家族滞在ビザの就労は週28時間まで|違反リスクと切り替え方法
2026.01.20
人手不足への対応や多様な人材活用の観点から、家族滞在ビザを持つ外国人の採用を検討する企業が増えています。一方で「家族滞在ビザは働けるのか」「どこまでが合法で、どこからが違反になるのか」といった点が分かりにくく、判断に迷っている担当者の方も多くいます。
家族滞在ビザは、原則として就労を目的とした在留資格ではありません。資格外活動許可を取得すれば就労は可能ですが、労働時間や業務内容には厳格なルールがあり、少しの認識違いが不法就労や企業側の法的責任につながるリスクもあります。
本記事では家族滞在ビザの基本的な考え方を押さえたうえで、資格外活動許可による就労ルール、労働時間の管理方法、そして雇用企業が注意すべきポイントや就労ビザへ切り替える方法を解説します。
CONTENTS
- 1. 家族滞在ビザとは
- 2. 資格外活動許可で就労する場合のルールと計算方法
- 3. 家族滞在ビザを更新できなくなる仕組みと原因
- 4. 雇用企業が負う「不法就労助長罪」のリスクと回避策
- 5. 家族滞在ビザから就労ビザへ切り替える方法
- 6. 家族滞在から就労ビザへ変更できないケース
- 7. まとめ:家族滞在ビザでの就労リスクと適正管理のポイント
1. 家族滞在ビザとは
家族滞在ビザは、日本で就労ビザや留学ビザを持つ外国人の「配偶者」または「子」に付与される在留資格です。主な目的は家族との同居であり、原則として就労を目的とするものではありません。したがって、このビザを持つ外国人が自由に働くことはできず、適法に就労するには法律で定められた例外的な手続きを踏む必要があります。
参考:在留資格「家族滞在」 | 出入国在留管理庁
詳細はこちらをご参照ください。
家族滞在ビザで就労は可能?取得条件や申請方法や注意点などを解説
1.1 本来の目的は「家族との同居」であり就労ではない
家族滞在ビザの主な活動は「扶養される側として家族と生活を共にすること」です。そのため、フルタイムで働き自活できるほどの収入を得ることは、ビザの趣旨に反します。就労を主目的とする場合は、家族滞在ビザではなく就労ビザを取得する必要があります。たとえ家計を助けたいという理由であっても、無許可で就労することは不法就労となり、最悪の場合は強制送還の対象となります。
1.2 家族滞在ビザで働くためには「資格外活動許可」を取得する
家族滞在ビザ保持者が働く場合、必ず「資格外活動許可」の取得が必要です(出入国在留管理庁「『家族滞在』の在留資格に係る資格外活動許可について」参照)。この許可を得ることで、原則として週28時間以内でアルバイトなどの就労が可能となります。許可を受けずに働くことは不法就労に当たり、厳しい罰則が科される場合があります。資格外活動許可を取得すると、在留カードの裏面に証印が記載されるため、就労前に必ず確認することが必要です。
参考:「家族滞在」の在留資格に係る資格外活動許可について | 出入国在留管理庁
詳細はこちらをご参照ください。
在留カードとは?番号確認・偽造対策・見方をわかりやすく

2. 資格外活動許可で就労する場合のルールと計算方法
家族滞在ビザでの就労は、労働基準法で定められた週40時間とは異なり、入管法上の上限である「週28時間」が適用されます。この制限を超えて働くことは、たとえ数分の超過であっても違法です。
2.1 労働時間の正しい集計ルール
週28時間の計算は、1週間の総労働時間として合算する必要があります。複数のアルバイトを掛け持ちする場合、A社で20時間、B社で10時間働けば合計30時間となり、法律違反です。残業も就労時間に含まれるため、シフト管理には注意が必要です。
なお、留学生の場合は教育機関の長期休業期間に限り、1日8時間まで働ける特例がありますが、家族滞在ビザ保持者には適用されません。長期休暇でも週28時間の制限は緩和されないことを理解しておく必要があります。
2.2 資格外活動許可の種類:「包括許可」と「個別許可」
資格外活動許可には、「包括許可」と「個別許可」があります。
- ● 包括許可:一般的に取得されるもので、週28時間以内で単純労働を含む幅広い業務が可能です。
- ● 個別許可:週28時間を超えて働く必要がある場合に申請するもので、取得は極めて限定的です。家族滞在ビザでは原則認められず、活動が必要不可欠で本来の在留資格活動を阻害しないことを証明する必要があります。
ほとんどの家族滞在者は、包括許可での就労が現実的です。
2.3 単純労働は可能でも「風俗営業」は禁止
資格外活動許可があれば、コンビニエンスストア、飲食店、工場ライン作業などの単純労働は可能です。しかし、風俗営業などの規制対象業務は厳禁です。具体的には、キャバクラ、スナック、パチンコ店、麻雀店、ゲームセンター、ゲーム機設置のネットカフェなどでの勤務は違法となります。皿洗いや清掃など裏方作業であっても、これらの営業施設での就労は禁止です。違反すると、不法就労となり罰則や強制送還のリスクがあります。

