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日本の物流企業が行う「現地面接会」に現れた意外な人物とは?
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの見聞録Case31

生活関連

2025.05.14

20XX年。
少子&超高齢社会を迎えた日本。
国内企業は、人材不足解消のため外国人材の活用に活路を見出していることだろう。

しかし、外国人材の活用については、労働環境の整備や異文化理解・コミュニケーションなど、課題であふれている。

果たして、企業が外国人労働者から選ばれるには?

本コラムは、外国人材の背景にある“異文化”への理解の第一歩として読んでいただきたいノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能ゆりなの見聞録Case31
日本の物流企業が行う「現地面接会」に現れた意外な人物とは?

私、伊能ゆりなは、日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。

日頃は外国人材を雇用する企業や雇用される外国人の皆さんをサポートするキャリアアドバイザーとして、メンバーとともに全国各地で起こる珍事を紐解き、解決しているのだが(これまでの「青山智香の解明」はこちら)、現在、弊社ではベトナム、インドネシアなど外国人材市場の開拓にも力を入れており、海外での業務も増えてきた。

今回は、ベトナム出張に際して、見聞き、体験した記録を紹介していきたいと思う。

日本での就労を夢見て

冒頭でも触れたように、弊社そして私たちは人手不足解消のため、外国人労働者受け入れに取り組む企業に対し人材の紹介や雇用に際しての労務管理などの支援、生活面を含む就労サポート業務を行っている。昨今は運送業で外国人ドライバーの受け入れが解禁されたことで、弊社でも良質なドライバー人材育成、就労支援に力を入れている。

今回は特定技能ドライバーの育成や紹介スキーム構築に伴う出張でベトナムを訪れているため通常の見聞録のようなオモシロ要素は少ないかもしれないが、現地でないと感じられない現場の様子などをお届けできたらと思う。



まずは日本の物流企業が行う現地面接会の様子から。
面接会に集まった若者たち。中には30代~40歳前後の方もいるが、それでも働き盛りの若者が集まっている。



プライバシー保護のため、お顔を写すわけにはいかないのだがここでの特筆事項は、一にも二にも「こんなに日本で働きたいという若者が多いのか!」ということだった。皆、一様に目をキラキラと輝かせており、新卒入社の社員のそれというよりは“欲しかったゲームを買ってもらえる子どもたち”のような熱視線を感じた。

彼らの望みは「お金を稼いで家族を養うのだ!」「母国ベトナムで起業するための資金を稼ぎたい!」というもの。ちょっと、いや、だいぶん切実…。そんな一人ひとりの、夢と希望にあふれた眼差しが印象的で、会を催す日本企業の担当者や私たちも自然と背筋が延びる。



さらに驚きは続く。



息子の面接に、お父様がいらっしゃってる…!!!!

お受験さながらの光景。子を持つ親なら気持ちはわからなくはないが、家族の生活がかかっているからには親子ともども猛プッシュという心持ちなのだろう。それぐらい気合い十分。ただ、その熱量も日本語しかわからない私たちには通訳によりクールダウンされた状態で届けられる。内容としては、日本での就労に期待しているというもの。発展途上国のベトナムから見れば、日本経済への期待は多きいのだろう。

今回は、お父様の熱弁のおかげで(?)無事に彼+1名の6名が内定をいただいた。彼らは今年の年末~来年初旬に入国予定だ。

外国人ドライバーに必要な条件と資格

ちなみに外国人ドライバーに必要な条件や資格は以下の通りで、誰でも簡単にハンドルが握れるわけではない。



例えば、トラックドライバーとして日本で働くには

 ・日本語能力試験でN4レベルの合格
 ・特定技能1号評価試験に合格
 ・日本の運転免許(第一種運転免許)の取得

これらの条件が必要とされ「日本語能力試験でN4レベル」とは簡単な日常会話や新聞、身近な話題についてゆっくり話されたニュースなどを理解できるレベルである。

外国人がトラックドライバーとして就業するには、まず外免切替を利用して普通自動車運転免許を取得するのが一般的なステップで、その後、日本の道路交通法に従い一定期間の運転経験を積み、中型や大型自動車の免許を取得する。さらに、特定技能1号評価試験ではトラックドライバーに必要な「運行業務」や「荷物の積み下ろし(荷役業務)」に関する知識が試され、この試験に合格することで特定技能1号の在留資格を取得しトラックドライバーとして働けるようになる。

昨今の風潮的に勘違いされているところがあるかもしれないが「外国人労働者の誰もが簡単にトラックドライバーになれる」ということではないため、日本の皆さんはぜひ安心していただければと思う。

写真はベトナムの自動車教習所。昔は教官に袖の下…なんてこともあったとかなかったとか…であるが現在は日本同様、体系立てられた教習が行われている。


さて、話しは戻って面接会を振り返っての感想。
昨今の日本で若者からこれほどまでに純粋に働く意欲を感じるのは稀だろう。私自身、仕事(担当者)としてうれしく思うと同時に、それほどまでに熱く日本での就労を夢見ている若者たちに対し、日本人労働者として危機感も覚えた。超高齢化社会による慢性的な人手不足、将来的に直面する労働人口の激減という課題の打開策として、外国人の活用は一理あるものの国外に活路を見出すこと以外にできることはないのだろうか…。


次回の食事編をお楽しみに。





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