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宗教上のタブー「頭・手・足」に秘められた意味 ーなんで数珠は左手で持つの?
キャリアアドバイザー伊能あやめの事件簿Vol.36

生活関連

2025.06.20

これから外国人材の雇用を予定している人もそうでない人も!!

異なる人種、文化、価値観に触れる時
― 外国人って、どんな人たちなんだろう
― どんなことに気をつけたらいいんだろう
― 日本人や日本の文化をどう思ってるんだろう
などなど、不安や疑問に思うこと、ありますよね。

この記事は、実際に起きた珍事を元に、外国人雇用の現場に携わる人々の戸惑いを描き

「外国人材の皆さんと、どんなふうにコミュニケートしたらよいの?」

のヒントが隠れる、異文化理解の橋渡しを目的としたノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能あやめの事件ファイルVol.36
宗教上のタブー「頭・手・足」に秘められた意味

ワタシ、伊能あやめは外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決、サポートする業務に携わる、いわゆるキャリアアドバイザー。日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。
実はこれまでもメンバーとともに珍事の解明に取り組み、全国を走り回っている(これまでの珍事はこちらからどうぞ)。

ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら私たちの仕事を紹介していきたいと思う。

指示の仕方に要注意

私はタイ人技能実習生のアルン。千葉県にあるプラスチック製品加工工場で働き初めて1年。今日から配置転換で現場に新たな担当者さんがやってくると聞いている。前任の田中さんによると、次にいらっしゃる方は僕も好きなアニメに精通しているらしい。
僕はポケットモンスターやナルトなど、子どもの頃からテレビで見ていたアニメが好きなのだが、その方はどんなアニメが好きなんだろう。おすすめも聞いてみたい。これから昼休みが楽しみだ!



朝礼。
後任の方は思っていたより若くてはつらつとした感じの男性だった。名前は佐藤さん。こんがりと日焼けした細マッチョな体躯は僕とは程遠い生活スタイルを思わせる。佐藤さんは明るくハキハキと挨拶をすると、私たちひとり一人の顔を見ながら名前を呼び、出身地や今どんな仕事をしているかなどを細かく確認してくれた。



そんな佐藤さんと仕事をするようになって1週間。今日は初めて2人きりの現場に入ることになった。仕事をしながら話すことはできたけど、まだ肝心のアニメの話はできてない。でも、あんな風貌でアニメ好き?僕なんかは家にこもりっきりが多いけど、佐藤さんの休日はもっぱら海なんじゃないか…?うーん、でもサーファーにだってアニメ好きはいるだろうし。それにしても……

「アルンさーん!アルンさーん?」

遠くで佐藤さんが私を呼んでいる。

「すみません。今行きますー」

話したいことを考えていて手が止まっていた。慌てて声がする方に向かうと倉庫の奥で佐藤さんが山積みの段ボールを抱えヨロヨロと歩を進めているではないか。

(あ、手伝わなきゃ…!)

すると、段ボール2段目あたりから声が反響する。

「あー、アルンさん来た?よかった。そこの……これと同じ文字が書いてある段ボールを一緒に運んでほしいんだ」

「わかりました!!」

急ぎ佐藤さんが出てきた列を確認すると似たような段ボール箱が所狭しと並んでいる。

(あれ、隣の列だったかな?でも、こちらに積まれているのは明らかにサイズの違う段ボールだし…)

迷った僕は出口に向かう佐藤さんの元に駆け寄り、文字を確認しようと段ボール箱を覗き込んだ。

「あれ?アルンさん…?あ、もしかしてわからなかったかな」

「そうなんです。確認しにきました」

「あ、ごめん。アルンさんがわかるように手前に運んでほしい段ボール、もう出しておいたんだ。そこにある分を持ってきてくれないかな?」

そう言って佐藤さんが、足で僕が来たルート脇に小積まれている段ボールを指す

「あれと、その隣のやつ。箱のあっち側にこれと同じマークが付いてるからわかると思うんだけど…」

僕を促すように目配せをする佐藤さん。悪気がないのはわかる。でも——。

「あ、あの、佐藤さん。佐藤さんは僕の上司ですが、足で指すのはやめてください。それは良くないです。私の国は仏教で、足で指示するのはいけません。日本は、それはいいですか?」

「なるほど、ごめん。日本は…いや、僕は“足を使うのは行儀が悪い”ってぐらいしか親に言われなかったから」

「いえ、そうですか。急に怒ってすみません。段ボール、持ってきますから先に行っててください!」

この後、佐藤さんに宗教上のタブーなど勉強不足で申し訳ないと平謝りされたことは言うまでもない。

頭は神が宿る場所、足は不浄の気の通り道

宗教上のルール。それは、それぞれが生まれ育った環境がもたらすコモンセンス(普通の人なら当然知っているはずの知識や考え方、感覚)。だが、何を良しとし何を悪とするか、明確な基準はなく国や地域、個人の価値観に依るところも大きい。

例えば、お世話になった人に「足を向けて寝られない」という言葉があるように、日本でも「足」は不浄な部位と考えられており、大切なものを足で踏まない足元に置かないといったしきたりは一般的な家庭において浸透しているものと思われる。同様の認知で、仏教やイスラム教、ヒンドゥー教なども人に足を向けたり、跨いだりといったことはタブーとされている。ただ、明確な宗教を持たない日本人はこうした宗教的な本質はさほど知らされず、単なる礼儀作法としてしつけられている家庭が多いのではないだろうか。



日本の神道においては、今でも宮中や神職に就く者が装束を身に着ける時、足袋を履いた後に手水を行い、手を清めてから白衣、帯、袴、冠、上着の順序で装着する。また、儀式での足運びについて、動作の初めは必ず神前から遠い足から出し、退く時は神前から近い足の順に動かす決まりがある。昇殿、退殿の際は履物に手を触れず、特殊な履き方をするそうだ。



他にも、イスラム圏の国で左手は不浄の手として有名だが、そうした考えが仏教に伝播し取り入れられたことで数珠は左手で持つという作法が生まれたと言われている。右手は仏様、左手は人間界を表し、不浄な私たちが数珠の導きを受けて合唱することで仏様と出会えるといった認識だ。

逆に頭は神が宿る場所なので、安易に触れてはならず大切に扱わねばならない。脳はダメージを受けると回復が難しいといった医学的意味ではなく、宗教上でも大事にすべき部位である。

さて、話が横道に逸れてしまったが、日本以上に宗教上のタブーが明確で厳密な外国人労働者を雇用する企業やその他関係者の方々は、ぜひこの辺り、留意いただければと思う。






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