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在留カード「就労不可」とは?アルバイトの条件と確認方法

外国人採用の際、在留カードに記載された「就労不可」の文字。この一言は、企業の採用活動に大きな影響を与えます。「一切働けないのか?」「アルバイトなら大丈夫?」と、その解釈に悩む担当者の方も多いでしょう。原則として就労は認められませんが、「資格外活動許可」を得れば一定の条件下で働くことが可能です。このルールを正しく理解せずに雇用すると、企業は「不法就労助長罪」という重い罰則を科されるリスクがあります。
本記事では、「就労不可」の在留資格について、働ける例外ケース、在留カードの具体的な確認方法、企業の法的責任と対策まで、網羅的にわかりやすく解説します。

CONTENTS

1. 「就労不可」の基本:原則として報酬を得る活動は禁止

外国人が日本で合法的に働くには、在留資格(ビザ)の内容に即した活動が必要です。在留カードの「就労制限の有無」欄に「就労不可」と記載されている場合、その在留資格では原則として、報酬を得るための活動が一切認められていません。
この「就労不可」の意味を正しく理解していないと、本人だけでなく雇用主にも不法就労助長罪などの重大なリスクが発生します。以下では、「就労不可」の意味と対象となる在留資格、禁止される具体的な活動について詳しく解説します。

1.1 「就労不可」とは何か:在留資格の本来の活動に専念すべきという意味

在留資格には、それぞれ「本来の活動目的」が定められており、「就労不可」とは、あくまでその目的(例:学業や家族との生活)を優先すべきであり、報酬を得るような労働をしてはいけないという制限です。
例えば「留学ビザ」であれば、学業に専念することが前提です。「家族滞在ビザ」であれば、帯同する家族との生活が目的となっており、働くためのビザではないという位置づけです。

1.2 「就労不可」とされる主な在留資格

以下のような在留資格は、原則として報酬を伴う就労が禁止されています。

  •   ● 留学:大学・専門学校等での学業を目的とする。

  •   ● 家族滞在:就労可能な配偶者・親と共に日本で生活するための資格。

  •   ● 短期滞在:観光、親族訪問、商談など一時的な滞在が目的。

  •   ● 文化活動:収入を伴わない学術・芸術活動、伝統芸能の研修など。

※これらの在留資格でも、「資格外活動許可」を得れば一部の就労(アルバイト等)は可能になる場合がありますが、許可なしでの就労は違法となります。

1.3 禁止される具体的な活動の例

「就労不可」の状態で以下のような報酬を得る活動を行うと、不法就労と見なされ、退去強制・刑事罰の対象となる可能性があります。

  •   ● 企業での就労全般

    •     ○ 正社員

    •     ○ 契約社員

    •     ○ 派遣社員

    •     ○ アルバイト・パート

  •   ● フリーランス・個人事業主としての活動

    •     ○ ネット販売やライティングなどで報酬を得る

  •   ● 業務委託・請負契約による仕事

    •     ○ デザインや翻訳、清掃などの単発業務で収入を得る

たとえ数時間だけ、報酬が数千円程度であっても、「対価性」があれば不法就労と判断されるリスクがあります。

2. 【例外ルール】「就労不可」でも働けるケース:資格外活動許可

「就労不可」とされている在留資格でも、出入国在留管理庁(入管)から『資格外活動許可』を取得すれば、一定の範囲で収入を伴う活動(主にアルバイト)が認められるケースがあります。
これは、「学業」や「家族との生活」など、本来の活動目的を妨げない範囲で働くことを可能にする制度で、外国人にとっても雇用する側にとっても重要な例外ルールです。

2.1 資格外活動許可とは?

