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日本の「ものづくり」を支えているのに求人倍率は最大で約4倍!「機械・金属分野」が技能実習を必要とするワケ

日本といえば、ものづくり。それを支えてきた産業の一つが機械・金属分野で、技能実習制度の対象職種になっているだけでなく、特定技能の分野にも含まれています。本稿では、その背景と作業内容、製造業の3分類を説明します。

技能実習生を受け入れる背景

近年、この業界では熟練者の高齢化が大きな問題となっています。その一因として、製造業に下請け会社が多いことが考えられますが、若年層は、昨今の景気の不透明さもあり、大企業志向が強くなっています。その結果、下請けである中小企業には人が集まりにくくなっているとも言えるでしょう。このように、後継者や若手従業員の確保が難しい状況に加え、企業が安価な労働力を求め、海外に進出したことから、働く人が年々不足しています。

求人倍率を見ても、人手不足は深刻です。経済産業省がまとめた「素形材産業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」によると、2017年では、機械・金属分野に含まれる鋳物製造工が3.82倍、鍛造工が4.32倍、金属プレス工が2.97倍。全業種の有効求人倍率が1.46倍なので、いずれもそれを大きく上回る結果となっていました。この状況は今も大きく変わっていない模様です。

技能実習制度の対象職種

機械・金属分野では15職種が技能実習制度の対象となっています。各職種では、どのような作業が行われているのでしょうか?

鋳造

鋳鉄、もしくは銅および銅合金、マグネシウムとマグネシウム合金、およびアルミニウムとアルミニウム合金などを溶かして中型に注ぎ込み、冷えて固まった後で鋳型から取り出し、目的に応じた製品に仕上げる。「鋳鉄鋳物鋳造作業」と「非鉄金属鋳物鋳造作業」がある。

鍛造

「ハンマ型鋳造作業」と「プレス型鋳造作業」がある。前者は、ハンマ型鋳造機に型彫された金型を取り付け、この金型の中に材料を入れて打撃する一方、後者は加圧し、鋳造製品の成形を行う。

ダイカスト

「ホットチャンバダイガスト作業」と「コールドチャンバダイガスト作業」がある。ホットチャンバダイガストとコールドチャンバダイガストよ呼ばれるマシンを使用して鋳造作業をする。

機械加工

「普通旋盤作業」「フライス盤作業」「数値制御旋盤作業」そして「マシニングセンタ作業」がある。普通旋盤作業とフライス盤作業は、普通旋盤やフライス盤を使用し、材料の形状や材質に応じて、加工方法や切削条件などの各種調整を行った後、加工物を回転させ、刃物台に付いている刃物で、目的に応じて切削加工を行う。

数値制御旋盤作業は、数値制御旋盤を使用し、外丸削り、中ぐり、正面削りなどの各種切削加工を数値制御運転によって行う。材料の形状や材料に応じて、加工方法や切削条件などのプログラムの編集・入力をした後、自動運転により、目的に応じた切削作業も行う。

マシニングセンタ作業とは、マシニングセンタや回転工具を使ったフライス削り、中ぐりなどの各種切削作業のことを指す。加工プログラムに従って工具を自動交換できる機械により、材料の形状や材質に応じて、加工方法や切削条件などの各種調整を行う。その後、数値化した加工データのプログラムを作成して、目的に応じた切削作業を行う。

金属プレス加工

「金属プレス作業」を指す。動力プレス機械を使用しながら、金属板を所定形状に成形する冷間加工を行う。

鉄工

用意された図面に従って「構造物鉄工作業」を行い、所定の構造物を制作する。けがき作業、切断作業、接合作業、ひずみ取り作業などが含まれる。

工場板金

「機械板金作業」を指す。パンチングマシン、レーザマシン、ベンディングマシン、シャーリングマシンなど板金加工用機械を使用し、金属薄板の平板(厚さ6ミリ程まで)で製品・部品を形作る。

めっき、溶融亜鉛めっき作業

「電気めっき作業」を指す。 電解液中で、めっきされる金属板を陰極にし、皮膜形成させたい金属を陽極にする。そこに直流電流を流し、金属皮膜を形成。溶融している亜鉛の中に製品を浸して引き上げ、製品の表面に亜鉛の皮膜を形成させる表面処理作業を行う(「溶融亜鉛めっき作業」とも)。

