海外人材Times

外国人労働者の雇用・採用WEBメディア

検索
海外人材Times

【インドネシア】技能実習制度の今後の動きとは?国営職業訓練校の取り組みを解説

CONTENTS

  1. 1.技能実習制度を利用するインドネシア人は増加する?
  2. 2.インドネシアの技能実習生を取り巻く課題
  3. 3.インドネシア政府が実施する職業訓練強化の取り組み
  4. 4.まとめ

2022年6月27日、人材領域のサポート事業を展開する綜合キャリアグループの株式会社キャムテックは、インドネシア政府関係者との意見交換会を開催しました。


職業訓練・生産性向上部門局で総局長を務められるBUDI HARTAWAN氏、インドネシア海外労働者派遣協会AP2LN会長のBUDI氏をはじめとした、総勢10名の方々とディスカッションを実施し、議論の中では、技能実習生受け入れの現状や課題、日本とインドネシアの未来に向けたビジョンを共有しました。


本記事では、今回のディスカッションでテーマとなったトピックをもとに、技能実習制度の現状と課題を解説します。課題改善に向けた取り組みや、キャムテックの掲げるビジョンについても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.技能実習制度を利用するインドネシア人は増加する?


キャムテック:厚生労働省の資料※1によると、外国人労働者数は年々増加しています。技能実習制度を利用する人も増加しており、将来的に技能実習生の数は拡大していくことが予想されています。
このような状況を踏まえて、技能実習制度を利用するインドネシア人の動きについて教えていだけますか?


インドネシア政府関係者:結論から述べると、技能実習制度を利用するインドネシア人は増加することが予想されます。


現在、日本は少子高齢化が叫ばれ、総人口は平成20年から減少の一途をたどっています。30歳未満の割合は30%以下となっており、企業間では人材不足が問題視されています。


一方、インドネシアでは30歳未満の割合が総人口に対して50%となっており、人口は依然として増加しています。16歳から30歳の人口は合計6,400万人にもおよびます。


つまり、日本国内で若年層の外国人を雇用する動きは活発化し、インドネシアを含め技能実習生へのニーズが高まるということです。


キャムテック:日本の企業が人材不足を解消するために、外国人を雇用しようとしていますよね。特に、若い世代を採用したいという企業は日本に多いので、若年層の割合が多いインドネシアへの注目が集まりそうです。反対に、インドネシアから日本に来て、就労経験を得たいと考える若者は多いのでしょうか?


インドネシア政府関係者:はい、日本で働きたいと考える若者は多く存在します。


インドネシア国内の世帯収入は以前よりは増加傾向にあります。しかし、増加しているとはいえ、日本と比較すると得られる収入額が低いのが現状です。稼いでいる方で月収4~5万円ということを考えると、やはり日本で稼ぎたいと考える若者が多いのでしょう。


日本で就労経験を得た技能実習生は帰国後に活躍しており、私たちとしては今後の経済発展につなげるためにも、引き続き技能実習制度の支援を強化していきたいと考えています。


キャムテック:日本企業がインドネシアの技能実習生を採用したいと考えているのに対し、インドネシアの若者は日本で収入を得たいと考えているのですね。お互いのニーズがあっているということは、今後も技能実習制度を利用する方が増えていくと思いました。

2.インドネシアの技能実習生を取り巻く課題

キャムテック:将来的に日本で働くインドネシアの技能実習生が増加することはわかりました。しかし、人数が増加するのに伴って、さまざまなトラブルが発生する可能性を懸念しています。

出入国在留管理庁が実施した調査※2によると、技能実習生の半数以上が来日前に借金をしていることが明らかになりました。


技能実習生の費用負担をはじめ、失踪問題や途中帰国、パワハラやセクハラなどの人権問題など、即時に解決すべき問題が数多く存在します。


インドネシアに関しては、技能実習生を取り巻く現状についてJICA(国際協力機構)の資料※3で、以下のように言及されています。


民間送出機関の組合(AP2LN)があるが、加盟は義務付けられていない。労働省が認可した民間企業約100社のうち約半分程度が参加。組合として、技能実習と特定技能を取り扱う政府組織を一元化するように陳情しているが現状は分かれている。また、特定技能での人材送出しに対する送出機関の役割の明確化も陳情。


このような状況の中で、インドネシア政府として特に注力している取り組みはあるのでしょうか?


