失敗しない外国人雇用ガイド|手続き・注意点・メリットを徹底解説
2025.09.22
人手不足の深刻化やグローバル化を背景に、外国人雇用への関心が高まっています。しかし、「手続きが複雑そう」「文化の違いが不安」といった声も少なくありません。
この記事では、外国人雇用のメリット・デメリットから、募集・採用、最重要である在留資格の確認と手続き、受け入れ準備、雇用後の労務管理や注意点、定着支援まで、一連の流れを分かりやすく解説。不安を解消し、適切な外国人雇用を実現するために参考にしてください。
CONTENTS
- なぜ今、外国人採用なのか?現状と企業にとっての意義
- 外国人採用の第一歩:募集から採用までのプロセス
- 最重要ポイント!在留資格(ビザ)の確認と手続き
- 雇用契約と入社準備:外国人材を迎えるために
- 採用後の手続きと労務管理上の注意点
- 外国人材の定着と活躍を促す職場環境づくり
- 外国人採用で活用できる可能性のある助成金
- まとめ:適切な手順と環境整備で外国人採用を成功させる
なぜ今、外国人採用なのか?現状と企業にとっての意義
日本における外国人採用の最新動向と増加の背景(人手不足など)
本題に入る前に、日本における最新の外国人労働者数と推移について確認しておきましょう。厚生労働省が公表している「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)を参考に解説します。

出典)「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和6年10月末時点)
令和6年10月末時点において、日本に在留する外国人労働者数は230万2587人でした。平成19年以降、過去最多を記録し、前年より25万3912人も増加しています。近年の推移を見ると、コロナ禍であった令和元年から令和3年までの対前年伸び率こそ低いものの、収束後の令和4年からは再び高い増加率を示していることがわかります。
外国人採用が増加している背景にはいくつかの要因が考えられますが、最も影響を与えているのは日本国内の深刻な少子高齢化がもたらす労働力不足でしょう。この労働力不足を解消するために特定技能など外国人材の受け入れ制度を整備したことも外国人採用を促進させた要因の一つです。ほかにも海外進出やインバウンド需要への対応といった企業のグローバル化戦略も大きく影響していると考えられます。
次に、産業別、国籍別の外国人採用傾向を見てみます。

出典)「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和6年10月末時点)
産業別では、製造業が最も多く59万8314人で全体の26.0%を占めています。続いて
、サービス業が35万4418人(全体の15.4%)、製造業、小売業が29万8348人(同13.0%)、宿泊業、飲食サービス業が27万3333人(同11.9%)でした。ほかにも建設業(17万7902人)、医療、福祉(11万6350人)、情報通信業(9万546人)、教育、学習支援業(8万2902人)などで外国人採用が見られます。

出典)「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和6年10月末時点)
国籍別では、ベトナムが57万708人と最も多く、全体の24.8%を占めています。続いて、中国の40万8805人、フィリピンの24万5565人、ネパールの18万7657人の順です。インドネシア(16万9539人)、ブラジル(13万6173人)、ミャンマー(11万4618人)も一定数の割合があります。
企業が外国人採用を進めるメリット
外国人採用には以下のようなメリットがあります。
- ● 人手不足解消と多様な人材確保(若手、専門職など)
○ 人手が集まらず日本国内では採用が難しい職種や若年層労働力を確保できます。特定の専門知識や技術を持つ人材の獲得機会も生まれるでしょう。
- ● 社内活性化、イノベーション促進への期待
○ 異なるバックグラウンドを持つ人材からの新たな視点やアイデアの導入により、組織のダイバーシティが推進され、社内活性化に役立ちます。
- ● グローバル展開やインバウンド対応力の強化
○ 海外市場へのアクセスや現地での事業展開に貢献します。また訪日外国人顧客への多言語対応や異文化理解に基づくサービス向上にもつながります。
- ● (副次的効果)採用コストや人件費の最適化の可能性
○ 国内人材の採用と比較した場合、コスト面においてメリットが生じる可能性があります。ただし、外国人であるからといって不当に低い賃金設定をすることは違法です。「同一労働同一賃金」の原則は外国人にも適用されます。
外国人採用で考慮すべきデメリット・課題
メリットの多い外国人採用ですが、考慮が必要な課題やデメリットも存在します。
- ● コミュニケーション(言語・文化)の壁と対策
