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建設キャリアアップシステム(CCUS)とは?登録や費用を解説

建設業界で建設キャリアアップシステム(CCUS)という言葉を耳にする機会が増えてきています。国土交通省が推進するこの仕組みは、技能者のキャリアを見える化し、業界全体の生産性向上を目的としています。特に2023年度以降、活用が原則化される動きがあり「自社も本格的に対応すべきか」と考える事業者も多いはずです。

本記事では、CCUSの基本的な仕組みから、義務化の現状や事業者・技能者それぞれの立場から見たメリット、具体的な登録手順と費用までを幅広く解説します。本記事を読めば、CCUS導入をスムーズに行うことができるでしょう。

CONTENTS

1. 建設キャリアアップシステム(CCUS)とは

建設キャリアアップシステム(以下、CCUS:Construction Career Up System)とは、技能者一人ひとりの資格や就業履歴を業界横断で電子的に記録・蓄積する国土交通省推進の仕組みです(建設キャリアアップシステム)。これにより、技能者の経験や能力を正確に把握できる環境を整え、建設業界全体の人材育成と適正評価を支援することが目的とされています。CCUSが目指す3つの主要な目的は以下の通りです。

  1.   1. 技能者の適正な評価と処遇改善
        蓄積された就業履歴や資格情報に基づき、経験や能力を正しく評価することで、賃金や待遇の適正化を図ります。

  2.   2. キャリアパスの明確化
        技能者自身が自分のスキルや経験を可視化できるため、将来的なキャリア形成やステップアップの方向性が分かりやすくなります。

  3.   3. 現場管理の効率化
        データを一元管理することで、作業員の配置や資格確認が迅速になり、施工体制の整備や事務作業の簡略化に寄与します。

2. CCUSの登録は義務?2025年現在の状況

現時点では、CCUSへの登録は法律上の義務ではありません。しかし、公共工事を中心に「原則義務化」の流れが進んでいます。国土交通省の公式情報によると、公共工事の入札や契約においてCCUS登録者を優先する動きが加速しており、今後、制度の普及とともに登録が事実上必須となる可能性が高まっています。
登録しない場合のデメリットも無視できません。具体的には、公共工事の入札で不利になることや、元請け企業からの受注機会を逃すリスクがあります。特に経験豊富な技能者を多く抱える企業にとっては、CCUSへの登録が取引上の重要な条件となりつつあるため、登録は企業戦略上も重要な判断材料となります。参考:建設キャリアアップシステムの取組について

3. 【事業者・技能者別】CCUS導入のメリット

CCUSのメリットは、登録する立場によって異なります。ここでは「事業者側」と「技能者側」に分けて、具体的に解説します。

3.1 事業者側のメリット

事業者にとって、CCUS導入は経営面や管理面での大きなプラス効果があります。

3.1.1 メリット1:経営事項審査での加点

公共工事の入札に参加する際には、経営事項審査(経審)が必要です。CCUSに登録している事業者は、この経審で加点対象となります。具体的には、W点の15点が加算される場合があり、これにより受注機会が拡大します。加点制度を活用することで、競争力の向上や安定的な受注につなげることが可能です。参考:経営事項審査における建設キャリアアップシステムに係る加点

3.1.2 メリット2:人材管理の効率化

技能者ごとの資格や就業履歴をシステム上で一元管理できるため、採用時の能力確認や現場への適正な人員配置が容易になります。また、作業員名簿や施工体制台帳の作成も簡略化され、従来必要だった紙ベースでの確認作業や集計作業が大幅に軽減されます。これにより、事務担当者の負担が減り、現場運営に集中できる環境が整います。

3.1.3 メリット3:コンプライアンス強化

社会保険加入状況などの情報もシステム上で正確に確認できるため、法令遵守の体制をアピールできます。企業の透明性や信頼性が向上し、元請け企業や発注者からの評価向上にもつながります。特に公共工事や大規模案件では、コンプライアンス対応が受注の条件になることもあり、CCUSは有効なツールとなります。

