実習生の受け入れ方式で約97%を占める「団体監理型」を徹底解説!
2021.01.28
技能実習生の受け入れには2種類あります。まず、実習実施者となる日本の企業が、取引先等海外の現地法人、海外の支店、関連企業、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて、技能実習を実施する方式を「企業単独型」といいます。
次に、事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体である監理団体が、技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)に派遣し、そのサポートを受けながら技能実習を実施する方式を「団体監理型」といいます。外国人技能実習機構によると、2018年では、受け入れ企業の約97%がこの方式で実習生を採用しました。本稿では、この団体監理型について詳しく解説します。
監理団体とは
原則として監理団体は非営利でなければいけません。監理団体として許可を受けるために、以下の要件を満たす必要があります。
- 営利を目的としない法人であること
- 事業を適正に行う能力を持っていること
- 監理事業を健全に遂行できる財産的基礎を持っていること
- 個人情報を適正に管理するための措置を講じていること
- 外部役員または外部監査の措置を実施していること
- 基準を満たす外国の送出機関と、技能実習生の取次ぎについての契約を締結していること
- 第3号技能実習を行う場合は、優良要件を満たしていること
- 監理事業を適正に遂行できる能力を持っていること
監理団体として許可される法人形態は以下が含まれます。
- 商工会議所
- 商工会
- 中小企業団体
- 職業訓練法人
- 農業協同組合
- 漁業協同組合
- 公益社団法人
- 公益財団法人
監理団体は具体的に次の役割を担っています。
- 定期監査と臨時監査、訪問指導
- 実習にかかわる業務(送り出し機関の選定と契約、送り出し国での面接同行、受け入れ企業の技能実習計画作成に対する指導、技能実習生の入国手続き、入国後講習)
- 技能実習生の保護・支援
なお、監理団体には「特定監理事業」と「一般監理事業」という分類があり、それぞれ監理できる技能実習生や期間に違いがあります。前者は技能実習1号~2号を3年〜5年間監理できるのに対して、後者は技能実習1号、2号、3号を5年〜7年監理することが可能。どの監理団体も特定監理事業からスタートしますが、実績を積み、高い水準を満たした優良な監理団体は、一般監理事業の許可を受けることができます。
団体監理型のメリット
団体監理型で技能実習生を探す場合、人材の募集から入国に関わる手続きまで全て監理団体に任せることができるため、海外に拠点を持たない中小企業にとっても便利です。監理団体がサポートしてくれる業務は下記の通りです。
- 入出国に係る事務手続きの代行
- 配属までの日本語講習の実施
また、監理団体としての許可を受けていれば、「無料職業紹介事業」の許可がなくても、技能実習に係る雇用関係の斡旋を行うことが可能となります。
団体監理型のデメリット
技能実習生の受け入れをスムーズに進めることができる団体監理型には問題点があることも事実。団体監理型では、不当行為の件数が企業単独型に比べて多いのです。
法務省入国監理局の2018年の資料によると、最低賃金違反や不適正な残業時間、人権侵害といった不正行為を通知した機関は2017年に213ありましたが、この数字を受け入れ形態別に見ると、企業単独型の受け入れ機関は3機関(1.4%)であったのに対して、団体監理型の受け入れ機関は210機関(98.6%)にのぼりました。
さらに、問題があった監理団体を細かく見てみると、事業協同組合90件(95.6%)、農業協同組合2件(農協、2.2%)、商工会2件(2.2%)と、問題の多くは、団体監理型受け入れの事業協同組合(とその傘下)で発生していることがわかります。
農協や商工会などは歴史や経験が長く、規模も大きいため、官公庁などの繋がりが深く、その分コンプライアンスがきちんと守られている傾向があるので、不当行為は起きづらいと考えられます。 その一方、事業協同組合は実習生を受け入れるために新設された団体が多く、ノウハウやスタッフが不足したり、受け入れ企業と近い関係の人たちで構成したりして、実習生の監理や支援が甘くなっていると見られています。このような職務怠慢が、実習生の失踪や生活苦だけでなく、自殺などを引き起こすこともあります。
このような理由で、監理団体を選ぶ際は、監理費の安さばかりに気を取られるべきではありません。注意すべき点は次の通りです。
- 適切な運営がされているか
- 適正な監理費であるか
- 教育体制(日本語学校など)が整っているか
- 適切に書類を作成・提出・管理しているか
- 適正な知識や経験をもったスタッフが在籍しているか
- 担当者の対応が誠実であるか
このように、団体監理型のメリットとデメリットを総合的に評価しながら、監理団体を選ぶための指標をきちんと持ち、信頼できる相手を選ぶことが、この受け入れ方式では重要です。
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