人手不足を外国人ドライバーが救う!
【運送業の皆さま必見】外国人ドライバーの育成、採用の流れとは?(後編)
在留資格「特定技能」
2025.06.16

外国人ドライバーの採用、不安?
外国人ドライバーの育成、採用の流れとは?(後編)
登場人物
株式会社キャムグローバル ビジネスソリューショングループ
マネージャー 鮫島 慎吾

入社後キャムコムグループの人材紹介・派遣部門で新規顧客の開拓、既存のお客様の採用活動、採用後のフォローを担当。その後、エリアマネージャーを経て、同グループキャムグローバルの立上げメンバーとしてビジネスソリューショングループ マネージャーに着任。
現在、外国人雇用に関する商材の開発や外国人材を採用する企業の課題解決を行っている。
株式会社キャムグローバル ビジネスソリューショングループ
コンサルタント 宮下 伊能

入社後、製造事業部(仙台店)にて勤務した後、海外事業推進部メディア・プロダクトチームへ合流。人材不足の企業様へ外国人人材の活用コンサルティング事業を経験し、現在は外国人人材に特化した求人サイトの運用/営業に加え、特定技能 自動車運送業分野における人材育成、提案スキーム構築を行っている。
株式会社東京デザインアーツ 編集部
ライティング/メディア/オーガニック集客担当 兼海外人材タイムス編集長 渡邉 泰輔

メディア運営責任者として中途入社。海外人材タイムスの運用、メディア関連商品企画、
オーガニック集客を担当している。
渡邉
前編では、少子高齢化を迎えた日本と物流業界の概況、外国人ドライバーに必要な資格や外国人ドライバー採用において雇用主が気をつけること、雇用後のライフサポートについてお話しをいただきました。後編は(株)キャムグローバルの外国人ドライバーの育成・採用事業の取り組み、外国人ドライバーの受け入れに際して行う手続きの流れについてお話を聞かせていただきます。

外国人労働者が日本を救う?!
━外国人の交通事故が多い昨今、不安が募ります…!
渡邉前回、労働人口が減少する中、外国人労働者に頼らざるを得ない実情についてお伺いしました。
しかし、人がハンドルを握るということは命に直結する一大事だと思います。いくら要件をクリアしているからとて、外国人ドライバーが増えるとなれば尚更不安を感じてしまいます。
実際のところ、その点いかがでしょうか。
大山
最近、日本の各地で外国人運転手による交通事故が話題となっていますね。
例えば、内閣府の「令和元年交通安全白書」によると外国籍運転者(第1当事者)による交通事故件数は、平成26年6672件に対し、平成30年には6710件とほぼ横ばいであるのに対し、そのうち国際免許又は外国免許取得者による交通事故件数は平成26年の180件に対し平成30年280件と5年間で約1.6倍となっていることがわかっています(特集-第41図)。

また、外国籍運転免許保有者数が平成21年から平成30年の間に25%増加していること(特集-第40図)が話題になる一方、レンタカー運転者(第1当事者)による交通事故件数は”平成26年6366件→平成29年5913件/7.1%減”と、減少傾向にある中で外国人運転者(日本国籍以外で国際免許又は外国免許取得者)による交通事故件数は、平成26年の68件に対し平成30年は158件と5年間で2.3倍に増加していることがわかります(特集-第43図)。


渡邉
もっと、急増している印象だったのですがそうでもないんですね?!
鮫島
SNSの発達により外国人による迷惑行為や犯罪行為、不起訴処分になった事件や事故が過剰に取り上げられることで、実情以上に『外国人による交通事故が増加している』といった風潮に世間が踊らされている側面があるのかもしれません。
ただし、交通事故総合分析センターによると(運転資格が国際免許等、観光や娯楽目的で車両を運転している)訪日外国人のレンタカーによる人身事故件数は、平成26年には25件だったところ、平成30年には92件とおよそ4倍に増えているという統計もあるため、外国人ドライバーによる重大事故が看過できない問題であることに違いはありません。