「資格外活動許可」とは、本来の在留資格で認められていない活動(=報酬を得る仕事など)を、副次的に行うことを特別に認める制度です。
たとえば、「留学」や「家族滞在」などの資格では就労が原則禁止されていますが、この許可を得ることで、本来の活動(学業・生活)に支障を与えない範囲でアルバイトなどが可能になります。

2.2 包括許可:「週28時間以内」のアルバイトが可能

もっとも一般的なのが、「包括許可」と呼ばれるもので、勤務先を特定せずに広くアルバイトが許可されるタイプです。

2.2.1 主な対象者(留学生、一部の家族滞在者)

この包括許可が申請できるのは、主に以下のような在留資格を持つ人です。

  •   ● 留学ビザ保有者

  •   ● 家族滞在ビザ保有者(一定条件下)

ただし、短期滞在や観光目的のビザなどでは、資格外活動許可は原則認められません。

2.2.2 時間制限のルール(学期中と長期休暇中の違い)

  •   ● 通常時(学期中)
        週あたり28時間以内の勤務が上限。

  •   ● 長期休暇中(夏休み・冬休みなど)
        1日8時間以内、週40時間以内まで就労可能(学校の定める休業期間に限る)。

時間制限を超えると、たとえ1時間でも不法就労と見なされるため、厳密な管理が必要です。

2.2.3 職種の制限(風俗営業等の禁止)

資格外活動許可があっても、以下のような職種での勤務は禁止されています(風俗営業関連業種禁止)。

  •   ● パチンコ店・ゲームセンター

  •   ● キャバレー・バー・クラブ

  •   ● マッサージ店(性的サービスを提供する店舗)

  •   ● 深夜営業のカラオケスナックなど

違反すると、許可の取り消しだけでなく、強制退去処分の対象になる可能性があります。

2.3 個別許可:特定の活動内容・就労先を申請するケース

「包括許可」の対象外となるようなケースでは、個別に「この会社で」「この内容の業務を」「この時間帯で」働くという申請を行い、許可を得る必要があります。

  •   ● フリーランス(通訳や翻訳など)の仕事をする場合

  •   ● 大学研究助手などの学業に関連した有償活動

  •   ● 特定のイベント期間中のみ報酬を得る活動

申請のハードルは高くなりますが、活動の正当性が認められれば許可されることもあります。

2.4 資格外活動許可の申請方法と許可の証明方法

● 申請方法

  •   ● 出入国在留管理庁(入管)にて申請書を提出。

  •   ● 必要書類(在留カード、パスポート、申請理由書、学校の在籍証明書など)を添付。

  •   ● 審査には約2週間〜1ヶ月程度かかります。

● 許可が下りると?

  •   ● 在留カードの裏面に「資格外活動許可」スタンプが押される

  •   ● または、パスポートに許可シールが貼付される

このスタンプやシールが、法的に就労が可能である証拠となります。

以下に、「3. 在留カードで『就労可否』の確認方法」について、企業の採用担当者向けに実務で役立つ内容をわかりやすくまとめました。

3. 在留カードで「就労可否」の確認方法

外国人材を雇用する際、在留カードによる「就労可否の確認」は企業の法的義務です。
確認を怠ると、たとえ本人が虚偽の説明をしていても、企業側が「不法就労助長罪」に問われるリスクがあります。
採用活動の初期段階で、必ず以下の手順で在留カードを確認しましょう。

3.1 なぜ確認が必須か:不法就労助長罪のリスク

日本の出入国管理法により、就労資格のない外国人を雇用した企業や担当者には、以下のような罰則が科されます。

  •   ● 3年以下の懲役

  •   ● 300万円以下の罰金

  •   ● あるいはその両方

「知らなかった」では済まされず、確認を怠った時点で違法となるため、チェック体制の整備が必須です。

3.2 ステップ1:在留カード【表面】の「就労制限の有無」欄を確認

● 確認ポイント

在留カード表面の中央下部にある
「就労制限の有無」
の欄を確認します。

● 主な記載パターンと意味

表示内容 意味 採用可否の判断
就労不可 原則、報酬を得る活動は禁止 原則不可(※資格外活動許可の確認が必要)
在留資格に基づく就労活動のみ可 資格内容と合致した職務のみ可(例:技術・人文知識・国際業務) 採用可(職務内容との関連性が必須)
就労制限なし 配偶者ビザなど、制限のない自由な就労が可能 採用可

3.3 ステップ2:在留カード【裏面】の「資格外活動許可欄」を確認

表面に「就労不可」と記載されていた場合でも、裏面に「資格外活動許可」のスタンプがあるかどうかを必ず確認してください。

● よくあるスタンプ文言の例

「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」
このスタンプがあれば、アルバイトなどの就労が可能です。