○ 外国人採用におけるもっとも大きな壁は、言語の違いから生まれる意思疎通の難しさです。これには日本語教育の支援や通訳ツールの配備などの対策が必須です。また言語以外にも仕事観や価値観、生活習慣など文化的ギャップを埋めるため、企業内研修の実施などを通して従業員同士の相互理解を促す必要があります。
- ● 雇用手続き・労務管理の複雑さ
○ 在留資格関連の手続き、各種行政への届出など、日本人雇用にはない事務的負担がかかります。あわせて外国人特有の労働法規・社会保険などの知識習得も必要です。
- ● 受け入れ体制整備と初期コスト
○ 住居の手配や生活支援、教育研修体制の構築に伴い、一定の費用と労力がかかります。採用プロセスにおいても在留資格に関する手続きが必要であり、特に海外からの採用は就労ビザ取得や渡航準備に時間がかかる場合があります。
外国人採用の第一歩:募集から採用までのプロセス
Step1:採用目的の明確化と求める人材像(スキル、在留資格)の設定
人手不足解消や専門性の獲得など、自社がなぜ外国人材を採用するのか目的を明確にし、任せたい業務内容と必要なスキル、経験、日本語レベルを設定します。求める人物像が具体化できたら、ターゲットとする在留資格=就労ビザの種類などを検討します。
Step2:効果的な募集方法の選択
外国人材の募集には、以下のような方法があります。自社が求める外国人材の募集に適した方法を選択してください。
- ● ハローワーク、外国人雇用サービスセンターの活用
○ ハローワークでは無料の人材紹介、外国人雇用サービスセンターでは求人、採用の他、専門知識を持つ職員による相談サービスがあります。
- ● 求人サイト、自社採用サイト(多言語対応)
○ 外国人材向けの求人媒体やグローバルサイトを活用して募集する方法です。多言語表記ができれば自社サイトに外国人材向けの採用ページを作成し、直接魅力を発信することも可能です。
- ● 人材紹介会社(外国人専門エージェント)の利用
○ 外国人専門エージェントを利用して効率的に候補者を探し、選考・手続きのサポートを受ける方法もあります。
- ● 大学・専門学校との連携、リファラル採用
○ 大学や専門学校と連携し、国内にいる外国人留学生へアプローチするのも一つです。ほかにも社員紹介(リファラル)による採用ルートもあります。
Step3:選考プロセスにおける注意点(差別禁止、異文化配慮)
選考において国籍などを理由とする差別は禁止されています。労働関連法規は国籍に関わらず適用され、企業は法令遵守に努めなければなりません。面接時はわかりやすい日本語の使用や質問の意図を確認しながら進行し、コミュニケーションに配慮します。スキル、経験、在留資格の適合性を客観的に評価する視点を持ち、公平な審査を行うことが大切です。
最重要ポイント!在留資格(ビザ)の確認と手続き
なぜ在留資格の確認が不可欠なのか?(不法就労防止)
外国人が日本で就労するには、活動内容に応じた適切な在留資格が必要です。在留資格にない就労は禁止されており、違反すると雇用した企業も不法就労助長罪に問われる可能性があります。在留資格の確認義務は、企業にとってリスク回避のために極めて重要です。
就労可能な主な在留資格の種類と範囲(概要)
在留資格は、身分・地位に基づく資格(居住資格)と活動資格の2種類があり、そのうち活動資格は就労系とその他活動に分けられます。在留資格の種類と就労範囲について解説します。
- ● 就労制限なし
○ 永住者や配偶者など身分や地位に基づく在留資格(身分系)は就労制限がありません。別途就労ビザを取得する必要もなく、どのような仕事にも自由に就くことができます。
- ● 許可範囲内で就労可
○ 活動資格のうち就労系の在留資格(いわゆる就労ビザ)は、種類に応じそれぞれ許可された範囲内で就労が可能です。技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能実習(※育成就労に変更予定)などがあります。
- ● 原則就労不可だが条件付きで可
○ 留学や家族滞在など就労系以外の活動資格は原則就労不可ですが、資格外活動許可を得ることで条件付きで就労できる場合があります。
在留カードによる確認ポイント(就労制限の有無、期間満了日)
在留カードの原本確認は企業の必須義務です。偽造や改ざん防止のため、コピーや写真ではなく必ず原本を確認してください。確認すべき項目は、「在留資格」「就労制限の有無」「在留期間(満了日)」「資格外活動許可欄」です。
【ケース別】必要な在留資格関連手続き
- ● 海外在住者を採用する場合(在留資格認定証明書交付申請)
○ 海外から呼び寄せる場合は、在留資格認定証明書交付申請を行います。入国前の事前審査手続きとなるため、雇用する企業などが代理申請します。
- ● 国内在住の転職者を採用する場合(在留資格変更許可申請/就労資格証明書)
○ すでに日本にいる外国人を採用する場合は、現在保有している在留資格で業務可能かを確認してください。不可なら在留資格変更許可申請を、可なら就労可であることを確認できる就労資格証明書を活用します。
- ● 留学生を採用する場合(在留資格変更許可申請、資格外活動との違い)
