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外国人雇用のメリット・デメリットと就労できるビザを解説

CONTENTS

  1. 1.はじめに
  2. 2.外国人雇用の動向
  3. 3.外国人雇用のメリット
  4. 4.外国人雇用の注意点
  5. 5.外国人を雇用できる就労ビザとは
    1. 5-1.在留資格取得の要件
    2. 5-2.在留資格の種類
      1. 5-2-1.就労に制限のない在留資格
      2. 5-2-2.原則として就労できない在留資格
      3. 5-2-3.ケースによって就労可能な在留資格
      4. 5-2-4.就労ビザまとめ
    3. 6.外国人雇用に必要な準備と手順
    4. 7.まとめ

    1.はじめに

    近年、人手不足の解消策として外国人雇用の必要性が高くなっています。その高まりと比例するように、初めて外国人労働者を雇用する際にはどのような体制で受け入れたら良いのか疑問点も多く出てくるでしょう。

    そこで本記事では、外国人雇用の動向とメリット・注意点とあわせて、就労ビザ、採用フローについて解説します。

    2.外国人雇用の動向

    現在、日本での働き手として、外国人労働者が存在感を増しています。厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)によれば、外国人労働者数は約166万人(前年比13.6%増)となっており届出義務化以降、過去最高を更新しています。


    外国人労働者が増加する背景としては

    • 政府が推進する高度外国人材や留学生の受入れが進んでいる
    • 「永住者」や「日本人の配偶者」等の在留資格所有者の就労が進んでいる
    • 技能実習生の受入れが進んでいる

    といったことがが考えられます。



    (出典:厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和元年10月末現在)』)


    また、内閣府発表のデータでは就業者全体に対する外国人労働者の構成比が2008年時点では0.8%だったところ、2018年には2.2%と10年間で倍以上の増加をみせています

    (出典:内閣府『政策課題分析シリ-ズ 18企業の外国人雇用に関する分析―取組と課題について―』)


    その他、インバウンド需要の拡大やITエンジニアの需要が高くなっており、外国人労働者を積極的に採用する傾向は今後も拡大していくものと予想されます。

    3.外国人雇用のメリット

    企業が外国人労働者を雇用することで得ることのできるメリットを3つご紹介します。

    • 人手不足の解消、コストの最適化、助成金の利用
    • 訪日外国人への多言語対応、社内グローバル化による新たな発見
    • 海外進出への足掛かり

    メリット1、人手不足の解消、コストの最適化、助成金利用

    まず挙げられるのが人手不足の解消です。若い人材の確保が難しい業種にとっては、外国人材も採用の対象とすることで求職者の母数が大きくなり、望む人材に出会える可能性が高くなります。併せて求人期間の短縮が実現すれば求人コストの圧縮にもつながります。

    また、外国人を受け入れる際に利用できる助成金があります。国だけでなく自治体が独自で実施しているものもあるため利用できる制度を有効活用するとよいでしょう。


    メリット2、訪日外国人への多言語対応、社内グローバル化による新たな発見

    外国人労働者の方々は母国語に加え、日本語や英語なども話せるマルチリンガルであることも珍しくありません。政府は観光を国の政策の一つに掲げており日本を訪れる外国人旅行客の数は増加の一途をたどっています。その中で多言語対応の需要はさらに高まっていくでしょう。外国人の従業員が職場にいることで、その国の文化や価値観を踏まえたスムーズな接客が可能となります。
    またそのような人材が社内いることで、その国特有の文化や知識、技術などから新たな発見、アイディアが生まれ、事業領域が新たな発展を見せる可能性もあります。


    メリット3、海外進出への足掛かり

    海外へのサービス展開、グローバル化を検討している企業にとって、現地の法律や習慣、言語の問題は大きな壁です。そこで、進出を予定している国をよく知っている外国人従業員がいれば、言語面や文化面などで有利といえます。海外ビジネスの展開を予定している企業にとって、関連する国の言語や習慣を熟知している外国人人材の雇用は必須でしょう。