大山
こうした事故が起きる要因として、本人の過失以外では言語や文化、交通ルールの違いが考えられます。
例えば、外国人ドライバーが右左折時の確認を怠る、交差点での信号無視や一時停止の義務を守らないなど、ルールの理解不足が事故につながっています。日本や韓国などの一部の国では踏切侵入時に一時停止の義務がありますが、世界を見渡せばこのルールを敷いているのはきわめて少数派。こうした違いが事故の原因になることも十分に考えられます。
また、日本の道路交通法に基づく運転に対する意識、風土は他国と比べて厳格であるため、細かなルールやマナーの違いが事故の原因となることもあります。加えて、言葉の壁があるため、事故後のコミュニケーションがスムーズに進まず、事故処理が遅れることもあるようです。
ベトナムの自動車運転教習所のいま
━きちんとしたカリキュラムのもと免許講習が行われています!
渡邉そうなると、そもそも法律による規制が緩い国(安全運転に関する意識が低い国)における自動車免許講習の実態が気になるのですが、どういった状況でしょうか。
鮫島
例えば、ベトナムの自動車運転教習所は、過去数十年で大きく進化しました。
以前は運転免許を取得するための制度が未整備であり、運転技術や交通ルールに対する教育が十分でない状況でした。運転教習所も規模が小さく、カリキュラムや教本が整備されていない場合も多かったため、多くのドライバーが基礎的な交通ルールを十分に理解せずに道路に出ることが一般的でした。そのため、交通事故や違反が多発し、安全運転への意識が低いとされていました。
しかし、近年ではベトナムの自動車運転教習所が大きな改善を見せています。政府は交通事故の減少を目指して、運転免許の取得過程を厳格化しました。運転教習所では、標準化されたカリキュラムに基づいて、交通法規や安全運転技術の指導が行われています(参考資料:ニャーベ職業・継続教育センター)。


運転免許の種類A:二輪、三輪バイクやトラクター/B:積載量3500kg未満の車両/C:積載量3500kg以上の車両
教本も近代化され、運転技術の基本だけでなく、道路標識の理解や交通マナー、緊急時の対応など、実践的な教育が強化されました。さらに、シミュレーションを使った訓練や、実際の道路を使った実地訓練が導入され、より安全な運転技術を身につけることができるようになっています。

また、運転免許の交付基準も厳格化され、実技試験や筆記試験において、一定の合格基準を満たさなければ免許が交付されないようになりました。

このような取り組みの結果、ベトナムのドライバーの運転技術や交通ルールへの理解が向上し、交通事故の発生率も減少しています。さらに、ベトナム政府は都市部における交通渋滞や安全性向上を目指し、交通インフラの整備とともに運転教育の質向上に注力しています。これにより、今後も運転免許取得者の質は向上し、より安全な道路環境が整備されることが期待されています。
特定技能外国人ドライバーってどんな人たち?
━【(株)キャムグローバル】がベトナムで育成・採用事業に着手!
大山そうした土壌が整ってきた中で、私たち(株)キャムグローバルでは、ベトナムにおける日本向けドライバー人材の育成と、日本企業へのスムーズかつ多数の送り出しを実現するための体制作りを始めました!

こちらの写真は、2024年10月17日、国営の職業訓練校でベトナム南部最大級の人材輩出数を誇るニャーベ職業・継続教育センターと、日本語教育施設であり海外送出機関でもあるホアン・ハー人材開発株式会社、ベトナムキャムコム有限会社との4社による『特定技能外国人(自動車運送業)の育成・採用事業に関する日越企業間協定』を締結した際に撮ったものです。
この取り組みで、特定技能で必要とされる「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」に向けた独自カリキュラムによる日本式交通法規の座学および運転技能の習得、日本の運転免許への切り替え、日本語能力試験N3・N4レベルの習得、そして日本企業での受け入れや受け入れ体制の構築コンサルティングまで、特定技能外国人ドライバー採用に求められるサービスを一気通貫で提供可能な体制を構築し、倉庫間の配送を担うドライバーを中心として、年間200名の採用を目指しています。
渡邉
今回の提携先について、もう少し具体的に教えてください。なぜ、その2社と提携されたのでしょう?
鮫島
ニャーベ職業・継続教育センターは国営職業訓練校が併設運営する南部最大級の教習所で、ベトナム国内の職業ドライバーを年間約2000名輩出しています。日本の教習所と同様の環境が整っており、日本のトラック、乗用車での教習が受けられます。また、デジタル化された免許センターも隣接し、優れた利便性が備わっています。
ホアン・ハー人材開発株式会社は、年間約1000名のベトナム人を海外に送り出している大規模な全寮制の日本語教育機関 兼 海外送出機関で、ニャーべ教習所に隣接した分校を保持しています。人材紹介や採用コンサルティングなど企業ニーズに沿った雇用関連サービスも提供しており、「先進国での人材育成を通じて、ベトナムの未来に貢献する」ことを経営理念の一つとしています。

