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ベトナムの送り出し機関を訪問したら、質問攻めに遭いました
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの見聞録Case33

生活関連

2025.05.28

20XX年。
少子&超高齢社会を迎えた日本。
国内企業は、人材不足解消のため外国人材の活用に活路を見出していることだろう。

しかし、外国人材の活用については、労働環境の整備や異文化理解・コミュニケーションなど、課題であふれている。

果たして、企業が外国人労働者から選ばれるには?

本コラムは、外国人材の背景にある“異文化”への理解の第一歩として読んでいただきたいノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能ゆりなの見聞録Case33
ベトナムの送り出し機関を訪問したら、質問攻めに遭いました

私、伊能ゆりなは、日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。

日頃は外国人材を雇用する企業や雇用される外国人の皆さんをサポートするキャリアアドバイザーとして、メンバーとともに全国各地で起こる珍事を紐解き、解決しているのだが(これまでの「青山智香の解明」はこちら)、現在、弊社ではベトナム、インドネシアなど外国人材市場の開拓にも力を入れており、海外での業務も増えてきた。

今回は、ベトナム出張に際して、見聞き、体験した記録を紹介していきたいと思う。

ベトナムの送り出し機関を訪れる

ここまでの記事でも触れてきたように、いま私は特定技能ドライバーの育成や紹介スキーム構築に伴う出張でベトナムを訪れている。
日頃は、人手不足解消のため、外国人労働者受け入れに取り組む企業に対し人材の紹介や雇用に際しての労務管理などの支援、生活面を含む就労サポート業務を行っており、昨今は運送業で外国人ドライバーの受け入れが解禁されたことで、弊社でも良質なドライバー人材育成、就労支援に力を入れている。



この日、午前中に日本の物流企業が行う現地面接会に参加し、昼食をとった後、午後は送り出し機関(日本語学校)に訪問した。

私たち一行が到着すると、先生方から告知されていたのか玄関先でキラキラした眼の齢20歳前後と思しき青年たちが拍手をして出迎えてくれた。



ここは日本で働きたいベトナムの若者たちが集まり寝食を共にする、いわゆる宿泊型研修施設。彼、彼女らはこちらで約半年、日本語や日本での社会的マナー、仕事に関する知識を習得し、日本にやってくるのである。
最近のトレンドとして、ドライバー業界や介護職における人手不足の解消のため、技能実習生や特定技能外国人を雇用する企業が増えつつある。

ちなみに日本貿易振興機構(JETRO)の調査を見てみると、2022年のベトナムにおける1人当たりの月間平均所得は660万ドン、年収にすると7920万ドンであったことがわかる。これを日本円に換算すると月収4万円、年収48万円ほどとなり、国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」によれば、日本の平均年収は443万円で、年収を比較すると約9倍もの差があることがわかる。
先進国、特にG7、主要7カ国の中で最も高い相対的貧困率(2021年の調査で15.4%)が問題となっている我が国日本といえど、近年、急成長を遂げつつも発展途上国であるベトナムから見れば(読者の皆さんの所感は置いといて…)「めっちゃ稼げる国!」「みんな超がつくお金持ち!」な国なのである。

日本全国どこへ行ってもインフラが整っているし、生活していく上で重要なポイントとなる食文化も近い。同じアジアの国として魅力的に映るのは当然のことと言えよう。

質問攻めをくらう

さて、そんな若者たちが待つ教室へ向かい挨拶かたがた教壇に立つと、後方の掲示板には日本の小・中学校さながら日本地図や日本語(ひらがな)の図表があり、興味津々な瞳で私たちを見つめる学生たちを前に、ちょっぴり先生気分を味わわせてもらった。



本物の先生が「日本から来てくれたので、質問してみましょう」と投げかけると「はい!」と元気良く手を挙げる子たちが続出!小学生時代ならいざ知らず、自我が形成され始めると、途端にシャイになる日本人学生たちとは大違い。
呆気に取られていると、先生が順番に当てていくスタイルへと切り替わった。

質問1(あまり日本語が得意ではなさそうな男の子)
「日本は、今は、暑い?」

私の回答
「日本は今、冬という季節で(訪問したのは2月)寒いです。雪が降ることがあります。もうあと1ヶ月もすれば春という季節で暖かくなってきますが、それでもこんな薄着(半袖1枚)では寒いです。日本に来たら防寒着を準備しましょうね」

—隣の女子と顔を見合わせ「Oh…」という表情をする彼。ベトナムは年中暑いので、寒いってどのぐらい寒いんだろうなどという興味があるのだろう。ちなみに、来日して初めて雪を見るベトナム人の皆さんは、たいがいテンション爆上がりで雪だるまを作ったり雪合戦をしたりしている。
質問2(真面目そうな女の子)
「日本のcapital cityは東京です。東京で有名な場所は何ですか」

私の回答
「東京の名所は、スカイツリーや浅草の雷門などたくさんありますね。でも、電車ですぐですから、鎌倉がおすすめですよ!街並みを散歩するだけでも楽しいです。日本に来たらぜひ行ってみてください」

—実はわたくし鎌倉出身なのです(笑)ここぞとばかりに猛プッシュ!!!!
質問3(ちょっとふくよかな男の子)
「日本で1番おいしい料理は何ですか」

私の回答
「うーん…。ラーメンですかね(ラーメンって日本食でいいんだっけ??)他にも寿司、天ぷら、色々ありますが手頃に食べられて種類もあって、ラーメンマニアもいますよ」

—「わ〜♪」と声を挙げ、周囲の子たちとキャッキャと手を叩きリアクションをとる女子。この質問には会場全体が一段と沸き立つ感じ。やっぱり食べ物は皆さんのお楽しみポイントなんでしょうね。
質問4(活発そうな女の子)
「イケメンはたくさんいますか?」

私の回答
「いっぱいいますよー!特に東京にたくさんいますので、ぜひ勉強をがんばって、日本で活躍できるようスキルを身につけてください。そして日本のメンズ、捕まえちゃいましょう!」

—本当は「ほら、目の前にいますよ」と答えたかった…。彼女の目は私の頭上を越え、遥か遠くを見ていたのだった。とほほ

皆さん、習いたての日本語を確かめるように、そしてこれから就労し、日々の生活を営むことになる日本への憧れや興味を全身で表現してくれていた。「こんなにも日本に好意を寄せてくれるなんて」とうれしくなった一コマだった。

その後は、既に内定が決まっている子たちの「私が働く場所(県)はどこでしょう?」といったミニクイズの時間を楽しみ、授業は終了。あっという間!!!



皆さん、始業と終業時に「お願いします」や「ありがとうございました」と言い、腰を折り深くお辞儀をする。この挨拶の姿勢を見ていると、最近の日本(学校)では見なくなった光景な気がして「ぜひ、勉学に励んだ暁には日本で活躍してほしい」と胸が熱くなったのだった。

次回は自動車学校訪問編!お楽しみに。




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