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外国人の在留資格とは?種類一覧・ビザとの違い・就労可否を解説

日本で活躍する外国人が増える中、その滞在・活動の根拠となる「在留資格」の理解は不可欠です。しかし種類が多く、「どの資格で何ができるのか」、「ビザと何が違う?」など疑問も多いはず。この記事では、在留資格の基本的な意味から、主要な種類と就労の可否、外国人雇用時の注意点、申請手続きの概要まで分かりやすく解説します。

CONTENTS

外国人の日本滞在の基礎:「在留資格」とは?

「在留資格」とは何か?定義と重要性

在留資格とは、外国人が日本に適法に滞在し特定の活動を行うために必要な法的ステータスです。出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づく制度で、日本に中長期滞在する外国人には必ず付与されます。不法滞在や不法就労を防ぐ根幹となる重要な資格です。

「ビザ(査証)」と「在留資格」は異なるもの?その違いを解説

ビザと在留資格は同義で使われることも多いですが、厳密には異なります。日本入国に必要な「推薦状」にあたるのがビザ(査証)で、在外公館が発給し入国審査で使用します。一方、在留資格は日本での滞在・活動を許可する「資格」です。日本の出入国在留管理庁が付与、管理します。ビザ(査証)は入国審査で目的を達し、入国後は在留資格に基づいて活動するという関係性があります。

在留資格の確認方法:在留カードの見方とポイント

在留資格は入国時に発行される「在留カード」で確認できます。在留カードは中長期滞在者にとって日本における身分証明書となる非常に重要なものです。

表面記載事項のチェックポイントは、氏名、在留資格、在留期間、就労制限の有無です。裏面は、住居地変更、資格外活動許可欄をチェックしましょう。近年は偽造・変造した在留カードも出回っています。万が一、偽変造カードにより在留資格や就労資格のない外国人を雇い入れてしまうと、雇用主も処罰の対象になる可能性があるため注意してください。

在留資格には有効期間がある点に注意

在留資格にはそれぞれの種類に応じて定められた在留期間があります。5年、3年、1年など決められている各満了日までに更新または別の在留資格への変更手続きが必要です。満了日までにいずれの手続きも採らないでいると、不法滞在で強制退去となるリスクがあります。在留期間はしっかり管理し、オーバーステイにならないよう注意しましょう。

【目的別】主な在留資格の種類と就労の可否

在留資格は活動内容により分類され、それぞれ就労範囲も異なります。

就労活動に制限がない在留資格(身分・地位に基づく資格)

身分系といわれる地位に基づく在留資格は、原則として日本人と同様に職種を問わず就労が可能です。

身分・地位に基づく在留資格は以下の通りです。

  •   ● 永住者・・無期限の在留が可能。活動制限はないが取得要件は厳しい。

  •   ● 日本人の配偶者等・・日本人の配偶者・子。活動制限なし。

  •   ● 永住者の配偶者等・・永住者等の配偶者・子。活動制限なし。

  •   ● 定住者・・特別な理由で居住を認められた者(日系人など)。活動制限なし。

原則として就労が認められない在留資格

収入を得る活動(就労)を主目的としない在留資格では、原則として就労は認められません。

代表的な在留資格は以下の通りです。

  •   ● 文化活動・・収入を伴わない学術・芸術活動など。

  •   ● 短期滞在・・観光、親族訪問、業務連絡など。ただし報酬を得る活動は不可。

  •   ● 留学(資格外活動許可に注意)・・教育機関での就学。ただし「資格外活動許可」で週28h以内のアルバイトは可。

  •   ● 研修・・日本の機関での技能修得活動(実務作業を伴わないものに限る)。

  •   ● 家族滞在(資格外活動許可に注意)・・就労系資格者の扶養家族。ただし「資格外活動許可」で週28h以内のアルバイトは可。

定められた範囲内での就労が可能な在留資格(いわゆる就労ビザ)

いわゆる「就労ビザ」といわれる在留資格は、許可された特定の活動範囲内でのみ就労が可能です。

主な就労ビザは以下の通りです。

  •   ● 専門的・技術的分野・・技術・人文知識・国際業務、高度専門職、経営・管理など。資格ごとに対象業務が細かく規定されている。

    •    ○  例:「技人国」は専門知識を活かす業務(エンジニア、通訳など)

    •    ○  例:「高度専門職」はポイント制による優遇あり

    •    ○  例:「経営・管理」は経営者・管理者向け資格

  •   ● 特定技能(1号・2号)・・特定産業分野の人手不足に対応した資格。1号は相当程度の知識・経験、2号は熟練技能必須。

  •   ● 技能実習(※育成就労へ移行予定)・・技術移転を目的とする制度。定められた職種・作業での実習(就労)を行う。2024年に成立した改正入管法により、新制度「育成就労制度」への移行が決定している。

