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外国人雇用の書類の「指定書」とは?|確認ポイントと注意点

外国人を採用する際、在留カードの確認は必須ですが、もう一つ重要な書類「指定書」の存在をご存知でしょうか?特定の在留資格を持つ外国人のパスポートに添付されており、日本で許可されている具体的な活動内容や所属機関が記載されています。この指定書の確認を怠ると、意図せず不法就労を助長してしまうリスクもあります。
この記事では、「指定書とは何か?」という基本から、発行される条件、パスポートのどこにあるのか、見本を用いた記載内容の読み解き方、採用時に必ず確認すべきポイント、そして紛失や変更時の手続きまで、外国人雇用に関わる方が知っておくべき情報を網羅的に解説します。

CONTENTS

 

1. まずは基本から:「指定書」の役割と重要性

外国人を雇用する際、在留カードの確認は当然ですが、それと一体で確認すべき書類として重要なのが「指定書」です。指定書は、外国人材の就労活動の範囲や条件を明確に示す、公的に発行される重要な文書です。

指定書とは何か?

「指定書」とは、特定の在留資格(例:特定技能、技術・人文知識・国際業務など)に付随して交付される書類で、その外国人が許可された具体的な活動内容や就労範囲などが記載されています。
これは法務大臣の指定に基づく内容であり、外国人がどのような職種・業務で働けるかを判断するうえで重要な情報源です。

指定書の役割

  •   ● 在留カード情報の補完:在留カードには「就労可否」の情報しか記載されていませんが、実際の就労可能な分野・企業・地域等の詳細は指定書で確認する必要があります。

  •   ● 就労範囲の明確化:指定書を見ることで、「その外国人が現在の業務に従事できる資格があるか」を正確に把握できます。

なぜ確認が重要か?

  •   ● 不法就労助長罪の回避:雇用主が誤って許可範囲外の業務に従事させた場合、たとえ悪意がなくても不法就労助長罪に問われる可能性があります。

  •   ● 適正な雇用管理:本人の活動制限を無視して配置や指示を行うと、労使トラブルや法令違反につながります。

指定書の交付タイミング

指定書は、以下のようなタイミングで法務省(入国管理局)から交付されます。

  •   ● 外国人の新規入国(上陸)時

  •   ● 在留資格の変更を申請・許可された時

  •   ● 在留期間の更新時

いずれの場合も、指定書は在留カードとともに交付されます。

「在留カードだけでは就労範囲は完全に判断できない」——これは外国人雇用において非常に重要な原則です。 企業が適切に外国人材を受け入れ・管理するためには、必ず指定書の内容も確認し、記載された活動内容に沿った業務を行わせる必要があります。在留カード確認に加え、指定書のコピーを雇用契約時や入社時に必ず取得・保管することが、リスク管理の第一歩となります。

2. どの在留資格で発行される?指定書の交付対象

外国人を雇用する際、すべての在留資格で「指定書」が必要になるわけではありません。指定書が交付される在留資格と、されない資格を正しく区別することが大切です。

指定書が交付される主な在留資格(=要確認)

