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成人式で一躍有名人になったインドネシア人技能実習生の話
キャリアアドバイザー伊能あやめの事件簿Vol.37

生活関連

2025.06.27

これから外国人材の雇用を予定している人もそうでない人も!!

異なる人種、文化、価値観に触れる時
― 外国人って、どんな人たちなんだろう
― どんなことに気をつけたらいいんだろう
― 日本人や日本の文化をどう思ってるんだろう
などなど、不安や疑問に思うこと、ありますよね。

この記事は、実際に起きた珍事を元に、外国人雇用の現場に携わる人々の戸惑いを描き

「外国人材の皆さんと、どんなふうにコミュニケートしたらよいの?」

のヒントが隠れる、異文化理解の橋渡しを目的としたノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能あやめの事件ファイルVol.37
成人式で一躍有名人になったインドネシア人技能実習生の話

ワタシ、伊能あやめは外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決、サポートする業務に携わる、いわゆるキャリアアドバイザー。日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。
実はこれまでもメンバーとともに珍事の解明に取り組み、全国を走り回っている(これまでの珍事はこちらからどうぞ)。

ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら私たちの仕事を紹介していきたいと思う。

市役所からの謎の封書

僕はインドネシア人技能実習生のアンドリュー。茨城県にある食品加工工場に勤めている。

日本で暮らしてみての感想は、季節のうつろいと共に街の景色、匂い、空の色、草花の姿形…が変容していき、そのどれもが素晴らしい!ということ。たいていどこの地域に出かけても環境整備が行き届いており気持ちよく過ごせるし、正確な運行スケジュールで動く公共交通機関は、僕たちをどこへでも連れて行ってくれる。また、住人や街行く人々はみな親切で、食事もおいしいしスーパーなども充実していて、衣食住どれをとっても文句のつけどころがない。

1点あるとすれば、去年初めて“冬”という季節を経験して、年中温暖な気候で生きてきた僕にとってその数ヶ月は風邪との闘いだったことぐらいだろうか。でも、人生初めての雪に狂喜乱舞して、友人と雪だるまを作ったり雪合戦をしたりしたことは良い思い出となった。



「今年もあと1ヶ月かー。雪が降るのは来月か?いや、再来月だったかな…」

そんなことをつぶやきながら寒空のもと帰宅すると、郵便ポストに市役所から封書が届いていた。市役所は自ら赴き、何かしらの手続きをする場所。あちらから僕に用事とは、何事だろうか。ところどころに僕でも理解できる文章が並んでいて、来年1月12日の日付、簡易的な地図や矢印が記載されていた。

日本で働き出してちょうど1年ぐらいだろうか。仕事や日常生活で使う言葉の理解は日に日に進んでいるが、いかんせん文章となると見慣れない漢字や語彙、表現が多くて理解が追いつかない。悩んだ挙句、僕の身の回りのお世話をしてくれる あやめ先生に写真を送ることにした。



お風呂からあがると、早速あやめ先生からの返事が届いていた。通知をタップすると、あやめ先生がいつも使っている動物の“おつかれ様”スタンプに始まり、いつもより多めの文章が並んでいた。今日はインドネシア語に翻訳してある。※あやめ先生は難しい内容を伝えるときは、社員さんに頼んでインドネシア語に翻訳した内容を送ってくれるのだ。

あやめ先生
「アンドリューさん!それは「成人式」の招待状です。「成人式」って、知ってますか?

これは日本の伝統的な行事で、満20歳(数え年という年齢の数え方があるんだけど、その説明はまた今度!)になる若者たちが“大人”になることを祝う日なんです。毎年、1月の第2月曜日に開催されているので、カレンダーを見てみてください。「成人の日」という祝日になっているはずですよ。

ちなみに“大人”になることを祝う日なんですが、その目的は若者が大人としての自覚を持ち、社会の一員としての責任を認識することです。会場では新成人の皆さんを祝福するメッセージや講演会などが開催されます。

それから、その日、女性は振袖、男性は羽織袴などの正装をすることが一般的です。もしかしたら去年、街中やテレビで見かけたかもしれないけど、女性は防寒対策で白いモフモフしたファーを身につけているのでとても華やかで目立ちます。男性はビシッとスーツを身に纏っている人もいます。いわゆる、晴れ着ですね。

市役所から招待状が届いたということは、アンドリューさん!ぜひ、来てくださいということです。人生で1度しかない経験ですから、参加することをおすすめしますよ。

追伸

市役所から手紙が届いたのは「成人式」は皆さんがそれぞれ住んでいる地域(自治体)が主催するからです。驚きましたか?

なんて素晴らしい取り組みなのだろう。インドネシアには「成人式」など存在しないし、そもそも日本人の皆さんにとっても人生に1回きりのとても貴重な伝統的行事。その行事へのお誘いだったとは。あやめ先生にお礼を言い「成人式」とググってみると、そこには着物を着た女性たち、武士のような衣装でポーズをきめている男性がずらりと出てきた。

「これは、日本の文化に触れるチャンスかもしれない。『成人式』に参加して母国の家族にも僕の晴れ姿を見せたい!よーし……」

僕の胸は高まった。

そして、ふと、あることを思いついた。

バティックで臨む、成人式

「成人式」当日。僕はバティックに身を包み会場を訪れた。

パディックとは主にジャワ島などで用いられてきたインドネシアの伝統的な衣装。動きやすく通気性の高い綿素材が使われており、上衣はゆったりとしたデザインで腰に巻く布と共に着用される。地域や儀式によって模様や色が異なるが現在でも伝統行事や文化イベントで着用され、インドネシアの農耕文化を象徴する衣装として位置づけられている。その製法は布に溶けた蝋で模様を描いて色をつけ、蝋を剥がして綺麗な模様を描くやり方。



バティックの起源は17世紀のインドネシア王宮および貴族社会にあるといわれている。当時、バティックの紋様は王宮の権威や身分を象徴するシンボルであり、一般庶民が着用することは禁じられていた。現在ではビジネスシーンや冠婚葬祭など、正装として着用されるようになった。ちなみに、2009年10月9日には、ユネスコ無形文化遺産に登録され、同日は「バティックの日」と定められている。さらに、インドネシアでは毎週金曜日を「バティックデー」とし、政府機関職員、学校関係者、会社員、一般市民に至るまでバティックの着用が推奨されている。

そんなわけで、当日の僕はこちら!



周囲は着物や袴、スーツ姿の日本人ばかりだったため僕は一躍有名人となった。何人もの人に写真を撮られ、話しかけられ、その度に一生懸命返事をした。僕としては「せっかくの機会だから」と自分らしく正装して出席しただけだったので、1番驚き、慌てふためいたのは僕自身だったかもしれない。



その夜、僕は家族とあやめ先生に成人(社会人)としての決意と日頃の感謝のメッセージを送った。予期せぬハプニング(?)はあったものの、生涯に一度の「成人式」は大人としての自覚を持ち、社会の一員としての責任を認識するにふさわしいものだったと思う。






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