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彼女に会いに行って、無断欠勤した技能実習生の話
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件簿Vol.15

生活関連

2025.01.24

これから外国人材の雇用を予定している人もそうでない人も!!

異なる人種、文化、価値観に触れる時
― 外国人って、どんな人たちなんだろう
― どんなことに気をつけたらいいんだろう
― 日本人や日本の文化をどう思ってるんだろう
などなど、不安や疑問に思うこと、ありますよね。

この記事は、実際に起きた珍事を元に、外国人雇用の現場に携わる人々の戸惑いを描き

「外国人材の皆さんと、どんなふうにコミュニケートしたらよいの?」

のヒントが隠れる、異文化理解の橋渡しを目的としたノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件ファイルVol.15
無断欠勤

ワタシ、伊能ゆりなは外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決、サポートする業務に携わる、いわゆるキャリアアドバイザー。日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。

実はこれまでもメンバーとともに珍事の解明に取り組み、全国を走り回っている(これまでの珍事はこちらからどうぞ)。

ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら私たちの仕事を紹介していきたいと思う。

彼女に会いたい

僕は、千葉の溶接工場で働くインドネシア人技能実習生イルハム。今日はクリスマス!日中は都内でデートし、夜はクリスマスディナーを楽しんで、これから彼女をホテルに送るところだ。彼女は僕と同じ技能実習生で、京都で働いている。彼女とは、日本の研修施設で仲良くなり、配属先が決まって離れ離れになったので、こうして会えることが何よりうれしい。

さて、約3か月ぶりの再会で今夜は随分と盛り上がってしまい、彼女をホテルに送り届けたのが22時50分。これから終電で千葉に帰らねばならないが、ここは上野駅に程近い池之端という場所。すぐそこに見える根津駅からではもう無理だが、上野駅まで走れば終電には間に合う。



地図を見る限り、上野公園を越えた先に上野駅がある。お昼に散歩したコースで行けば美術館と文化会館を抜けたすぐそこに改札があったはず…。

「15分あれば着くかな?まあ、ギリギリだしちょっと急ごう」

そう思案したのも束の間、上野公園の出入り口に向かうと門が閉まっており、23時~翌5時まで通り抜け不可となっていた。

「あっちゃー、そこまで予期してなかったや…!さて、どうしよう」

再び地図アプリに視線を落とすと、公園の外周をまわれば駅側に行けることがわかった。ぐずぐず考えていると、終電に間に合わない。慌てて大通りに出て、駅に向かってダッシュした。



しかし、改札にたどり着いたときには終電はとうに出てしまった後だった。コートの中は汗と湿気でびしょびしょ。このまま外をうろついていては風邪をひきかねないし、帰らないなら横になれる場所を探さねばなるまい。

ケータイ電話の電池残量も僅かとなっている。急ぎ近くで宿泊できそうなところを探し、どうにか見つけたネットカフェで1泊することにした。

「あ、明日、仕事だった…。まあ、でも今からじゃ帰れないんだし、しょうがない。帰って荷物を置いたらすぐ出勤しよう」

そんなことを考えながら今日、2人で撮った写真を眺めているといつの間にか眠ってしまった。

出勤してない?!

12月26日、午前10時30分。私、伊能ゆりなは千葉で特定技能外国人物件の工事の立ち合いを終え、帰路に就こうとしていた。この時期は、街中がせわしなく今日のこの工事もどうにか年内に終わらせられるようねじ込んでもらった案件だった。



「よかったー、これで無事に年越しできるわ」

ホッと安堵したところでケータイが鳴った。〇〇株式会社の方だ。とりあえず、出てみる。

「もしもし、ゆりなさんですか?〇〇株式会社の××です。急にすみません。あの…今日、イルハムさんが出社してないんですよ。みんなに聞いてみたら昨日は『東京で彼女とデートするんだ』って言ってたらしくて。でも、今日は出社のはずなんです…おかしいですね…?私のミスだったのかなと思ったんですが、やっぱりお休みは昨日だけ取られていて」

「なんですって?!すみません。それでは、私、今から寮に向かいます。ちょうど千葉にいるのでそんなに時間はかかりません。家で寝てるのかもしれません!」

「いえね、それが同じ寮の子たちがイルハムさんは帰ってきてないって言うんですよ。だから、もしかしたら行方不明とか、何か事件に巻き込まれているのかもしれないし、心配になってゆりなさんにお電話してみたんです」

「なるほど、状況、理解しました。それでは私も彼に連絡をしてみます。寮に着いたらまたご連絡しますので」



30分後。
寮に着き、急いで階段を駆け上がる。人気のないアパートは私の足音だけが響いている。

「イルハムさーん?いるなら出てくれるー?」

インターホンを鳴らし、ドアを叩いててみる。あちら側からは何の反応もない。そもそも、さっきから何度もイルハムさんに電話やメッセージをしているのだが、折り返しの連絡がこない。ただ、メッセージは既読になっており、行方不明とまではいかなさそうな気がしている。

さて、どうしようか。警察に電話するのはまだ早い気が……

すると、階下で物音がした。見下ろすと、イルハムさんが荷物を抱え、自転車置き場から意気揚々と出てきたではないか。



「イルハムさん!!!!」

階段を駆け下りると、まさかここにいるとは思ってなかったのだろう。私の顔を見てイルハムさんがビクッとする。

「ちょっと!イルハムさん、会社の方からも電話なかった?私も電話したしメッセージもした。ちゃんと、出るなり折り返すなりしなさい!!」

「あ……。はい。えへへ。すみません。昨日、電車に乗り遅れて今帰りました。これからすぐ会社に行きますから…」

「そういう問題じゃないでしょう?あなたがやっていることは『無断欠勤』よ?入社研修で、どんな理由があれ遅れたり休んだりするときには連絡をするように言ったじゃない」

「はい…。そうですね、そうでした。次からはそうします…はい…」

私をよけ歩き出そうとするイルハムさんを止め、再び彼の前に仁王立ちになる。

「次からじゃなく、最初からそうしなさい!会社の方も、同じ班のみんなも心配されてたわよ?こんなこと、二度と許されないからね」

「はい…。すみません」

「ここで問答しててもしょうがないわ。荷物を置いて支度をしたらすぐ出ましょう。私も会社に一緒に行くから!ご迷惑おかけしてしまったからしっかり謝罪するのよ?わかった?」

「はい…。すみません」

今度は二人で部屋に向かう。



イルハムさんたちのように研修施設で出会い、その後、全国に配属され遠距離恋愛になるパターンはけっこう多い。その後の動向は、技能実習生として3年~5年働き、特定技能へ移行するタイミングで同じ企業に転職したり、互いに近くの企業に転職したりといった具合だ。そんなわけで「彼氏または彼女と近い企業で働きたい」という転職理由を挙げる子たちが一定数いるし、それが叶わないうちは有給を取って会いに行くというのもよくある話なのである。

だが…。仕事に支障をきたすなど言語道断。今回はきつく叱り、翌日の出勤も私が確認しに来るということで企業の担当者さんにもお許しをいただいた。 これもライフサポートの一環。色恋沙汰で無断欠勤とは…。私も初めての経験だった。






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