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恋は盲目?!うつ病を発症した技能実習生の話
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件簿Vol.31

生活関連

2025.05.16

これから外国人材の雇用を予定している人もそうでない人も!!

異なる人種、文化、価値観に触れる時
― 外国人って、どんな人たちなんだろう
― どんなことに気をつけたらいいんだろう
― 日本人や日本の文化をどう思ってるんだろう
などなど、不安や疑問に思うこと、ありますよね。

この記事は、実際に起きた珍事を元に、外国人雇用の現場に携わる人々の戸惑いを描き

「外国人材の皆さんと、どんなふうにコミュニケートしたらよいの?」

のヒントが隠れる、異文化理解の橋渡しを目的としたノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件ファイルVol.31
恋は盲目?!うつ病を発症した技能実習生の話

ワタシ、伊能ゆりなは外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決、サポートする業務に携わる、いわゆるキャリアアドバイザー。日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。
実はこれまでもメンバーとともに珍事の解明に取り組み、全国を走り回っている(これまでの珍事はこちらからどうぞ)。

ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら私たちの仕事を紹介していきたいと思う。

遠距離恋愛中の彼とのデート

私の名前はハディ。インドネシア人技能実習生として日本で働き始めてもうすぐ半年。日本での生活が仕事もプライベートも充実していているのは、きっと彼のおかげ。

そう、私は毎月、遠距離恋愛中の彼に会いに行くのを楽しみに仕事に励んでいる。
彼とは入国後に研修施設で出会ってすぐに恋愛関係に発展し、1ヶ月の研修の後、私が埼玉、彼が大阪への配属となり現在は、絶賛遠距離恋愛進行中だ。彼はまめに連絡をくれるし、会う度にプレゼントを準備するなどサプライズをしてくれる。ちょっと金遣いが荒いところが玉に瑕(きず)だけど、それでもいつも優しくて……。こんな恋愛は初めてだ。
今月のデートは、大阪の梅田の街並み散策の予定。毎回のことだけど、金欠気味という彼のために私が彼に会いに行く段取りになっている。実を言うと、今回はちょっと大事な話があるとかで内心ちょっとドキドキしたりもしているがそれはここだけのヒミツ。



そんなこんなで迎えたデート当日。彼との待ち合わせ場所である梅田スカイビルに向かうと、先に到着していた彼が私を見つけ駆け寄ってきた。

「ハディ、久しぶり!やっと会えたね。今月は仕事がハードだったから、ハディに会えるのだけを楽しみに仕事をがんばったよ」

「私もリャンに会えるのがうれしくて昨日の夜、あまり眠れなかったわ」

「じゃあ、そんなハディのために…はい!プレゼント。開けてみて?」



「わあ、ありがとう……あ、ネックレス?うれしい!さっそく着けてもいいかな?」

「喜んでくれてよかった!いいよ、僕が着けてあげるね」

—その夜、私は彼(リャン)からお金の相談を受けたのだった。

恋愛トラブルは各国共通で起きるもの

デートから一夜明け、仕事に向かう道中の私はいつも以上に気合いが入っていた。
「会社に着いたら工場長に残業できないか相談してみよう」そんなことを考えながら漕ぐ自転車のペダルは、心なしか重く、会社までの上り坂もいつもよりなんだか険しく感じた。

リャンからの相談は予想外のものだったけど、いつかそんな日が来るかもしれないと思っていたから、そう考えると思ったより早かったような気がしている。でも、こうして相談してくれるということは私を信頼してくれているという証拠だし、頼りにしてくれることは素直にうれしい。何より、彼の力になりたいと思う。

だから。
だから、きっと大丈夫。



朝礼後、工場長を呼び止め直談判してみると「ちょうど繁忙期に入るので、皆に1−2時間ほど残業をお願いしようと思っていた」と言われた。ホッとする私(正直に言えば無理だと思っていたから)。

そんな私の表情を見て、工場長に「何か、お金に困るような出来事でもあったのか」と聞かれてしまった。でも、「弟の大学進学に向け、母国への仕送りをちょっと多めにしたい」と言うと納得され、むしろ褒められ&応援され、ちょっぴり罪悪感で複雑な気持ちになった。

昼休み。
リャンからメッセージが入っていた。

『仕事はどう?』

たぶん、仕事じゃなくてお金の工面ができたかを知りたいのだろう…。わかってる、そんなこと。一瞬、浮かびそうになった答えを振り払い、顔文字をいっぱい入れて返事をする。

『明日から残業できることになったよ!お金のことは、私に任せて』

送信ボタンをタップするとすぐに既読がつき

『ハディ、愛してるよ。また来月会えるのを楽しみにしてる。僕はもうすぐ昼休みが終わるから、また夜に連絡するね』

と返事がきた。



深呼吸して目を閉じると、先日のデートで梅田スカイビルから見た大阪の景色が広がる。ポケットにはリャンからもらったネックレスが入っている。

ウジウジ考えている余裕はない!明日から残業も始まるし、午後の仕事が終わったらまっすぐ家に帰って早めに寝よう。スマホをバッグにしまい、私も午後の仕事に向け身支度を始めた。

うつ病との闘い

自身の健康状態の悪さに気付いたのはそれから3ヶ月がたったある日の朝だった。
ベッドから起き上がるのさえ辛く、とても仕事に行く気になれない。さすがに3日連続で体調不良なんて、会社の皆も心配して連絡をくれ、ゆりな先生も心配して今日の午後に私の寮に顔を見に来てくれることになった。ゆりな先生には簡単に事の次第はお話ししたつもりだけど、もっとちゃんと自分の気持ちに正直に相談しなければと思う。

このところの私は、自身の生活もままならず精神的に不安定な状態になっている。原因はわかってる……でも、彼のことは大好きだし、助けてあげたい。先週、病院で医師に告げられた病名はうつ病だった。病気のことは伏せて出社してみたけど仕事にならず、おまけに今週はまだ会社に行けてもいない。



すると、インターフォンが鳴り、ノブを回す音がして、ゆりな先生がスタスタと入ってきた。あぁ、そうだ。鍵をかけるのすら忘れていたみたい…。

「ハディさん、おはよう。ねえ、会社、お休みしようか…1ヶ月ぐらい?それで体調が戻らなかったら、母国のご実家にいったん帰ったらいい。私ね、リャンさんからも話を聞いてきたの。こういう関係になってしまったらもうダメ。ハディさん、あなたの人生が狂ってしまうわ」

涙がこぼれた。胸元にぽとぽと落ちた涙はパジャマに染み込み、灰色の輪が広がっていく。
ゆりな先生が肩をさすってくれた。—そう、本当はあの時わかってた。こういうのはダメだって。良くない関係だって。でも……。

声にならない言葉をゆりな先生が代弁してくれる。

「ハディさんは優しいから。でも、本当は自分でもわかってるんじゃない?リャンさんとは別れた方が良い。そうよね?」


こうして私はリャンとは別れ、仕事復帰のため病院に通うなどして療養に努めた。ありがたいことに、会社の友人や、ゆりな先生が親身になってくれたおかげで、1ヶ月の休職を経てすっかり体調も戻り、復職を果たした。



日本語で「恋は盲目」と言うらしい。
インドネシアにも似たようなことわざがあったような、なかったような…。技能実習生の私たちだけでなく、日本人の皆さんもどうか付き合う相手を選んで、自分自身をそして一度きりの人生を、大切に生きてほしいと思います!






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