3.2 技能者側のメリット

現場で働く技能者個人にとっても、CCUSはキャリア形成や処遇改善に直結するメリットがあります。

3.2.1 メリット1:キャリアの証明

転職や新しい現場に入る際に、これまでの経験や保有資格を客観的なデータとして提示できます。口頭での説明や紙の書類が不要になり、自身のスキルを正確に伝えやすくなることが大きな利点です。

3.2.2 メリット2:適正な処遇の実現

CCUSでは、就業履歴や資格にもとづき、技能者の能力を4段階でレベル分けする仕組みがあります。カードの色でレベルが可視化されるため、経験や能力に応じた賃金アップや適正な処遇を受けやすくなります。これにより、自身の努力や成長が評価に直結しやすくなります。参考:建設キャリアアップシステム キャリアアップカードは申請で色が変わる!レベル判定 もうお済みですか? | 建設業サポートデスク

3.2.3 メリット3:退職金の確実な積み立て

建退共(建設業退職金共済制度)との連携により、現場での就労実績に応じて退職金の掛金が正確に積み立てられます。従来の証紙手帳方式では貼り忘れや紛失のリスクがありましたが、CCUSの導入で確実に資産形成が可能となります。参考:建設市場整備:【CCUSポータル】建退共制度との連携 – 国土交通省

CCUSは、事業者にとって経営効率化や受注拡大の手段であり、技能者にとってはキャリア形成や処遇改善の基盤となる仕組みです。登録や活用を通じて、建設現場全体の効率性と透明性を高めることが期待されます。

4. CCUSの登録に必要な費用と準備するもの

CCUSの導入には、金銭的な費用と書類や現場体制といった物理的な準備が必要です。事前に内容を把握しておくことで、登録や運用がスムーズになります。

4.1 登録にかかる費用

CCUSの費用は主に以下の4種類に大別されます。

費用種類 支払う人 支払いタイミング 金額の目安 備考
事業者登録料 法人・個人事業者 初回登録時 資本金1,000万円未満は無料、1,000万円以上は3,000円〜 一人親方は無料
管理者ID料 事業者の管理者 年額更新 3,000円前後(割引適用で2,400円) 複数管理者ID可
技能者登録料 技能者本人または事業者代行 登録時 2,500円〜(個人事業者・一人親方も同額) 保有資格に応じた加算なし
現場利用料 元請け事業者 現場登録時 無料〜数百円/現場 現場単位で課金される場合あり

※資本金による料金体系や、一人親方の費用については、国土交通省の公式情報「ご利用方法・料金」に準拠しています。参考:ご利用方法・料金

4.2 登録・運用で準備するもの

必要書類

事業者登録に必要な書類

  •   ● 建設業許可通知書(法人・個人事業者共通)

  •   ● 登記簿謄本または開業届(法人の場合)

  •   ● 印鑑証明書(法人)

技能者登録に必要な書類

  •   ● 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)

  •   ● 顔写真(証明写真形式)

  •   ● 保有資格証明書(必要に応じて)

  •   ● 外国人技能者の場合は在留カード必須

現場の受け入れ体制

  •   ● ICカードリーダーの設置(現場入口や事務所)

  •   ● 技能者が毎日カードをタッチする運用ルールの策定

  •   ● 就業履歴を正確に記録するための現場担当者の指名

※ICカードリーダーや運用アプリケーションは「建レコ」などの専用ツールを使用します。

5. CCUSの登録方法を5ステップで解説

CCUSの登録から運用開始までの流れを、わかりやすく5ステップに整理しました。

5.1 ステップ1:必要書類の準備

  •   ● 事業者登録用書類:建設業許可通知書、登記簿謄本、印鑑証明書

  •   ● 技能者登録用書類:本人確認書類、顔写真、保有資格証明書

  •   ● 外国人技能者の場合は在留カードが必要

詳細:証明書類見本一覧

5.2 ステップ2:事業者情報の登録

  1.   1. CCUS公式サイトから事業者情報を入力

  2.   2. 登録料を支払う

  3.   3. 審査後、事業者ID・管理者IDが発行される

※「事業者情報登録申請書」を参照しながら進めるとスムーズです。参考:「事業者情報登録申請書」の手引

5.3 ステップ3:技能者情報の登録

  1.   1. 管理者IDでログイン

  2.   2. 所属する技能者の情報を入力(本人代行登録も可能)

