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ベトナムは冷蔵庫が普及してない? ━ベトナム人寮で食中毒騒ぎ、発生!
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件簿Vol.17

生活関連

2025.02.07

これから外国人材の雇用を予定している人もそうでない人も!!

異なる人種、文化、価値観に触れる時
― 外国人って、どんな人たちなんだろう
― どんなことに気をつけたらいいんだろう
― 日本人や日本の文化をどう思ってるんだろう
などなど、不安や疑問に思うこと、ありますよね。

この記事は、実際に起きた珍事を元に、外国人雇用の現場に携わる人々の戸惑いを描き

「外国人材の皆さんと、どんなふうにコミュニケートしたらよいの?」

のヒントが隠れる、異文化理解の橋渡しを目的としたノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件ファイルVol.17
ベトナムは冷蔵庫が普及してない? ━ベトナム人寮で食中毒騒ぎ、発生!

ワタシ、伊能ゆりなは外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決、サポートする業務に携わる、いわゆるキャリアアドバイザー。日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。 実はこれまでもメンバーとともに珍事の解明に取り組み、全国を走り回っている(これまでの珍事はこちらからどうぞ)。

ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら私たちの仕事を紹介していきたいと思う。

バインミーで食あたり?!

ある初夏の月曜日。出勤中の電車でメールチェックをしていると、群馬県の食品工場で働くリンさんからチャットが届いた。リンさんは、ベトナム人の特定技能外国人で春から日本で暮らしており、仕事もプライベートも楽しんでいると聞いていた。

「何か悩み事でもできたのかしら…?」

メッセージを開いてみると、その内容は『吐き気と腹痛が酷く仕事を休みたい』というものだった。このところ私の周りでも体調不良者が多い。

「最近、急に暑くなったし無理しちゃったのかなー」

会社の担当の方に電話するようになど返信の文面を打っていると、同じ部屋に住むティンさんとナンさんからも同様のメッセージが届いた。3人そろって、吐き気と腹痛があるようだ。嫌な予感がする。私は電車を降りるとすぐに詳しい状況を確認することにした。



リンさんに電話をかけてみると、ティンさんが代わりに出て状況を教えてくれた。リンさんは先ほどからトイレにこもりっきりになっていて、比較的ティンさんは症状軽め、リンさんとナンさんが重めの状況らしい。

どうやら3人は土曜日にベトナム料理店でバインミーをテイクアウトし、そのバインミーを食べた夜からずっと吐き気と腹痛が続いているということだった。

バインミーは、ベトナムの定番料理でパンに肉や野菜を挟んだサンドイッチのようなもの。どんな料理も等しく衛生状態が悪ければ食中毒の原因になってもおかしくないといえるが、サンドイッチは野菜の水分により傷みやすいと聞いたことがある。ましてや、調理する人がきちんと衛生面に気をつけてくれていないと、黄色ブドウ球菌やサルモネラなど食中毒の原因となる菌がパンや食材にベタベタと付着してしまう可能性もある。



私も医者ではないので、正しい判断ができるわけではないが、リンさん、ティンさん、ナンさんの症状が一致することから、3人とも食あたりしてしまったと思われる。

症状緩和のためには病院に行くしかないことを伝えると「お金がないから病院には行きたくない」「日本語が話せないから不安」「病院は怖い」と言い訳を並べ、とにかく休みたい旨だけ言い張ろうとする。

ただ、いずれにせよこのまま放置するわけにはいかない。
食品工場で働いている以上、食中毒に似た症状が出ている状態で出勤することは断じて許されない。もし、多少回復しても、自己判断で出勤すれば工場内で働く他のスタッフさんたちに伝染してしまう可能性もある。

私は電話での説得を諦め、彼女たちの住む寮へ向かうことにした。

料理の常温保存は危険!

寮に着き、インターホンを鳴らすとナンさんが出てきた。明らかに顔色が悪く、口元を手で押さえている。他の2人はベッドで苦悶の表情を浮かべ目を閉じていた。

ナンさんがふらふらとベッドにたどり着き、ぐったりと横になった。

「ゆりなさん、気分がすごく悪いです…お腹も痛い」

電話では軽症っぽかったティンさんも今はベッドの上。症状を訴える声も弱々しく、3人とも明らかに病院で診てもらった方がいい状態だった。

「3人とも!ほら、このままより、病院に行って薬をもらってこよう?整腸剤とか吐き気止めとか…何か飲んだら楽になると思うから。薬飲んだ方が、仕事復帰も早いよ。私も行くから。ね?ほら!」

すると、朝は懸命に通院を拒否していたティンさんがのろのろと身支度を始めた。リンさんもナンさんも、観念したようにティンさんに続く。



そうして3人を連れ、近くの病院で診てもらったところ、幸い、食あたりで嘔吐が収まればいつでも仕事復帰できるとの診断を受けた。

ホッとする私と、薬を待つ3人。
企業の担当の方には状況報告の電話を入れ、仕事復帰に際しては検便を提出することでOKしていただいた。



ひとまず、各方面、大ごとにならず安心したところで、寮で気になったことについて問うてみた。

「で、あなたたち、土曜日の夜ご飯はどうしたの?」

「家で食べました。お昼のバインミーはとてもお腹が空きました。夜は、炊いてあったごはんを炒めてチャーハンにして…あとは適当に作ってあったおかずを食べました」

リンさんが答える。

「3人とも?」

「はい、そうです」

「ってことは、バインミーじゃなくて、そのご飯に食あたりした可能性もあるわね?だって、この暑い時期に料理をテーブルに置きっぱなしにしてたじゃない?牛乳も見かけたし…。あと、炊飯器の中にご飯が残ってたけどさすがにあれは捨てるつもりよね?
まあ、要するに仮にクーラーをつけていて部屋が涼しかったとしても、夏場は小まめに冷蔵庫保存しないとダメよ」

「ベトナムでは冷蔵庫使いませんので……」



どうやらベトナムでは冷蔵庫の普及率がまだ高くなく、毎朝、その日の食糧を市場で買って食べているそうだ。朝ごはんに至っては外食が当たり前とのこと。
今回の一件を機に、料理の保存には気をつけてほしいが、これまでの習慣を変えるのはそう簡単なことではなさそうだ。



冷蔵保存する習慣のないベトナムからやってきた3人が、再び腹痛を訴える日がこないことを祈りたい。






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