    4.外国人雇用の注意点

    外国人雇用が増加する一方、難しさ、注意点も挙げられます。


    ※外国人労働者受け入れの際の難しさ
    • 文化、習慣の違い、異なる言語でのコミュニケーションの難しさ
    • ビザなどの要素を含む外国人労働者に対する労務管理

    難しさ1、文化や習慣の違い、コミュニケーションの問題

    文化や習慣の違いを理解していないと思わぬトラブルにつながることがあります。悪気がなくともお互いに不愉快になってしまうことや、場合によっては法律問題に発展することも。また、日本は察しの文化といわれますが、多くの外国人にとって理解が難しく、日本語の理解度によっては会話そのものが成り立たないことも考えられます。具体的な指示を現場に周知しておけば、行き違いを防ぎトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。日頃から相手の文化への理解を心がけ、尊重と柔軟な対応を意識することが大切です。


    難しさ2、外国労働者ならではの手続きやルールがある

    外国人労働者受け入れの際は、雇用に関する手続きや就労ルール等の知識を習得する必要があります。外国人受け入れに精通した担当者が居ない場合は、外国人材の紹介専門会社や、外国人の雇用に詳しい行政書士に相談することで解決できます。

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    ※外国人労働者受け入れの際の注意点
    • 安価な労働力の対象という認識は間違い
    • 外国人労働者に対するサポート体制

    注意点1、安価な労働力の対象ではない

    さまざまな法整備がなされ、優秀な人材として認識され始めている外国人労働者ですが、「安価で労働環境が多少悪くても働いてもらえる」と考えている企業もまだまだあるようです。日本人に不人気の職場は労働環境が厳しいことも多く、ここで不足する労働力を補うために外国人を雇用しようとする現状もあります。

    まず、日本人と同様に最低賃金は順守しなければならず、これを無視することは違法となります。また、昔とは違い、日本とアジア各国の平均賃金の差は狭まりつつあります。
    さらに「技能実習生」においては、給与のほかに監理団体や送り出し機関等への監理費用が発生することを理解しておく必要があります。


    注意点2、外国人労働者のサポート体制

    外国人の雇用をスムーズに行うためには、受け入れ先企業に十分な支援体制があるかどうかが重要になります。具体的には、以下のような支援が求められます。


    【入社前の説明・手続き】

    労働条件・雇用条件の説明、社会保険加入、外国人雇用状況の届出 など


    【職場環境のサポート】

    オリエンテーションなどによる社内ルールの周知、日本語学習のサポート など


    【生活サポート】

    携帯電話の契約、銀行口座開設、住居探し、日本での生活に必要な情報の提供 など

    はじめて日本にやってくる外国人は生活習慣など慣れない事ばかりです。仕事に専念してもらえるように管理部門や現場でのサポートが肝心です。また、精神的なケアも必要でしょう。未だに外国人労働者に対する差別やいじめなどの問題があり、言葉が通じず暴力で指導をしたり、暴言や差別用語で精神的な攻撃をしたり、宗教上の行為を不当に制限するなどの相談が後を絶ちません。

    また、習慣や文化の違いによるトラブルの背景でよくあるのは時間や生活上の優先順序についてです。日本では遅刻や欠勤に対する規律、組織やタスクに対する高い優先順序などを重要視する傾向にあります。対して、時間に対してルーズなのんびりした国民性や、仕事よりも家族を優先し家族との時間を確保するために残業をしない、休暇を取るといった価値観、給与分の仕事以上はしなくてよいという考え方の国もあり、労働時間や賃金交渉などでギャップが生じる可能性は往々にしてあります。

    しかしこれらはあくまで傾向であり、決めつけるべきものではありませんし、文化や習慣、価値観の違いを理解した上で関係を構築する必要があるのは異文化交流の基本でもあります。