  3.   3. 登録完了後、「キャリアアップカード」が発行される

※「技能者情報登録申請書」を参照して、必要書類を添付します。参考:「技能者情報登録申請書」の手引

5.4 ステップ4:現場情報の登録(元請け事業者)

  •   ● 元請けが現場を開設する際、工事概要・契約情報・施工体制をシステムに登録

  •   ● この登録により、現場でのCCUS運用が可能になります

5.5 ステップ5:現場での運用開始

  •   ● 技能者が現場入口に設置したカードリーダーにキャリアアップカードをタッチ

  •   ● 就業履歴が自動的に記録される

  •   ● 蓄積されたデータは、技能者のキャリア証明や事業者の人材管理に活用されます

6. CCUSに関するよくある質問(Q&A)

導入検討中の事業者が抱きやすい疑問を整理しました。

6.1 Q1. CCUS登録はどのくらいの期間がかかりますか?

  •   ● 事業者登録:約3週間(申請書類に不備がない場合)

  •   ● 技能者登録:約2週間

  •   ● 申請が集中する時期はさらに時間がかかる可能性があります

6.2 Q2. 一人親方の場合、費用や登録方法は異なりますか?

  •   ● 事業者登録料:無料

  •   ● 技能者登録料:2,500円〜

  •   ● 管理者ID利用料:割引適用で年額2,400円

  •   ● 登録手続き自体は通常の事業者・技能者と同様です

6.3 Q3. 社会保険に未加入でも登録できますか?

  •   ● 登録自体は可能

  •   ● 原則加入義務があるため、未加入の場合は理由を証明する書類提出が必要

  •   ● 法令遵守の観点から加入が推奨されます

6.4 Q4. 登録内容に変更があった場合はどうすればよいですか?

  •   ● 住所・所属事業者・保有資格などの変更は、システムに速やかに反映

  •   ● 放置すると、適正な評価や加点が受けられなくなる可能性があります

6.5 Q5. 登録手続きを専門家に代行してもらうことは可能ですか?

  •   ● 行政書士など専門家による申請代行が可能

  •   ● 書類準備や入力作業の手間を削減でき、時間の節約につながります

CCUSの導入は、事業者にとっては管理効率化や受注拡大、技能者にとってはキャリア形成や適正処遇を実現する重要な手段です。費用や準備物を事前に把握し、ステップに沿った登録・運用を行うことで、スムーズに活用できます。参考:代行申請

7. まとめ:CCUSの導入は専門家とともに

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者の資格や就業履歴を正確に記録し、業界横断で活用できる国土交通省推進のシステムです。本記事で解説したように、CCUSの導入は技能者の適正評価・処遇改善、キャリアパスの明確化、現場管理の効率化というメリットがあり、事業者・技能者双方にとって今後の建設業界で欠かせない仕組みとなりつつあります。一方で、CCUSを運用するには、費用の把握、必要書類の準備、現場体制の構築など専門的な知識や手間が伴います。特に、事業者登録や技能者情報の登録、現場でのカード運用ルールの整備などは、初めて行う場合は戸惑うことも少なくありません。

「自社に合った運用方法が分からない」「登録手続きやコスト管理に不安がある」といった課題を抱える場合は、行政書士や建設業専門コンサルタントなどの専門家に相談しましょう。専門家のサポートを受けることで、手続きの効率化や運用の最適化が可能となり、CCUSの導入効果を最大限に引き出すことができます。
CCUSは単なる制度登録にとどまらず、事業者の信頼性向上や技能者のキャリア形成に直結する重要な投資です。導入の第一歩は専門家と相談しながら、自社の体制に合わせた運用方法を確立することから始まります。

 

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