3. 家族滞在ビザを更新できなくなる仕組みと原因
家族滞在ビザは、本人および扶養者の状況に大きく依存しており、更新時に不正や問題があると簡単に失効するリスクがあります。「隠れて働けばバレない」という認識は通用せず、行政の監視体制によって就労状況や収入は正確に把握される仕組みになっています。
3.1 課税証明書やマイナンバーで就労実態が分かる仕組み
ビザ更新時には課税証明書(所得証明書)の提出が求められます。年収を時給換算して週28時間の上限を超えていないか確認され、違反があれば即座に把握されます。さらに、マイナンバー制度により複数の勤務先からの給与支払報告書が統合されるため、掛け持ちアルバイトによる収入合算も監視されます。このため、違反は隠せず、入管側は精度の高いデータで就労実態を把握できます。
3.2 家族滞在ビザが更新できなくなる2つのパターン
家族滞在ビザの維持が難しくなるのは、本人の行為だけでなく扶養者の状況によっても左右されます。更新不可となる典型的なパターンは以下の通りです。
3.2.1 本人の違反(不法就労)による更新不許可・退去強制
資格外活動許可で認められた時間を1分でも超えて働くと、入管法違反として「不法就労」とみなされます。過去に不法就労の記録がある場合、次回の更新申請時に「素行不良」と判断され、原則として更新は認められません。違反が長期的または悪質であれば、強制送還(退去強制)の対象となり、その後5年間は日本への入国が禁止されます。
3.2.2 扶養者の問題によって家族滞在が維持できなくなるケース
家族滞在ビザは扶養者の在留資格に依存しています。そのため、扶養者本人が法律違反やビザ喪失の状態になった場合、家族のビザも連動して失効します。また、扶養者の離職や収入減少などにより、家族を養う能力が不足していると判断される場合も、家族滞在ビザの更新は認められません。つまり、本人がルールを守っていても、扶養者の状況次第で滞在資格が維持できなくなる可能性があるのです。

4. 雇用企業が負う「不法就労助長罪」のリスクと回避策
家族滞在ビザの外国人を雇用する企業は、労働者本人以上に法的リスクを負うことを理解しておく必要があります。無許可で働かせた場合、企業名の公表やハローワークでの求人禁止など、経営に甚大なダメージを与える可能性があります。このリスクは「不法就労助長罪」として刑事罰の対象となります。
詳細はこちらをご参照ください。
不法就労助長罪で初犯ならどうなる?罰則と対応策を解説
4.1 企業側にも適用される罰則規定
不法就労助長罪は、就労資格のない外国人を働かせた事業主に適用され、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。過失であっても、確認義務を怠った場合は処罰対象となるため、知らなかったでは済まされません。企業は採用時から適法な確認を徹底する必要があります。
4.2 採用前に必須となる在留カードの確認
採用面接時には、在留カードの原本確認が必須です。表面で在留資格が「家族滞在」であるかを確認し、裏面の資格外活動許可欄に「許可」のスタンプがあるかも確認します。カードの有効期限が切れていないかも確認する必要があります。偽造を見抜くためには、出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」を活用することが推奨されます。
詳細はこちらをご参照ください。
在留カード等番号失効情報照会の手順|法的リスクと注意点も解説
4.3 ダブルワーク従業員の総労働時間管理
自社での労働時間が週28時間以内でも、他社での掛け持ちにより合計時間を超えると、雇用主も責任を問われます。そのため、採用時に「兼業・副業の有無」を書面で申告させ、労働契約書に「他社との合計で週28時間を超えないこと」を明記します。さらに定期的な面談で他社での就労状況を確認し、管理フローを整備することが重要です。