インドネシア政府関係者:私たちは、現在悪質な送出機関の取締りを強化しています。現在、289ある送出機関に対しては厳しくライセンス許可をチェックしています。


今回私たちに同行していただいたAP2LNは優秀な送出機関です。ただ、手数料の徴収や失踪などの問題により、加盟するための条件をつけています。


結果的に、加盟している送出機関は100社程度となっていますが、トレーニングセンターを設置するなどして、送出機関の適正化・良質化を目指し、今後加盟数を増やせるように努めていきます。


キャムテック:悪質な送出機関を軽減しようと取り組みを強化されているのですね。


先ほど紹介した資料※3でも、2020年1月1日までにインドネシア政府が認定送出機関リストを公開し、5月1日から認定送出機関からのみ人材を受入れるという記載を確認できます。


また、2017年に技能実習法を制定したことで悪質な監理団体は減少しましたが、優良な監理団体を見つける方法が制限されていることも課題だと思います。


技能実習生が安心してプログラムに参加できるように、環境を整備することが大切だと思いました。

3.インドネシア政府が実施する職業訓練強化の取り組み

キャムテック:ここまで技能実習生を取り巻く課題についてお話をお聞きしました。


JICA(国際協力機構)の資料※3では、人材を送り出す際の課題として、以下の項目が挙げられています。
  • 日本語教員不足と日本語教育の質がバラバラ
  • 分野ごとの事前研修の質に課題を抱えている(特に農業分野)
  • 優良な監理団体の効率的な見つけ方が確立されていない
  • 帰国した実習生の把握がほとんどされていない(送出国及び受入国)
  • 帰国後のケアがほとんどない(送出国及び受入国)
  • 帰国後の就職支援が組織的に行われていない

現在、このような課題を改善するためにインドネシア政府が実施している、職業訓練強化の取り組みはあるのでしょうか?


インドネシア政府関係者:私たちは、国営職業訓練校を国内に16校設置しています。国営職業訓練校では、動車産業や漁業、農業、介護など、あらゆる分野で人材が活躍できるように研修を実施しています。


私たちは特に日本の製造業への送り出しを強化したいと考えており、課題を見直し、必要な研修内容を技能実習生に提供できるように努めていきます。


日本の人材関連企業や、外国人採用支援企業などにも現場を視察してもらい、共同で改善を目指していきたいと考えています。


キャムテック:国営職業訓練校での研修内容を強化していきたいということですね。


私たちキャムテックはJOE協同組合と提携し、技能実習生と受け入れに関するサポートを実施しています。新サービスの開発とあわせて技能実習を取り巻く問題解決に向けた活動も行っています。


日本の外国人採用をサポートする企業として、製造業の受け入れを強化していくためには、日本語に加え、ものづくりの基礎など、業務で必要なことを研修内容に取り入れるべきだと考えています。


事前に研修をしっかりと実施することで、技能実習生が現場で活躍できる可能性が高まります。ぜひ視察を早めに実施して、プラグラムの共同開発を実行したいと思います。

4.まとめ

今回の記事では、インドネシア政府関係者をお招きして開催したキャムテックとの意見交換会をもとに、インドネシアの技能実習制度の動向について紹介しました。


将来的にインドネシアを含め、外国人を雇用しようとする動きは増加していくことが予想されます。しかし、技能実習生を受け入れる際に生じ得る課題について理解していないと、日本企業は受け入れ機関としての適切な対応を取ることができません。


現在は、悪質な送出機関や過度な借金、手数料など、技能実習制度に関連したさまざまな問題を解決する必要性が高まっています。


このような状況を改善するためには、日本とインドネシアの企業や政府が協力し、問題解決に向けた取り組みを実施することが求められます。



外国人採用まるわかり!スタートガイド

外国人採用に関するオンライン無料相談やってます!

  • 雇用が初めてなのですが、私たちの業務で採用ができますか?
  • 外国人雇用の際に通訳を用意する必要はありますか?
  • 採用する際に私たちの業務だとどのビザになりますか?
  • 外国人の採用で期待できる効果はなんですか?

上記に当てはまる企業様は、ぜひ一度ご相談ください。