    面接や試用期間で本人自身の考えや、習慣、文化の違いなど、業務に対して適正かどうかを判断しましょう。

    5.外国人を雇用できる就労ビザとは

    在留資格とは「日本に合法的に滞在するための資格」のことをいい、一定の身分や地位があるということを認めた「入管法」における法的根拠を持つ資格です。

    慣例的に在留資格を「ビザ」と呼ぶことがありますが、本来、ビザと在留資格は別物です。 ビザは上陸審査時に使用するもので、正式には「査証」と呼びます。査証は、海外にいる外国人が日本に入国許可を求めるためのもので、入国審査が済んでしまえば無効となります。対して、在留資格は「日本での在留と一定の活動を認める資格」であり、さまざまな種類があります。このうち就労が可能な在留資格を「就労ビザ」と呼ぶため、外務省発行の「ビザ(査証)」とは別物であることを覚えておきましょう。

    在留資格には、就労できない資格、就労可能な資格など合わせて29種類の資格があり、目的に合わせた在留資格を取得することによって、許可された期間まで日本に滞在し、所定の活動が可能となります。

    外国人労働者が必要な就労可能な在留資格には、就労に制限のない身分系の資格4種類と、就労内容に制限のある資格19種類とがあります。身分系の在留資格には、永住者のほか日本人と結婚した場合や、永住者と結婚した場合に取得できる資格などがあります。具体的には次章でご説明します。




    (出典:出入国在留管理庁)

    5-1.在留資格取得の要件

    在留資格取得要件は在留資格ごとに異なりますが、基本的に日本国籍を取得していない者は取得対象者となります。ただし、以下に該当する人物は、そもそも入国許可がおりないため、海外現地の外国人材を雇用する際には注意が必要です。
    1. 法令違反で刑に処されたことがある
    2. 犯罪歴などがあり素行が悪い
    3. 過去に強制退去となったことがある
    4. 銃や刀剣などを不法に所持
    5. 麻薬などの常用者
    6. 出国命令制度を利用して出国

    5-2.在留資格の種類

    在留資格は大きく分けて、活動内容や在留期間などの制限を受ける在留資格(活動資格)と活動制限の少ない身分または地位に基づく在留資格(居住資格)の2種類があります。就労ビザは前者に含まれますが、活動資格の中には就労が認められていないものもあります。外国人労働者を雇用する際には活動内容にあった在留資格を取得しているかどうかを確認しておきましょう。


    居住資格 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
    活動資格 外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習、文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在、特定活動

    5-2-1.就労に制限のない在留資格

    地位や身分に基づく在留資格では、就労は制限されていません。 日本人と同様に職業の選択の自由があり、どのような職業に就くことも可能です。
    • 永住者……法務大臣から永住許可を受けた者
    • 定住者……法務大臣が一定の理由を考慮して一定の期間の居住を認めた者
    • 日本人の配偶者等……日本人の配偶者や子・特別養子など
    • 永住者の配偶者等……永住者の配偶者や子など

    5-2-2.原則として就労できない在留資格

    下記の在留資格は、原則として就労することができません。外国人雇用の際には注意が必要です。
    • 文化活動……収入が発生しない学術・芸術上の活動を行うための在留資格
      (例)日本文化の研究者など
    • 短期滞在……親族に会う、スポーツや観光などを目的とした90日以内の滞在に
      認められる在留資格
    • 留学……教育機関で教育を受けることを目的とした在留資格
    • 研修……日本の公私の機関に受け入れられ、技能などを習得するための在留資格
    • 家族滞在……「教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、 医療、研究、
      教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、 興行、技能、特定技能2号、文化活動、留学」 の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者 又は子のための在留資格

    ただし、文化活動・留学・家族滞在の在留資格に限っては、「資格外活動の許可」を受ければ一定の範囲内で就労が可能です。上記資格を持った外国人の応募があった時には、必ず資格外活動の許可を得ているかを確認するようにしてください。

    5-2-3.ケースによって就労可能な在留資格

    特定活動は、法務大臣が個々の外国人に対して活動を指定して認める在留資格です。ワーキングホリデーや、外交官の家事使用人なども含まれます。活動内容には様々なパターンがあり、一概に就労できる在留資格とはいえません。