以下の在留資格では、活動内容が個別に指定されるため、必ず「指定書」の確認が必要です。

① 特定活動

  •   ● 活動が非常に多様で、法務大臣の個別指定によって成り立つ資格。

  •   ● 例:特定活動46号(外国人留学生の就職)、就職活動中の在留、ワーキングホリデーなど。

  •   ● ※同じ「特定活動」でも内容により就労可否が異なるため、指定書の確認は必須。

② 特定技能

  •   ● 在留カードには「就労可」と記載されているが、実際には分野や業務区分が限定されている。

  •   ● 指定書には、分野名、業務内容、所属機関名などが明記されており、雇用内容と合致しているかの確認が不可欠。

③ 高度専門職

  •   ● ポイント制に基づく高度人材向け資格。

  •   ● 活動類型(例:研究、教育、経営管理など)や所属機関が明確に指定されている。

  •   ● 専門性の高い活動が求められるため、指定書による裏付け確認が必要。

指定書が原則発行されない主な在留資格

次のような在留資格では、在留カードに記載された資格名だけでおおよその活動範囲が明確であり、通常は「指定書」は発行されません。

  •   ● 技術・人文知識・国際業務

  •   ● 技能

  •   ● 企業内転勤

  •   ● 介護

  •   ● 永住者

  •   ● 定住者

  •   ● 日本人の配偶者等、永住者の配偶者等 など

これらの資格では、在留カードだけでも就労活動の内容や制限が把握可能なため、指定書の交付は例外的です。

実務上のポイント

  •   ● 「在留カードの確認だけでは不十分」な在留資格があることを理解する。

  •   ● 上記3つの資格(特定活動・特定技能・高度専門職)に該当する場合は、必ず指定書を確認・保管する。

  •   ● 指定書の内容(業務範囲、所属機関、活動条件)と実際の業務内容が一致しているかを必ず確認する。

このように指定書は、特定の在留資格における活動条件の“設計図”のようなものです。特に「特定活動」「特定技能」「高度専門職」に該当する外国人を雇用する際には、指定書の内容確認を怠ると不法就労助長や資格外活動のリスクにつながります。企業の雇用責任を果たすうえで、在留カード+指定書の両方の確認がセットで必要になることを押さえておきましょう。

3. パスポートのどこにある?指定書の確認場所

外国人を雇用する際に重要な書類である「指定書」。その内容を確認するには、まずどこに保管・添付されているのかを知っておく必要があります。

指定書の物理的な場所

指定書は、原則として本人のパスポートに添付されています。

  •   ● 場所:パスポートの査証(ビザ)欄の近く

  •   ● 形式:ホチキスで留められているA4サイズの紙であることが一般的

  •   ● タイミング:入国時、新たな在留資格の取得や変更・更新の際に交付され、係員が直接パスポートに添付することが多い

指定書の見た目(概要)

指定書には、次のような情報が記載されています。

  •   ● 指定された活動の内容(職種、業務区分)

  •   ● 所属機関(会社名や団体名)

  •   ● 活動期間

  •   ● 法務大臣による指定の旨

※デザインやレイアウトは在留資格によって若干異なります。

例外的なケースもある

以下のような場合には、パスポートに指定書が添付されていないこともあります。

  •   ● パスポートの更新を行った場合:新しいパスポートに指定書が再添付されていないことがある

  •   ● オンライン手続き(e申請)で更新した場合:原則郵送等で交付され、パスポートに貼付されないことがある

  •   ● 入国時にパスポートを提示せず自動化ゲート等を通過した場合

このような場合は、本人または代理人が法務局や本人保管の書類から別途確認・取得する必要があります。

実務上の注意点

  •   ● 雇用前に「在留カード」と合わせて「パスポートに添付された指定書を必ず確認」すること

  •   ● 雇用契約書を交わす前にコピーをとり、雇用記録として保管しておくとコンプライアンス上、安全

  •   ● 添付されていない場合は、本人に確認させて再発行の依頼や、管轄入管への照会を行う

このように指定書は、パスポートの中に「紙で添付されている」ことが基本です。 在留カードだけでは就労の可否や内容が判断できない在留資格(例:特定技能、特定活動、高度専門職)では、この指定書の内容確認が不法就労リスクを避けるために必須です。例外もあるため、指定書が手元にない場合には本人と相談し、必ず内容を確認してから採用・就労させるようにしましょう。

4. 【見本で徹底理解】在留資格ごとの指定書の読み方

指定書は、特定の在留資格で外国人がどのような活動を日本で行えるかを具体的に定めた文書です。特に「特定活動」「特定技能」「高度専門職」では、内容を正確に読み解くことが雇用側の責任にもつながります。

A. 「特定活動」指定書の読み方

● 見本例

特定活動46号(日本の大学卒業者の就職活動)
活動内容:日本の大学・大学院を卒業した外国人が、引き続き日本国内での就職活動を行うことを目的とする。
報酬を受ける活動は除く。