○ 留学生を採用する場合は、大学や専門学校を卒業後、就労系資格への在留資格変更許可申請が必要です。在学中に資格外活動許可を得て行うアルバイトとはルールが違う点に注意してください。

雇用契約と入社準備:外国人材を迎えるために
労働条件の明確化と雇用契約書の作成(多言語化推奨)
賃金、労働時間、休日、業務内容などの労働条件は、書面で具体的に明示しましょう。トラブルを回避するためにも、雇用契約書や労働条件通知書は外国人の母国語など本人が確実に理解できる言語で作成・交付するのがベストです。
日本人との均等待遇・同一労働同一賃金の原則遵守
賃金、福利厚生などの労働条件で、国籍による不合理な待遇差を設けることは違法です。労働基準法の同一労働同一賃金の原則は、外国人にも適用されます。
受け入れ準備:住居の手配、生活オリエンテーションの実施
住居探しのサポートや日本の生活ルールに関するオリエンテーションを実施することも受け入れ企業の責務です。社宅の提供や賃貸契約を締結する場合は連帯保証人になるなどの支援、ゴミ出し、交通ルールの説明、役所手続きや緊急連絡先などの情報提供を行います。
社会保険・労働保険への加入手続き
外国人であっても、日本人と同様に一定の条件を満たす場合は、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険へ加入しなければなりません。
採用後の手続きと労務管理上の注意点
外国人雇用状況の届出義務(ハローワークへ)
外国人材を採用する企業は、雇入れおよび離職時に氏名、在留資格などの情報をハローワークへ届け出る必要があります。
在留期間の管理と更新手続きのサポート
従業員の在留期間満了日を把握し、更新手続きを促すなどの支援をします。従業員任せにせず、雇用側もオーバーステイにならないための管理体制を組むことが重要です。
税金(所得税・住民税)に関する手続き
源泉徴収、年末調整、住民税の徴収方法(特別or普通)など税金に関する手続きも、日本人同様に対応します。
(特定技能の場合)1号支援計画の実施・管理、登録支援機関との連携
特定技能1号外国人の場合は、法定支援の確実な実施と記録、委託先との連携が必須です。
外国人材の定着と活躍を促す職場環境づくり
既存従業員への事前説明と異文化理解の促進
外国人材の定着を促すには、既存従業員の理解が欠かせません。受け入れ背景の共有や、協力依頼、異文化理解のための研修を実施し、働きやすい職場環境を作りましょう。
コミュニケーション円滑化のための工夫(やさしい日本語、ツール活用)
わかりやすい言葉、図示、翻訳ツールの活用など工夫をし、外国人材が相談しやすい雰囲気を醸成します。
評価制度・キャリアパスの明確化
透明性のある公正な評価基準でフィードバックを実施し、日本でのキャリア形成支援を行ってください。
相談しやすい環境づくりと定期的なフォローアップ
母国語対応可能な相談窓口やメンター制度の設置を検討するほか、定期的な面談によるケアも必要です。
外国人採用で活用できる可能性のある助成金
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)などの紹介
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備女性コース)は、社内規定・マニュアルの多言語化や日本語研修の実施など外国人材の就労環境整備にかかる経費を一部助成する制度です。その他キャリアアップ助成金などの関連助成金も活用できる可能性があります。
助成金申請の注意点と専門家への相談推奨
助成金申請にあたっては受給要件の確認や、計画認定、期限内申請の必要性など事前に注意すべきポイントがいくつかあります。助成金制度は複雑で改正も頻繁に行われるため、可能であれば社労士などの専門家へ相談するのがおすすめです。
まとめ:適切な手順と環境整備で外国人採用を成功させる
外国人採用は企業の成長にとって有効な経営戦略である一方で、成功させるためには制度の適切な理解と準備が欠かせません。在留資格の確認、法令遵守、手続きを漏れなく履行し、受け入れ後の環境整備で円滑なコミュニケーションを可能にしておくことが定着促進には不可欠です。本記事を参考に、企業と外国人双方がwin-winとなる良好な関係構築を目指してください。
-
- ● 貴社の状況に合わせた最適な採用プランの提案
- ● 複雑な申請書類作成のサポート・代行
- ● 最新の法改正や運用状況に関する情報提供
- ● 採用後の支援体制に関するアドバイス
- ● 費用に関する具体的なシミュレーション
外国人雇用にまつわる諸問題の解決には、専門家のサポートをおすすめします!
海外人材タイムスでは、専門的な知識を持つ登録支援機関、人材紹介会社、行政書士などが協働し、貴社の状況に合わせた具体的なアドバイスやサポートを提供いたします。相談費は無料です。私たちは貴社のニーズに合う最適なサポートにより手続きの負担を軽減し、外国人労働者受け入れの準備をお手伝いしています。
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