こうした提携先と協力することで、日本の交通ルールに則った外国人ドライバーの育成と就労を推進していく所存です!
日本でどんな教習が行われるの?
━運転免許の切り替えや技能評価試験について教えて!
渡邉よく「正しく知って正しく恐れろ」といいますが、まさに知らないことばかり…!恐れる以前に、国内外の状況が徐々に整ってきていることがわかりました。
ところで、日本で就労したい外国人ドライバーはどのような手続きや教育を受けるのでしょうか。

大山
運転免許の切り替えや技能評価試験などいくつかの手順を踏む必要があります。
1. 運転免許切り替え
外国で運転免許を取得したドライバーが、日本の運転免許を取得するためには、まずは「運転免許切り替え手続き」を行う必要があります。これには、対象国の運転免許が日本と相互認証されていることが条件です。例えば、アメリカやドイツ、フランスなど一部の国では、免許の切り替えがスムーズに行える一方で、他の国では追加の学科試験や実技試験が必要となることもあります。
切り替えを行うには、運転免許試験場で必要書類(原免許証、翻訳証明書、住民票など)を提出し、視力検査や適性検査を受けることが求められます。また、外国免許証が日本の運転免許試験に適用されるかどうかは、各国間の協定に基づくため、事前に確認が必要です。切り替えの際には、書類審査だけでなく、場合によっては学科試験や実技試験が求められます。
2. 技能評価試験
技能評価試験は、日本の道路交通法に則った運転ができるかどうかを確認するために行われます。外国人ドライバーが日本で運転を始める際には、まず日本特有の交通ルールや運転マナーを理解しているかが重要です。技能評価試験は、以下の主要な項目に分かれます。
基本的な運転技術:車両の基本操作や駐車、車庫入れなど、日常的な運転に必要な技術を確認します。特に、発進、停止、左折、右折、バック駐車などが評価されます。
道路交通法の遵守:信号や標識、交差点での一時停止、速度制限など、交通ルールを守って運転できるかが確認されます。外国の交通ルールとの違いを理解していることが重要です。
車両の安全確認:運転中のミラーや目視による周囲の確認、急ブレーキや急ハンドルの回避など、安全運転を行う能力が評価されます。
実地走行テスト:試験官の指示に従い、実際に道路を走行します。この際、交差点での右左折、車線変更、急停車の対応などを実施し、交通の流れに沿った適切な運転ができるかを評価します。
緊急時の対応:予期せぬ状況において適切に車両を操作できるか、また緊急時に冷静に対応できるかもチェックされます。
外国人ドライバーは、日本の交通環境や運転マナーに慣れるための教育を受けることが重要です。多言語対応の教本やシミュレーションを活用し、日本の運転基準に適応するための指導が行われることが一般的です。また、日本では特に交通ルールに対する厳格な遵守が求められるため、外国人ドライバーは試験の合格後も定期的に交通安全教育を受けることが推奨されています。
総じて、日本の運転免許取得や切り替え手続き、技能評価試験は、外国人ドライバーが日本の運転規則や交通文化に適応できるように設計されています。
ちなみに、日本の道路交通法に基づく運転教本は各国版が既に販売されていますよ。
運送会社はどんな準備をしたらいい?
━外国人ドライバー採用に際してやることリストをください!
渡邉前回、外国人ドライバー採用に関する注意点について教えていただきました。改めて、外国人ドライバーの受け入れに際して行う手続きの流れについて教えてください。
大山
以下、外国人労働者受け入れに際して必要な手続きをリスト化したものです。ドライバーとして雇用するためには、前述したように教習所にて日本式自動車教習と日本式実技訓練を実施しなければなりません。もちろん、弊社からご案内する人材は、そうした試験・訓練をクリアした外国人ドライバーです。
【外国人労働者受け入れに際して必要な手続きの手順】

我々は、外国人労働者も受け入れ企業も安心かつスムーズな就労体制の構築を支援しています。ドライバー人材の求人は、(株)キャムグローバルまでお問い合わせください!
終
前編はこちら
外国人採用に関するオンライン無料相談やってます!
- 雇用が初めてなのですが、私たちの業務で採用ができますか?
- 外国人雇用の際に通訳を用意する必要はありますか?
- 採用する際に私たちの業務だとどのビザになりますか?
- 外国人の採用で期待できる効果はなんですか?
上記に当てはまる企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
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