● 読み方のポイント

  •   ● 「活動内容」欄が最も重要

    •     ○ 例:「就職活動のみ可」「インターンは週28時間以内可」など、細かく指定されている

  •   ● 「報酬を受ける活動は除く」などの制限が明記されているかに注意

    •     ○ 指定されている内容以外の就労を行うと不法就労扱いになる

● 活動が多岐にわたるため注意

  •   ● 特定活動には様々な種類(ワーホリ、研究活動、外交関係者の家族など)があり、同じ「特定活動」でも内容は大きく異なる

  •   ● 企業側は個別の指定内容を読み取って適正な雇用判断をすることが必要

B. 「特定技能」指定書の読み方

● 見本例

飲食料品製造業の特定技能外国人
所属機関:株式会社〇〇食品(東京都港区○○)
特定産業分野:飲食料品製造業
業務区分:パン製造・包装・品質管理

● 読み方のポイント

  •   ● 「所属機関」「特定産業分野」「業務区分」が明記されているかを確認

    •     ○ 所属企業と指定書の記載が完全に一致していることが必要

  •   ● 業務内容欄は参考情報

    •     ○ 雇用契約書と照合し、想定する職務とのズレがないか確認

C. 「高度専門職」指定書の読み方

● 見本例

高度専門職1号ロ(企業の研究職)
活動類型:高度専門職1号ロ(高度な研究活動)
所属機関:株式会社○○研究所(東京都千代田区〇〇)

● 読み方のポイント

  •   ● 活動類型の識別(イ=学術研究、ロ=研究業務、ハ=管理業務)

  •   ● 所属機関が記載通りかどうかを確認

    •     ○ 転職した場合は指定書の再交付が必要なため、古い指定書を使っていないか注意

実務でのチェックポイント

項目チェック内容
所属機関の名称・所在地登録している会社と一致しているか
活動内容・分野指定された業務と実際の職務が合致しているか
有効期間在留期間と指定書の内容が整合しているか

「指定書」は単なる添付書類ではなく、外国人の就労の可否を左右する法的根拠となる書類です。雇用主は在留カードだけでなく、指定書の記載内容を正確に読み取って雇用判断を行うことが、不法就労のリスク回避と法令遵守につながります。

5. 採用担当者向け:指定書確認の具体的な手順とチェックリスト

以下に「採用担当者向け:指定書確認の具体的な手順とチェックリスト」をまとめました。採用プロセスで外国人雇用を適正に行うため、指定書を漏れなく正確に確認する手順をおさらいしましょう。

確認のベストタイミング

面接時または内定後の入社手続き前に、必ず指定書を含む関連書類の確認を行う。

指定書確認ステップ(チェックリスト形式)

  •   ● Step1:パスポート原本の提示を依頼し、指定書の有無を確認する
    → 指定書はパスポートの査証(ビザ)欄付近に添付されているか確認。
    ※パスポート更新やオンライン申請時は添付されない場合もあるため本人に確認。

  •   ● Step2:指定書と在留カード(原本)を照合する
    → 氏名、国籍、在留資格、在留期限が両者で一致しているかを確認。

  •   ● Step3:指定書の記載内容を詳細に確認する

    •     ○ 許可されている活動内容や業務区分が、自社の募集職務と合致しているか?

    •     ○ 【特定技能・高度専門職の場合】所属機関の名称・所在地が記載通りか?(転職履歴があれば特に注意)

