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「特定活動46号」ってなに?—大卒留学生の採用が変わる!「特定活動46号」活用術と「技人国」との決定的違い

元入管職員の女性社労士がお届けする
~タイムス大学 外国人雇用のいろは講座

プロフィール 石野 明紀葉 先生
熊本大学法学部を卒業後、法務省福岡入国管理局にて外国人の入国・在留審査に従事。その後、地元に戻り、出産・育児を経て鹿児島大学や就労支援施設で事務職や助成金申請業務に携わりながら、行政書士および社会保険労務士の資格を取得。現在は法律事務所での勤務と並行して、Kiire社会保険労務士事務所を運営し、外国人雇用や在留資格に関する労務相談、障害年金請求を専門に、企業や個人への法的サポートを提供しています。


先生:今日は、企業が外国人留学生を採用する際に重要となる在留資格、「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる「技人国」と、最近注目されている「特定活動46号」について勉強していきますよ。

生徒:「特定活動46号」ってあまり聞いたことがないんですが、何ですか?

1. 「特定活動46号」って何?

先生:「特定活動」というのは、法務大臣が個別のケースに応じて許可する在留資格の一つで、ワーキングホリデーやインターンシップもその一種です。その中で「46号」は、2019年に導入された新しい制度で、日本の大学や大学院を卒業した優秀な留学生が、卒業後も日本で働けるようにするためのものなんです。

生徒:じゃあ、誰でも対象になるわけじゃないんですね?

先生:その通り。以下のような条件があるんです。

・学歴:日本の大学・大学院卒業者。2024年からは「高度専門士」や、短大・高専卒業後に学士を取得した人もOKになりました。

・日本語能力:N1合格、BJT480点以上、もしくは日本の大学で日本語を専攻して卒業していること。

・報酬:日本人と同等以上であること。

2. 「技人国」と「特定活動46号」の違い

生徒:じゃあ、今まで主流だった「技人国」とは、何が違うんですか?

先生:「技人国」では、大学での専攻と職務内容の厳密な関連性が求められ、特に翻訳・通訳などの専門職で採用された場合、現場作業に従事することは「関連業務」としてごく一部しか認められませんでした。

しかし、「特定活動46号」では、この制約が大幅に緩和されます!
「特定活動46号」の最大の魅力は、日本語での円滑なコミュニケーションを前提とした柔軟な業務設計が可能な点にあります。ここが1番の相違点と言えるでしょう。

具体例で見てみよう

生徒:もっと具体的に教えてください!

先生:では、ケーススタディを見てみましょう。

ケース①:ホテルでの採用

・技人国 → 通訳が主業務の場合、フロントやベルスタッフの業務は基本的に不可。

・特定活動46号 → 通訳に加えて、フロント・接客・予約管理まで幅広く担当できる。

ケース②:工場での採用

・技人国 → 外国人技能実習生への通訳はOK。でも自分が製造ラインで働くのは不可。

・特定活動46号 → 通訳しながら現場で一緒に作業、リーダーとしての指導も可能。

生徒:なるほど。「特定活動46号」なら、現場と管理の両方ができるんですね。

3. 活用する際の注意点

先生:ただし、都合の良いことばかりではありません。以下に注意点をまとめます。

単純作業だけではNG:
あくまでも「学んだ知識を生かす」ことが前提です。皿洗いや清掃など、誰でもできる作業だけではダメ。日本語を使った円滑なコミュニケーションを求められる業務が含まれていなければなりません。

N1レベルの人材は少ない:
N1レベルの人材は、外国人留学生の中でも一握りです。採用市場での競争は激しく、相応の待遇と魅力的な職場環境がなければ、確保は難しいでしょう。

「学びの活用」が前提:
業務範囲が広いとはいえ、大学での学びと全く無関係な業務では許可されない可能性があります。職務内容が、本人の学歴やキャリアプランとどう結びつくかを説明できることが重要です。

今日の授業のまとめ:未来の幹部候補を採用するチャンス

「特定活動46号」は、すべての留学生を採用できる万能な在留資格ではありません。しかし、「技人国」の要件では採用が難しかった“現場も分かる将来の幹部候補”や“企画から販売・接客まで一貫して任せたい人材”を獲得したい企業様にとっては、非常に強力な選択肢となります。

外国人採用のルールは年々複雑化しています。自社に最適な人材を、最適な在留資格で迎え入れるために、常に情報をアップデートすることが大切です。

\こんな企業におすすめです/
外国人採用の可能性を広げたい企業にとって、「特定活動46号」は非常に有力な選択肢です。

・「技人国」の要件に合わずに採用を諦めていた企業
「技人国」では専攻と職務の関連性が厳しく問われるため、せっかくの優秀な留学生でも採用できなかった企業にとって、「特定活動46号」は実務寄りの人材活用が可能な新たな選択肢です。

・将来、現場も理解できる幹部候補を育てたい企業
現場での経験を積ませながら育成できるため、語学力・コミュニケーション力を備えた将来の管理職候補を中長期的に育てたい企業に最適です。

・多様な業務を任せられる外国人材を探している企業
「特定活動46号」なら、通訳や書類業務にとどまらず、接客や現場作業など幅広い業務を担当できる人材を柔軟に配置できます。

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上記に当てはまる企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

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