● 注意点

  •   ● 裏面最下部の「在留期間更新許可」等の欄と混同しやすいため要注意。

  •   ● 裏面も確認しなければ「就労の可否」は判断できません。

3.4 ステップ3:偽造カード対策:原本確認とWeb照会

不法就労事件では偽造在留カードの使用も報告されています。以下の方法で、真贋確認を必ず行いましょう。

● 必ず「原本」で確認

  •   ● コピーやスマホの写真では確認不可

  •   ● 実物の在留カードを手に取って確認

● 信頼性を高める確認ツール

  1.   1. 在留カード等読取アプリケーション(法務省提供)
        NFC対応スマホで在留カードのICチップを読み取り、内容と照合

  2.   2. 在留カード番号失効情報照会サイト(出入国在留管理庁)
        → カード番号と有効期限を入力して、失効・取消の有無を即時チェック可能

4. 留学生アルバイトを雇用する際の具体的な注意点

留学生アルバイトの雇用は、日本で最も多い外国人就労ケースの一つです。
しかし、あくまで「学業が本分」であることを理解し、法令遵守と良好な関係構築のために以下の点を徹底してください。

4.1 複数バイトの掛け持ち:合計で週28時間を超えていないか確認

「資格外活動許可」で認められる就労時間は、すべての勤務先の合計で週28時間以内です。留学生は複数のアルバイトを掛け持ちしている場合が多いため、採用時に必ず他社での勤務状況(労働時間含む)を確認しましょう。自社でのシフトは、全体の労働時間が28時間を超えない範囲で調整する必要があります。

4.2 シフト管理の徹底と記録保持

労働時間は、企業側の責任で正確に管理・記録しなければなりません。タイムカード、勤怠管理システム、出勤簿など客観的に証明できる記録を必ず保持しましょう。出入国在留管理庁の調査や労働基準監督署の監査に備え、労働時間の証明ができないと法令違反となるリスクがあります。

4.3 学業との両立への配慮(試験期間など)

留学生の本分は学業です。試験期間や重要な授業がある時期は、シフトを柔軟に調整しましょう。この配慮が、留学生との信頼関係を築き、長期的な雇用継続に繋がります。学業優先の姿勢は本人の満足度アップだけでなく、法令遵守にもつながる大切なポイントです。

4.4 卒業・退学による在留資格失効後の就労は不可

留学生が学校を卒業または退学すると「留学」の在留資格は無効になります。「資格外活動許可」も同時に無効となるため、在留資格が失効した後に働き続けることは不法就労となる重大なリスクです。卒業・退学のタイミングは本人からの報告を受けるか、可能なら学校等からの連絡を得る仕組みを作りましょう。もし在留資格が変わる場合は、適切な就労資格への切り替えを本人に促すことが必要です。

まとめ

留学生アルバイトの雇用では

  •   ● 合計週28時間以内の就労時間管理

  •   ● 学業優先の柔軟なシフト対応

  •   ● 在留資格失効時の速やかな対応


これらを徹底することが、企業の法令遵守と良好な雇用関係の両立に欠かせません。また、適切なコミュニケーションを心がけ、留学生の力を最大限に引き出せる職場環境を作りましょう。

5. 「就労不可」から「就労ビザ」への在留資格変更

アルバイトではなく、正社員などフルタイムで日本で働くためには、「就労不可」の在留資格から「就労可能」な在留資格(いわゆる就労ビザ)へ変更手続きを行う必要があります。

5.1 在留資格変更許可申請とは?

日本国内にいる外国人が、現在の在留資格(例:留学、家族滞在など)から別の在留資格(例:「技術・人文知識・国際業務」など就労ビザ)へ変えたい場合に、出入国在留管理庁に対して申請を行い、許可を得る手続きのことを指します。

5.2 変更のための主な要件(学歴・職歴と業務内容の関連性など)

例えば、留学生が「技術・人文知識・国際業務」への変更を希望する場合、学歴(大学・専門学校での専攻)と、就職先の業務内容に専門的な関連性があることが必須です。

例:IT専攻 → システムエンジニア職、経済学専攻 → 経理・営業職など

また、就労予定の企業が適正に運営されているか(決算状況や事業内容など)も審査の対象となります。

5.3 変更手続きの流れと必要書類の概要

以下に、内定後に本人が最寄りの出入国在留管理庁にて行う申請の基本の流れをまとめます。

  •   ● 主な必要書類

    •     ○ 在留資格変更許可申請書

    •     ○ 最終学歴の卒業証明書または卒業見込証明書

    •     ○ 雇用契約書(勤務条件が明記されたもの)

