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平気で嘘をつく?!ベトナム人特定技能外国人の話 前編
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件簿Vol.21

生活関連

2025.03.07

これから外国人材の雇用を予定している人もそうでない人も!!

異なる人種、文化、価値観に触れる時
― 外国人って、どんな人たちなんだろう
― どんなことに気をつけたらいいんだろう
― 日本人や日本の文化をどう思ってるんだろう
などなど、不安や疑問に思うこと、ありますよね。

この記事は、実際に起きた珍事を元に、外国人雇用の現場に携わる人々の戸惑いを描き

「外国人材の皆さんと、どんなふうにコミュニケートしたらよいの?」

のヒントが隠れる、異文化理解の橋渡しを目的としたノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件ファイルVol.21
平気で嘘をつく?!ベトナム人特定技能外国人の話 前編

ワタシ、伊能ゆりなは外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決、サポートする業務に携わる、いわゆるキャリアアドバイザー。日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。
実はこれまでもメンバーとともに珍事の解明に取り組み、全国を走り回っている(これまでの珍事はこちらからどうぞ)。

ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら私たちの仕事を紹介していきたいと思う。

同僚からのタレコミ

今回は、千葉の食品工場で働く特定技能外国人ファムさん、ベトナム人男性の話。



ある日、こちらの工場で働くメンバーの面談を行っていたときのこと。皆、仕事面も生活面も問題なく順調。このまま今日の定期巡回は終わるだろうと帰り支度をしていたその時、背後から私を呼ぶ声がした。振り返ると、グエンさんがドアの隙間からこちらの様子を伺っている。

「グエンさん、お疲れ様!もう全員、面談は終わったから入ってきていいですよ。どうしましたか?」

するとグエンさんは周囲をキョロキョロ確認し、誰も居ないのを確認すると室内に滑り込んできた。

「ゆりなさん。私が言ったは、言わないでください。ファムさん怒ると怖いですから。実は、ファムさんは会社のすぐ近くに住んでいる彼女の家から会社に行きます」



「え…?!まあ、でも、時にはそういうことあるかもしれないけど……」

「違います。いつも彼女の家から行きます。寮にはあまり帰ってこないです。それで、この前、偶然聞きましたが『交通費のお金があるから彼女とデートに行ける』と言ってました」

「ファムさんがその彼女の家から会社に通っているのはいつから?」

「3-4か月前からだったと思います。彼女の家から時々、寮まで自転車で帰ってきてます。それで、また出て行きます。ですから、会社に一緒に行かなくなりました」

「会社の方はご存知なのかしら?ほら、通勤中も何かあったら会社も通勤労災とかね、色々あるから…ね?」

「言ってないと思います。それで、交通費はもらってます。ちょっと自慢そうでした。会社の人に相談しようと思いましたが……」

なるほど、状況が読めてきた。
つまり、ファムさんは会社近くの彼女の家から通っているにもかかわらず、交通費は支給されている状況。しかも3-4か月も前からそれを会社に申告せずに、不正受給しているということだ。グエンさんは大ごとにならないよう、まずは私に相談してくれたのだろう。

これはどう考えても、非常にまずい。即刻対処しなければ…!

スッと退室していったグエンさんの背中を見送りながら、私はすぐさまファムさんがいるであろう休憩室へと走った。

交通費不正受給事件、勃発!

今、私の前にはファムさんが座っている。他の皆は、午後の仕事に向かったのでちょうど部屋に2人きり…。工場から機械音が響いている。

さて、現状を整理しよう。
彼が働く企業の交通費規程は、自転車通勤であれば月額1,200円、公共交通機関利用であれば定期代分の費用が支給されている。容疑者のファムさんは電車とバスで通勤をしていることになっており、月々の定期代29,480円を会社から受け取っている。しかし、先ほどファムさんの同僚であるグエンさんから「ファムさんは会社近くの彼女の家から通勤しており、交通費を不正受給している可能性がある」というタレコミがあった。

真偽のほどがわからないため、ファムさんを問い詰めてみると「定期券は買っている。電車も利用している。ただ、今日はちょうど彼女の家から出勤したので、その定期券が手元にない」と主張し、それ以上何を言うでもなく平然と私の顔を見つめてくるではないか。

この10分ほど一貫して態度を崩さないファムさんを前に思考を巡らせる私。
彼女の家に取りに帰らせることも考えたが、午後の仕事もあり、事実確認とはいえ企業さんにも迷惑はかけられない。…仕方ない。

「今日のところは、もういいです。定期券、帰れば家にあるんですよね?そしたら、帰宅してすぐに証拠写真を提示してください!今日中、絶対ですよ?」

こうして事情聴取は終了した。

━その夜、ファムさんからメッセージが届いた。

恥ずかしくて言えませんでしたが、節約のために定期を買わずに彼女の家から通勤していました。



「は、恥ずかしくて言えなかっただと???」

あんな態度を見せられて「あら、そうですか」なんて承服できるわけがない。ふざけるな…!
だが、私が怒って済む話ではなくなっている。3ヶ月で約9万円分の定期代を会社から不正に受け取っていたことが発覚したのだ。すぐに企業様に謝罪をしなければなるまい。

私は震える手で「場合によっては厳罰を受ける可能性もある。ただ、今すぐできることは、不正に受給した分のお金を準備して謝罪に行くこと」だと伝え、翌日、改めて企業様を訪問することにした。



━翌日。ファムさんと私は事情を説明し、企業様に謝罪した。約9万円が入った封筒を握りしめ、頭を下げるファムさん。どういう処分が下されるのかドキドキしていると、担当者さんがふーっと一息吐いて

「居住地が彼女の家でない限り通勤は発生するはずだから、支給された費用で定期券を買うこと。今回は返金を求めない。定期券を買ったら領収書とその定期券をあわせて見せるように」

と、その場で許してくださった。後にお話を伺ってみると「ファムさんをかばうつもりは一切ないが、こうしたことに国籍は関係ない。日本中どこにでも存在する事案で、さまざまな判決が出ているはず」と教えてくださった。確かに、ちょっと調べてみると就業規則に事細かに明記しておくことで交通費の不正受給が防げるといった内容のコラムがずらりと出てきた。

こうして企業様の寛大さに救われた私たち。これから気持ちを改め、仕事に精進するようにファムさんに伝え、今回の珍事は収束したのだった。

(追伸)
これで済んだかのように見えたファムさんの嘘つきぶり。残念ながら次回事件簿でも彼は登場することになる。





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