    外国人を採用する場合は、「その在留資格が就労可能であるか」を念頭に、就労指示書の内容をよく読み「就労できるか・できないか」「どの範囲で就労できるのか」といった点の確認をしましょう。確認の仕方がわからなければ、採用以前に出入国在留管理庁へ問い合わせしてください。

    5-2-4.就労ビザまとめ

    以下に、就労可能な在留資格の中で活動内容に制限がある19種類についてまとめています。 在留できる期間や、認められている活動の範囲など下記を参考にしてください。



    (出典:出入国在留管理庁)


    外国人が日本で就業する場合、活動内容が在留資格の範囲内でなければなりません。また、在留資格で許可されている時間数を超えた労働や、認められていない活動に従事することは不可能です。

    例えば、技術・人文知識・国際業務の在留資格では「ホテルで清掃をする」「居酒屋で接客をする」といった単純労働は認められません。このような単純労働に従事させた場合は、資格外活動として不法就労助長罪に問われ、企業も処罰の対象となる可能性があります。

    外国人労働者を受け入れる際には、在留資格やその資格で認められている活動範囲に十分に気をつけましょう。

    6.外国人雇用に必要な準備と手順

    外国人労働者の雇用は、日本人とは違う手続きや確認が必要です。在留資格によっても多少の違いはありますが、一般的には以下のような流れで進めます。ここでは、採用までの手順について説明します。

    【外国人採用のフロー】

    STEP1 求人募集/選考/内定
    STEP2 労働契約の締結(雇用契約書作成)
    STEP3 在留資格(就労ビザ)申請・変更 ※国内在住者は不要な場合も有り
    STEP4 入社の準備 ※住居手配などの環境面、在留資格によっては事前ガイダンスの研修、渡航など
    STEP5 雇用開始

    STEP1 求人募集

    • ウェブサイトやSNS等、自社で募集をかける
    • 大学や専門学校から外国人留学生を紹介してもらう
    • 外国人従業員や知り合いから紹介してもらう
    • ハローワーク・外国人材の派遣・紹介会社や監理団体などを通じて採用をする

    外国人労働者の採用に最も効率的な方法は、日本の人材紹介サービスや外国人採用に精通したエージェントを利用することです。在留資格申請や変更の手続きだけでなく、受け入れがスムーズに運ぶようトータルでサポートをします。

    STEP2 労働契約の締結(雇用契約書作成)

    応募から内定まで進んだら、雇用契約書を作成します。応募してきた外国人労働者が在留資格を持っているかどうかを確認し、給与や業務の内容について双方、よく話し合ってから雇用契約を結びましょう。その際、雇用契約書や労働条件通知書などは必ず書面で契約し、本人への配布が義務付けられています。違反した場合、企業側が責任を問われます。

    STEP3 在留資格(就労ビザ)申請・変更 ※国内在住者は不要な場合も有り

    雇用契約を交わしたら、本人に就労ビザの取得が必要かどうか確認します。
    外国人労働者を雇用する場合、就労ビザ(就労できる在留資格)を持っていなければならず、申請自体は外国人本人が行うものの、企業側にも用意しなければならない書類があります。

    就労ビザを申請したのち、出入国在留管理局による審査が行われます。審査は外国人労働者と受け入れ企業の両方が対象です。企業の審査項目は、企業規模や安定性、外国人労働者の雇用実績や外国人労働者が担当する業務内容です。審査にかかる期間は外国人労働者と企業によって異なりますが、平均すると1カ月ほどかかります。

    STEP4 入社の準備 ※住居手配などの環境面、在留資格によっては事前ガイダンスの研修、渡航など

    在留資格申請をおこない許可が下りるまでの間に入社準備をおこないます。特定技能などの在留資格の場合は企業などによる事前のオリエンテーションを実施します。海外現地から採用する場合は、在留資格の許可が下りてから渡航という流れになります。

    7.まとめ

    外国人労働者の受け入れは、人手不足の解消や採用コストの改善などのメリットがある反面、異文化摩擦やそれに伴う現場の負担増、在留資格によって就労できる業務が異なることなど難しい面もあります。また、在留資格についてよく把握しておく必要があります。

    外国人採用についてお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。



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