    •     ○ 【特定活動の場合】就労許可の有無、及び「報酬を受ける活動を除く」などの制限事項を確認。

  •   ● Step4:指定書下部のスタンプ日付と在留カード発行日を確認
    → 両者の発行日に不整合がないか確認する。

  •   ● Step5:パスポート自体の有効期限も必ず確認する

確認時の注意点

  •   ● 必ず原本で確認し、コピーでは対応しない。

  •   ● 書類の内容に疑問や不明点があれば、本人にその場で確認・質問する。

  •   ● 書類が揃わない場合は、雇用を進める前に速やかに関係機関に相談することを推奨します。

採用時における指定書の確認は、不法就労リスクの回避と適正雇用の根幹です。上記のステップとチェックリストを活用し、確実かつ丁寧な確認体制を社内で徹底しましょう。

6. こんな時どうする?指定書の変更・紛失・例外ケースへの対応

ここで、指定書に関するイレギュラーな状況やトラブルに対して、適切に対応する方法をご紹介します。

指定書の内容に変更があった場合

  •   ● 転職や異動による所属機関の変更
    → 原則として「在留資格変更許可申請」が必要。所属機関を変える場合は必ず手続きを行うこと。

  •   ● 所属機関の名称・所在地のみの変更
    → 出入国在留管理庁への「届出」が必要(変更から14日以内)。迅速な対応が求められる。

指定書を紛失した場合

  •   ● 正式な再発行制度はないため、速やかに出入国在留管理庁へ相談・申し出を行う。

  •   ● 警察への紛失届の提出や、紛失理由書の作成など、必要書類の準備も忘れずに。

  •   ● 再発行ではなく、状況に応じた対応策が示されることが多い。

パスポートに指定書が添付されていない場合

  •   ● オンライン申請や特例的な手続きで別送されている可能性があるため、本人に必ず提示を求めて確認する。

  •   ● 指定書を確認できない場合は、「就労資格証明書」の取得を本人に依頼するなど代替手段を検討する。

「報酬を受ける活動を除く」と記載されている場合

  •   ● 原則として、その活動での就労は禁止されている。

  •   ● ただし、「資格外活動許可」があれば週28時間以内のアルバイトが可能なケースもあるため、在留カード裏面の確認を必ず行うこと。

指定書に関する変更や紛失などのイレギュラーケースは、適切な手続きを怠ると法令違反につながるリスクがあります。問題発生時は迅速に本人と連携し、出入国在留管理庁や専門家に相談しながら対応しましょう。

7. 見落とし厳禁!指定書確認を怠る法的リスク

最後に、指定書の確認義務の重要性を理解し、確認を怠った場合に企業が負う法的リスクについて解説します。

不法就労助長罪の概要

  •   ● 内容:外国人に許可されていない業務を従事させたり、不法就労を助長した雇用主や関係者に対し、

  •   ● 罰則:3年以下の懲役または300万円以下の罰金(またはその両方)が科される。故意・過失の有無を問う。

指定書確認不足が不法就労助長に繋がる具体例

  •   ● 指定書に記載された「所属機関」と異なる会社で雇用した場合。

  •   ● 許可された「活動内容・業務区分」を超えた業務に従事させた場合。

  •   ● 指定書の記載内容を確認せずに就労させ、結果的に許可外活動となった場合。

企業イメージや社会的信用の低下リスク

  •   ● 法令違反が公になることで、企業の社会的信用が大きく損なわれる。

  •   ● 取引先や顧客からの信頼低下、採用や事業運営に支障をきたす可能性。

コンプライアンス遵守のために

  •   ● 指定書の厳格な確認は、法令遵守の最前線であり、企業リスク回避に直結する。

  •   ● 採用担当者や管理者への教育徹底、確認チェックリストの活用が効果的。

指定書の確認を怠ると、不法就労助長罪による法的処罰だけでなく、企業の信用失墜という深刻な影響を招きます。確実な確認と管理を企業の責務として徹底しましょう。

8. 【まとめ】指定書を正しく理解し、適正な外国人雇用を実現しよう

指定書は、特定の在留資格を持つ外国人の活動内容を具体的に示す重要な公的書類です。企業は外国人採用時に、在留カードとともに指定書の原本を必ず確認し、その記載内容を正確に理解することが求められます。

また、指定書の内容変更や紛失、添付されていない例外的なケースにも適切に対応し、法令違反による不法就労助長リスクを回避することが重要です。指定書の解釈や手続きに不安がある場合は、自己判断を避け、必ず出入国在留管理庁や行政書士などの専門家に相談して確認を行いましょう。

 

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