5. 家族滞在ビザから就労ビザへ切り替える方法
家族滞在ビザでは、資格外活動許可を得ても週28時間までの就労制限があります。フルタイムで働き世帯収入を増やしたい場合は、就労ビザへの在留資格変更(在留資格変更許可申請)が必須です。現在の制度では、一定の条件を満たせば家族滞在ビザから就労ビザへ変更が可能であり、申請者の学歴や職歴に応じて適切なルートを選ぶことが重要です。
詳細はこちらをご確認ください。
外国人就労ビザの取り方|日本での申請手続き・条件・必要書類まとめ
【記入例付き】在留資格変更許可申請書の書き方や提出方法などを解説
5.1 切り替え(在留資格変更)の要件
変更にあたっては、まず共通条件として「日本人と同等額以上の給与水準であること」「納税義務を果たしていること」「過去に重大な法令違反がないこと」が求められます。その上で、申請者の経歴に応じて大きく2つのパターンがあります。
- 1. 学歴を活かす場合(技術・人文知識・国際業務、特定活動46号など)
大学や専門学校での専攻と就職先での業務内容に関連性があることが条件です。原則として学士・専門士の学位が必要です。 - 2. 試験・技能を活かす場合(特定技能)
学歴や専攻は問われませんが、各業界の技能試験および日本語能力試験への合格が条件となります。
5.2 切り替え可能な主な在留資格
家族滞在ビザからの変更で多いのは技人国、特定活動46号、特定技能の3種類です。
5.2.1 技術・人文知識・国際業務(技人国)
通称「技人国」と呼ばれる一般的な就労ビザで、大学や日本の専門学校を卒業し、専攻内容と業務内容が関連している場合に取得可能です。例として、経済学部卒が経理や営業職に就く、外国語学部卒が翻訳や通訳に従事するなどがあります。単純労働は原則不可です。
詳細はこちらをご確認ください。
【技人国ビザ】技術・人文知識・国際業務の職種一覧と取得条件を解説
5.2.2 特定活動46号
日本の大学卒業かつ高い日本語能力(JLPT N1など)を有する者が対象で、留学生の配偶者などがフルタイム就労に移行する際に利用されます。技人国では認められにくい接客や現場業務も従事可能です。
詳細はこちらをご確認ください。
外国人留学生の就職活動を支援する「特定活動46号」とは?
5.2.3 特定技能
学歴に関係なく、特定業種(外食、宿泊、介護、建設など)で即戦力となる人材向けのビザです。技能試験と日本語能力試験(JLPT N4以上)やJFT-Basicに合格すれば申請可能です。ただし、特定技能1号では原則家族の帯同ができません。
詳細はこちらをご確認ください。
在留資格「特定技能」とは? 技能実習との違いや採用ポイントを解説
日本語能力試験(JLPT)N1・N2とは?レベル別の難易度を解説

6. 家族滞在から就労ビザへ変更できないケース
家族滞在ビザから就労ビザへの変更は、学歴や日本語能力などの基本要件を満たしていても、過去の在留状況や職務内容の不一致によって不許可となる場合があります。雇用契約を結んだ後にビザが下りないという事態を避けるため、代表的な不許可パターンを理解しておくことが重要です。
6.1 単純労働が中心で学歴との関連性が認められない場合
コンビニのレジ打ち、工場のライン作業、清掃業務などは「単純労働」とみなされ、学歴を活かす就労ビザである技術・人文知識・国際業務(技人国)への変更は許可されません。例えば、デザイン系の専門学校を卒業した者がホテルの客室清掃(ベッドメイク)や工場のライン作業に従事する場合、専攻との関連性がなく単純労働であるため不許可となります。
これらの業務に従事したい場合は、現場作業が認められる特定技能ビザへの変更を検討する必要があります。特定技能ビザは飲食、宿泊、介護、建設などの業種で即戦力として就労可能ですが、1号の場合は家族帯同ができない点に注意が必要です。
詳細はこちらをご確認ください。
在留資格「特定技能」とは? 技能実習との違いや採用ポイントを解説
6.2 過去に週28時間以上の就労歴がある場合
家族滞在ビザで週28時間を超えて就労した履歴がある場合、課税証明書やマイナンバー制度による給与報告書から事実が把握されます。常習的に違反していたと判断されると、どれほど優秀な人材でも「法令遵守の姿勢がない(素行不良)」と見なされ、在留資格変更は不許可となる可能性が高いです。
過去の資格外活動違反は、審査時に厳しくチェックされるため、週28時間の上限を守ることは単に法令遵守の問題ではなく、将来的な就労ビザ取得の可否にも直結します。企業側も、従業員の過去の就労状況を確認し、適切な管理を行うことが求められます。

7. まとめ:家族滞在ビザでの就労リスクと適正管理のポイント
家族滞在ビザは、配偶者や子が日本で生活するための在留資格であり、原則として就労は認められていません。資格外活動許可を得れば週28時間以内でのアルバイトは可能ですが、上限を超えたり禁止業種で働いたりすると、従業員本人だけでなく企業も法的リスクを負います。不法就労助長罪では、企業に対して懲役や罰金が科されることもあります。
企業は在留カードの確認や労働時間管理、ダブルワークの把握などを徹底し、従業員が法令を遵守して働ける環境を整える必要があります。また、単純労働と学歴の関連性や過去の違反歴など、個々のケースに応じた判断が不可欠です。
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