  •   ● 特定活動(ワーキングホリデー、EPAなど)・・ワーホリ、EPA看護・介護など個別に指定された活動範囲内での就労が可能。

なお、就労ビザ保有者であっても許可された活動範囲外の就労は違法です。たとえば、専門的・技術的分野の在留資格である技人国で単純作業に従事するようなことは禁止されています。万が一、違反した場合は外国人本人のみならず雇用主も処罰の対象になるリスクがあります。

外国人を雇用する企業が知っておくべき在留資格のポイント

ポイント1:在留資格に定められた活動内容の遵守義務

採用候補者の在留資格で許可されている業務範囲を正確に把握し、担当業務がその業務範囲内に入っているかどうかを確認します。 安易な配置転換や複数業務の兼務時は、期せずして資格外活動となるリスクがあるため注意が必要です。

ポイント2:在留カードによる就労資格・期間の確認徹底

採用時と雇用継続中における在留カードの原本確認は雇用主の義務です。資格、期間、就労制限、資格外活動許可の有無欄を確認し、改ざんや偽造がないことを確認しましょう。なおオーバーステイ状態での雇用を回避するために、確認の記録は保管しておくことを推奨します。

ポイント3:「単純労働」が可能となる在留資格は限定的

多くの専門職系就労ビザでは単純作業は原則不可です。特定技能や技能実習(育成就労)など現場作業が可能な資格は一部であり、その中でも単純作業に従事できる資格は限られています。業務内容と在留資格の適合性については慎重な判断が必要です。

ポイント4:技能実習制度から育成就労制度への移行動向

2027年施行を目途に現行の技能実習制度を見直し、新たに「育成就労制度」が創設される見込みです。新制度では「人材育成+確保」を目的に置き、特定技能1号への移行を目指します。その他転籍ルールの緩和や来日時の日本語要件新設、監理・支援体制の強化などの内容変更があります。今後は受け入れ計画への影響を見据えた検討が重要になるでしょう。

【注目】特定技能:人手不足分野での活躍が期待される在留資格

特定技能制度の概要と対象分野

特定技能は人手不足解消を目的とした在留資格で、即戦力人材の受け入れに主軸を置いています。受け入れ対象となる特定産業分野は2025年7月時点で全16分野です。

【特定技能・対象分野一覧(16分野)】

  •   ● 介護

  •   ● ビルクリーニング

  •   ● 工業製品製造業

  •   ● 建設

  •   ● 造船・舶用工業

  •   ● 自動車整備

  •   ● 航空

  •   ● 宿泊

  •   ● 農業

  •   ● 漁業

  •   ● 飲食料品製造業

  •   ● 外食業

  •   ● 自動車運送業

  •   ● 鉄道

  •   ● 林業

  •   ● 木材産業

特定技能1号と2号の違い(業務範囲、期間、家族帯同)

特定技能には1号と2号があります。

主な違いは下表の通りです。

 

特定技能1号

特定技能2号

技能水準

相当程度の知識・経験

熟練技能

在留期間

通算上限5年

更新可(上限なし)

家族の帯同

原則不可

2号対象分野は、介護を除くすべての産業分野です。

特定技能ビザで可能な業務(いわゆる単純労働含む)

特定技能ビザは分野ごとに定められた幅広い業務区分に従事可能です。いわゆる単純作業も付随業務であれば認められやすい傾向にあるのは他の在留資格にはない大きな特徴です。企業にとって活用しやすい資格といえます。

在留資格の申請手続き:基本的な流れと種類

主な申請の種類

在留資格の申請手続きには、以下3つの種類があります。

 

  •   ● 在留資格認定証明書交付申請(海外からの呼び寄せ)・・海外在住者を呼び寄せる際の事前審査手続き。

  •   ● 在留資格変更許可申請(国内での資格変更)・・国内在住者が別の在留資格へ変更する手続き。

  •   ● 在留期間更新許可申請(滞在期間の延長)・・現在の在留資格で滞在延長するための手続き。

申請先:地方出入国在留管理局

住居地または受入れ機関の所在地を管轄する地方局・支局・出張所です。

申請に必要な基本的な書類(申請書、写真、パスポート・在留カード写しなど)

基本的には各申請に応じた申請書様式と証明写真、身分証明書(パスポートなど)コピー、その他多数の添付書類が必要となります。具体的な必要書類はケースによって異なるため、詳細は出入国在留管理庁ホームページの個別案内を参照してください。

参照:在留資格認定証明書交付申請 | 出入国在留管理庁

参照:在留資格変更許可申請 | 出入国在留管理庁

参照:在留期間更新許可申請 | 出入国在留管理庁

審査期間の目安と注意点

審査期間はケースバイケースで変動します。出入国在留管理庁は在留審査にかかる標準処理期間を公表していますが(参照:在留審査処理期間 | 出入国在留管理庁)、あくまで目安として捉えておく方がよいでしょう。追加書類の提出が指示される可能性も考慮し、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。

