確に理解し、計画的な準備を
永住権は、日本で長期的かつ安定した生活を送るための非常に重要な在留資格です。取得には、法律で定められた全ての要件を満たす必要があり、多数の書類を正確に準備することが求められます。特に
- ● 継続して一定期間日本に在留していること
- ● 安定した収入を得ていること
- ● 税金・年金・健康保険を適切に納付していること
- ● 素行が善良であること(違反歴がないこと)
これらのポイントが審査で重視されます。また、特例要件に該当する場合は、提出書類や在留期間の要件が緩和されることもありますので、該当する方は事前に確認が必要です。申請は準備や審査に時間と労力を要するため、行政書士などの専門家に相談しながら進めるのも有効な選択肢です。
さらに、永住権取得後も
- ● 税金や社会保険料の納付義務を継続して果たすこと
- ● 住所変更などの届出義務を守ること
- ● 法令遵守を続けること
などの義務を怠らず、資格の維持に努めることが大切です。
永住権は大きな権利であると同時に、責任も伴う資格であることを忘れずに取り組みましょう。
-
- ● 貴社の状況に合わせた最適な採用プランの提案
- ● 複雑な申請書類作成のサポート・代行
- ● 最新の法改正や運用状況に関する情報提供
- ● 採用後の支援体制に関するアドバイス
- ● 費用に関する具体的なシミュレーション
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