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風水がビジネスや家の向き・間取りを左右するって本当?@ベトナム
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの見聞録Case14

生活関連

2025.01.15

20XX年。
少子&超高齢社会を迎えた日本。
国内企業は、人材不足解消のため外国人材の活用に活路を見出していることだろう。

しかし、外国人材の活用については、労働環境の整備や異文化理解・コミュニケーションなど、課題であふれている。

果たして、企業が外国人労働者から選ばれるには?

本コラムは、外国人材の背景にある“異文化”への理解の第一歩として読んでいただきたいノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能ゆりなの見聞録Case14
風水がビジネスや家の向き・間取りを左右するって本当?@ベトナム

私、伊能ゆりなは、日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。

日頃は外国人材を雇用する企業や雇用される外国人の皆さんをサポートするキャリアアドバイザーとして、メンバーとともに全国各地で起こる珍事を紐解き、解決しているのだが(これまでの「青山智香の解明」はこちら)、現在、弊社ではベトナム、インドネシアなど外国人材市場の開拓にも力を入れており、海外での業務も増えてきた。 今回は、ベトナム出張に際して、見聞き、体験した記録を紹介していきたいと思う。

ベトナム風水の歴史

9月になり、少しずつ雨の日が増えてきた。あと、数か月もすれば2024年も終わってしまう…。



ベトナムは、テトの時期(ベトナムの旧正月、基本的には中国の春節と同じ時期)になると、商店街など街中が赤や黄色の飾り物やホアマイの花(ベトナム中南部でテトの頃に咲く迎春花)で彩られると聞く。日本のお祝い事が紅白をベースとするように、国によってそうした色合いは決まっているようだ。

この数週間、ダナンで過ごしてみて気づいたのだが、至る所に黄色い壁の建物や鮮やかな草花、カラフルなランタンが飾られている風景を眺めていると、時期に関係なくこの地の人々が原色を好む習性があることがわかる。ただ、日本人の私にしてみれば、陽気な人々も相まって「いつだって落ち着く隙がない」というのが本音だ。



そんなある日、ベトナム在住歴10年の不動産関係者と会話する機会を得た。

彼がいうには「国によって住まいやオフィスに求める条件は違う。また、宗教の影響も多分に含む」らしい。



『ベトナムでは、住居、都市(計画)、建造物の吉凶を占う風水の文化が根付いている。 未だに部屋の間取りや方角にこだわる人がいて、時には富裕層(特に年配)のクライアントが相手だと、設計の打ち合わせに建築士だけでなく風水師が呼ばれることがある。さらに興味深いのは、建築士より風水師の意見が優先されること。

ただし風水といっても、イマドキの風水で開運を図るニュアンスとは異なり、ひと昔前の日本における家相や地域の言い伝えと似ている。

例えば、前回の記事でもお伝えしたように「3」「4」は忌み嫌わる数字。他にも「先祖や神様を祭る祭壇は最上階の部屋に」「最も陰の気が強いトイレが寝室の上に来ないように」などといったことが挙げられる。また、一風変わった決まりで「家主の年齢や竣工年によって建物の位置や向きが変わる=完工予定がずれてしまうと設計計画も変更しなければならない」ことがある。

そうしたことから、便座の方向が決められてしまい「使いにくいトイレ」や、急すぎたり緩やかすぎたりと「機能性が劣る階段」が存在するのがベトナム流。利便性を追求した社会で生きる私たちがここで暮らすには、ちょっとした不便を楽しむ寛容さが必要になるだろう』

と教えてくれた。
さらに話は続く。

国や地域により、色の嗜好性があるらしい

『ベトナム語で風水は「phong thủy」と発音する。その思想は、老子を祖とする道教の影響を受けており、経典とされる「仙道五術」の中にある「風水地理」に基づいている。道教の伝来から1000年以上が経ち、住環境や生活様式もすっかり様変わりした昨今において、若い世代の風水(思想)の意識は弱まりつつあるが、ビジネスシーンにおいては未だ幅広い世代で風水を重視する考えが根付いているようだ』



ここで、冒頭の話に戻ろう。
そもそも、ベトナムが色で溢れているのには理由があるという。

『日照率が高く太陽光線が強いベトナムでは、街中の全てが鮮やかな色彩として目に入る。そうした環境下で目が慣れてしまうため、必然的にビビットなカラー(鮮やかな原色系の色合い)が好まれるようになる。



逆に都市部を中心に日本人が淡いパステルカラー(中間色)を好むのは、日照率が低く1年の半分ほど灰色の空の下で過ごすため強い色彩の刺激が続くと不快に感じてしまうから。北欧インテリア・家具が人気なのはこうしたことに起因する部分があるため、マーケティング施策を張る際には環境要因を把握するのも大事』

とのことだった。

国による色の嗜好性を調査した統計もあるようなので、興味がある方はインターネットで調べてみると何かと面白そうだ。



同じ人間であるにも関わらず、私たちはあまりに違う。異文化理解、共生の難しさはDNAレベルといっても過言ではないのかもしれない。



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