    •     ○ 会社の決算書・事業報告書など企業の経営状況を示す資料

    •     ○ 職務内容説明書(どのような業務に従事するかの詳細)

※申請後、審査には数週間から数か月かかる場合があります。

5.4 「短期滞在」からは原則変更不可であること

  •   ● 観光や親族訪問などを目的とした「短期滞在」の在留資格は、日本国内で就労ビザへの変更申請は原則として認められていません。

  •   ● 短期滞在の外国人が就労を希望する場合は、一旦帰国してから日本の在外公館で就労ビザを取得する必要があります。

「就労不可」の在留資格からフルタイム就労を目指す場合は、在留資格変更許可申請が必須であり、学歴と職務の関連性などの条件を満たす必要があること、申請には多くの書類と時間を要すること、短期滞在からの変更は原則不可であることを理解しておくことが重要です。
企業側は、内定後に外国人本人に適切なサポートや情報提供を行うことが、スムーズな在留資格変更と就労開始に繋がります。

6. 知らなかったでは済まされない!不法就労助長罪のリスク

外国人の適正な雇用管理を怠ると、企業が法的に厳しく問われる不法就労助長罪。知らなかったでは済まず、過失でも罪に問われる可能性があるため、コンプライアンス意識の徹底が不可欠です。

6.1 不法就労助長罪の成立要件(過失も含む)

外国人が不法就労状態にあることを「知っていた」場合はもちろん、「知らなかった」が通用しないケースも多く、在留資格の確認を怠るなどの「過失」でも罪に問われる可能性があります。つまり、企業は採用時・雇用中において、適切に在留カードを確認し、就労資格があるかどうかを慎重に判断する義務があります。

6.2 罰則内容(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)

不法就労助長罪は、刑法上の重い犯罪として扱われ、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されることが法律で定められています。企業としての社会的信用を失うだけでなく、経済的な負担も大きいため、リスクの軽視は絶対に避けなければなりません。

6.3 実際に罪に問われた企業の事例紹介

近年では、大手デリバリーサービスの一部支店や人材派遣会社が、不適切な在留資格確認により不法就労助長罪で摘発・処罰された事例が複数報告されています。これらは決して他人事ではなく、どの企業でも起こり得る問題であることを認識しましょう。

6.4 企業が取るべきリスク対策

  •   ● 採用時の在留カード原本確認を必ず実施し、記録に残すこと。

  •   ● 雇用後も従業員の在留資格や在留期限を定期的にチェックし、不備があれば早急に対応する体制を整備。

  •   ● 人事担当者や管理職に対して、外国人雇用に関する最新の法令やルールの教育・情報提供を継続的に行い、理解を深める。

  •   ● 必要に応じて専門家(行政書士や入管コンサルタント)に相談し、適切な対応を取ること。

不法就労助長罪は、たとえ「知らなかった」でも成立する可能性があり、企業にとって非常に重大な法的リスクです。正確な在留資格確認と継続的な管理、そして担当者の知識向上を徹底することが、企業の安全・安心な外国人雇用の鍵となります。

7. 【まとめ】「就労不可」の正しい理解が適正な外国人雇用に繋がる

外国人を適正に雇用するためには、在留カードに記載された「就労不可」の意味を正しく理解することが不可欠です。「就労不可」とは原則として給与を得る労働が禁止されている状態ですが、例外的に「資格外活動許可」があれば一定条件のもとで働くことが可能であることを押さえましょう。

企業は在留カードの表面だけでなく裏面まで必ず確認する「2段階チェック」を徹底し、不法就労リスクを避ける責任があります。特に留学生のアルバイト雇用では、全ての勤務先の労働時間の合計が「週28時間以内」という厳格な時間管理を企業が行う必要があることを忘れてはなりません。

就労可否の判断に少しでも不明点や迷いがある場合は、自己判断せず必ず入国管理局や専門家に相談することが、企業の法的リスク回避につながります。正しい知識と確実な対応が、外国人材との良好な関係構築と企業の持続的成長の土台となります。

 

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