アルミニウム陽極酸化処

「陽極酸化処理作業」を指す。電解溶中でアルミニウム製品を陽極にして電解処理し、酸化皮膜を形成する。

仕上げ

「治工具仕上げ作業」「金型仕上げ作業」「機械組み立て仕上げ作業」がある。 治工具とは、材料を台に固定するための道具と材料を切削する刃物の総称。各種作業(たがね作業、やすり作業、きさげ作業、穴あけ作業、けがき作業、みがき作業)により、異なる精度を要する治工具制作を行う。

金型仕上げ作業とは、研削などの工具機会を使用したり、手作業による部品のはめ合わせや平面のすり合わせを行ったりして、金型の表面粗さや表面性状などを向上させる。

機械組み立て仕上げ作業では、機械装置のはめ込み作業、圧入作業、かしめ作業などにより、機械装置の分解・組み立て、調整、心出し作業などを行い、部品や機械を仕上げる。

機械検査

「機械検査作業」を指す。

機械保全

工場や生産ラインに設置されている、さまざまな機械設備全体の故障や劣化を予防し、維持・保全する。保全対象は機械単体ではなく、設備全体。機械系の異常、損傷、腐食、汚れなどの発見や原因の究明、対応策の検討および対応作業も行う。

電子機器組立て

電子回路基板への部品の取り付け、接続・接着などにより、電子回路を内蔵した各種機器の総合的な組立てや点検を行う。電気系や機構系における調整や測定などの作業も含まれる。

電子機器組立て

「回転機器組立て作業」「変圧器組立て作業」「配電盤・制御盤組立て作業」「開閉制御器具組立て作業」「回転電機巻線制作作業」が含まれる。

プリント配線板製造

電子回路基板(プリント配線板、プリント配線実装基板、モジュール基板、モジュール実装基板、電子回路実装基板など)を設計および製造する。

製造業の3業種

機械・金属分野の一部を含む製造業は、特定技能外国人制度の対象分野となっていますが、2019年に同制度に関する新たな運用方針が発表され、製造業は「産業機械製造業」「素形材産業」「電気・電子情報関連産業」の3つに分類されました。以下で、それらの属性を見ておきましょう(日本標準産業分類に対応)。

産業機械製造業(10業種)

  • 2422 機械刃物製造業
  • 248 ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
  • 25 はん用機械器具製造業(2591消火器具・消火装置製造業及び素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く)
  • 26 生産用機械器具製造業(素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く)
  • 27 業務用機械器具製造業
  • 270 管理、補助的経済活動を行う事業所
  • 271 事務用機械器具製造業
  • 272 サービス用・娯楽用機械器具製造業
  • 273 計量器・測定器・分析機器・試験機・測量機械器具・理化学機械器具製造業
  • 275 光学機械器具・レンズ製造業

素形材産業分野(12業種)

  • 2194 鋳型製造業(中子を含む)
  • 225 鉄素形材製造業
  • 235 非鉄金属素形材製造業
  • 2424 作業工具製造業
  • 2431 配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)
  • 245 金属素形材製品製造業
  • 2465 金属熱処理業
  • 2534 工業窯炉製造業
  • 2592 弁・同附属品製造業
  • 2651 鋳造装置製造業
  • 2691 金属用金型・同部分品・附属品製造業
  • 2692 非金属用金型・同部分品・附属品製造業
  • 2929 その他の産業用電気機械器具製造業(車両用、船舶用を含む)
  • 3295 工業用模型製造業

なお、金属などの素材に熱や圧を加えることで形が与えられた部品や部材のことを「素形材」と呼びます。代表例として、自動車は鋳物(エンジン部分)や金属プレス品(自動車のボディ部分)など、さまざまな素形材によって作られています。

電気・電子情報関連産業(3業種)

  • 28 電子部品・デバイス・電子回路製造業
  • 29 電気機械器具製造業(2922 内燃機関電装品製造業及び素形材産業分野に掲げられた対象業種を除く)
  • 30 情報通信機械器具製造業

2019年4月より技能実習2号修了者は、最長5年まで在留できる特定技能1号を試験免除で取得することが可能になりました。さらに、滞在中に高い専門性などを認められた場合は、在留期間の上限がない特定技能2号を取得することも可能。技能実習生から特定技能に移行するためには、さまざまな条件をクリアする必要がありますが、このようなことも早い段階で視野に入れておくべきかもしれません。

【出典】

  • 経済産業省「素形材産業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」 https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181225011/20181225011-1.pdf

  • 経済産業省「製造業における特定技能外国人材の受入れについて」
    https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/gaikokujinzai/pdf/20200206.pdf

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