【一覧表】主な在留資格の種類と概要

■活動資格

資格の種類

対象者

活動内容

就労可否

技術・人文知識・国際業務

大卒または日本の専門学校卒以上、もしくは10年以上(国際業務は3年以上)の実務経験がある者

専門的知識や経験を必要とする活動

 

例)エンジニア、通訳など

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

企業内転勤

海外にある本店・支店・事業所などから日本の支店や関連会社に一定期間転勤や出向をする外国人従業員

技術・人文知識・国際業務に該当する業務

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

介護

介護福祉士国家試験に合格し日本の介護施設と雇用契約を結んでいる者

介護および介護指導業務

許可範囲内のみ可

※付随する単純労働を含む

技能

特定の熟練技能を持ち10年以上の実務経験(職種によって異なる場合あり)がある者

産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務

 

例)外国料理の調理師、スポーツ指導者など

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

高度専門職

学歴・職歴・年収などのポイント合計で70点以上を獲得する者

大学や研究機関での研究・教育、高度な知識や技術を要する活動、企業や団体での経営・監理活動

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

特定技能

特定産業分野で相当程度の知識または経験を有する者

特定産業分野ごとに定められた業務

許可範囲内のみ可

※付随する単純労働を含む

技能実習

帰国後に日本で習得した技能を生かせる業務に就く予定のある者

移行対象職種で定められた作業

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

興行

興行活動や芸能活動を行う者

興行、芸能活動

 

例)俳優、ダンサー、歌手など

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

医療

日本の法的資格を持つ医療従事者

医療行為(人間ドックや温泉湯治など幅広い医療関連活動を含む)

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

研究

修士号もしくは3年以上の研究経験を有する研究者

研究活動(大学での研究指導や教育を行う場合は別資格「教授」が該当)

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

教育

小・中・高等学校・専修学校などの教育機関で語学指導や教育を行う者

小・中・高等学校・専修学校などの教育機関における語学教育や教育活動

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

法律・会計業務

弁護士や会計士など士業に就く者

日本での士業活動

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

経営・管理

事業経営者、管理者

事業の経営や管理活動

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

外交 

外交使節団や領事機関の構成員、または条約や慣行によりこれらと同等の扱いを受ける者とその家族

国家間の外交関係を維持・発展させるための活動

 

例)外交官など

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

公用

外交範囲を除く外国政府や国際機関の従業員とその家族

外交使節団や国際機関における特定の公務活動

 

例)通訳、運転手など

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

教授

大学や高等専門学校で研究や研究指導、教育を行う者

大学や研究機関での研究活動、研究指導、教育活動

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

芸術

音楽、美術、文学などの芸術上の活動を行う者

収入を伴う芸術活動

 

例)作曲家、画家、著述家など

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

宗教

海外の宗教団体から派遣される宗教家

布教、儀式、その他の宗教活動

 

例)宣教師、牧師、僧侶など

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

報道

海外の報道機関との契約に基づき報道活動を行う者

取材、撮影、編集、放送などの報道活動

 

例)ジャーナリスト、カメラマンなど

許可範囲内のみ可

※単純労働は含まない

文化活動

収入を伴わない芸術、学術上の活動や日本文化、技芸の研究・修得を行う者

収入を伴わない芸術、学術上の活動や日本文化、技芸の研究、修得活動

 

例)日本文化の研究者など

不可

※収入を伴う活動には資格外活動許可が必要(アルバイトなど)

短期滞在

日本に短期滞在する者(原則90日以内)

観光、スポーツ、親族訪問、見学、講習参加、業務連絡など報酬を得ない活動

不可

留学

日本の教育機関で学ぶ学生

教育機関で教育を受ける活動、研究活動、日本語を学ぶ活動

不可

※収入を伴う活動には資格外活動許可が必要(アルバイトなど)

家族滞在

在留外国人が扶養する配偶者と子

扶養を受けて生活する日常的な活動全般

不可

※収入を伴う活動には資格外活動許可が必要(アルバイトなど)

 

■居住資格

資格の種類

対象者

活動内容

就労可否

永住者

法務大臣から永住許可を受けた者

制限なし

日本人の配偶者等

日本人の配偶者もしくは特別養子または日本人の子として出生した者

制限なし

永住者の配偶者等

永住者または特別永住者の配偶者、もしくは永住者等の子として日本で出生し、引き続き日本に在留する者

制限なし

定住者

法務大臣が特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して居住を認めた者

制限なし

まとめ:在留資格の正しい理解が外国人活躍の第一歩

在留資格制度は複雑であり、外国人雇用を検討する企業はまず制度内容を正確に理解する必要があります。在留資格の確認と活動範囲の遵守は必須です。最新情報の入手に努め、ときには専門家へ相談するのも許可外業務への従事リスク防止に役立ちます。適切な制度理解と申請手続きに基づき外国人材の活躍環境を整備することが成功の鍵になるでしょう。

 

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