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外国人社員寮にクレーム?!「あの家はかわいそう…」
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件簿Vol.14

生活関連

2025.01.17

これから外国人材の雇用を予定している人もそうでない人も!!

異なる人種、文化、価値観に触れる時
― 外国人って、どんな人たちなんだろう
― どんなことに気をつけたらいいんだろう
― 日本人や日本の文化をどう思ってるんだろう
などなど、不安や疑問に思うこと、ありますよね。

この記事は、実際に起きた珍事を元に、外国人雇用の現場に携わる人々の戸惑いを描き

「外国人材の皆さんと、どんなふうにコミュニケートしたらよいの?」

のヒントが隠れる、異文化理解の橋渡しを目的としたノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件ファイルVol.14
外国人社員寮にクレーム?!「あの家はかわいそう…」

ワタシ、伊能ゆりなは外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決、サポートする業務に携わる、いわゆるキャリアアドバイザー。日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。

実はこれまでもメンバーとともに珍事の解明に取り組み、全国を走り回っている(これまでの珍事はこちらからどうぞ)。

ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら私たちの仕事を紹介していきたいと思う。

外国人労働者の家探しは大変!

以前にもお話ししたが、外国人が住む物件を探すのは骨が折れる仕事だ。お察しの通り、外国人はマナー違反事案が多い。そもそも日本のマナーを知らない、いや、知っていても気にしていないことも多く、このような理由から外国人の入居を認めてくれる物件を探すのは想像以上に大変な作業だ。そんな中で、本人たちの要望を聞き入れるのは至難の業で「駅チカ」「エアコン完備」「築浅」「間取り(個室)」など、日本人同様、希望を言い出せばキリがない。



さて、ここからは東京のとある工場で働くベトナム人特定技能外国人Aさんたちの話だ。
技能実習生や特定技能外国人の皆さんの住まいは、企業様名義で借り上げする物件で生活に必要な大型家電、家具類も企業様負担で準備していただいている。時には、私たちが代理購入、設置をすることもあるが、簡単にいえば”めちゃくちゃ好待遇”な状況で生活を含む“日本での就労”が実現する。ただし、交通費は指定の駅から指定されたバス代しか支給されないので、指定の駅から通える範囲の物件を探すことになり、家賃上限も決まっている中で今回の事案は日本の首都、東京における事案である。



私たちが苦労して見つけた物件は

1.個室の部屋があるけど駅徒歩25分
2.駅徒歩10分だけど、立て続けの間取りになっている(奥の部屋に行くには手前の部屋を通らないといけない)

いずれかの選択となることを伝えると、Aさんたちは1の物件を希望した。

こうして無事に入居物件も決まり、就労が始まり……。初めての面談を迎えたその日、事件は勃発した。

家に不満爆発!クレームの嵐

この日の面談は会社の会議室をお借りして、担当者の方にも話を伺い進めることになっていた。開始までまだ15分少々時間があったため、手元の資料に目を通していると急に、しかも乱暴にドアが開く音がして、Aさんたちが飛び込んできた。



「ゆりなさん、ちょっといいですか!私たち、家が遠いです。こんな寒い中、30分もかけて駅まで歩かせるつもりですか!!!」

突然の、いかにも『私たちは怒っています』という言動に、やや動揺していると、彼女たちに続いて入室してきた同郷の特定技能外国人のみんなも口々に

あの家は遠すぎるでしょう。あんな条件の悪い所から通わせるなんてかわいそうじゃありませんか。どういうつもりですか」

と私に詰め寄ってきた。

総勢12人のベトナム人の軍団に囲まれる私…。私はそんな悪いことをしているのか?いや、苦労して見つけた条件に合う住まい。しかも、ここ東京であんな良い物件に住まわせてもらえるなんて、ラッキー以外の何物でもない。

━深呼吸し、携帯電話の履歴を探す。あった…!



「皆さん、落ち着いて、静かにしてください。いいですか?2人には、ちゃんと事前に2パターンの家の候補を提示しました。遠い方の物件を選んだのは自分たちではないですか?それを人のせいにするというのは、筋が通りません。ルールを守っていないのはどちらでしょう?その要件が記された雇用条件書にサインもしたでしょう?」

一息に言って、1カ月前に部屋選びの際にやりとりしたメッセージを証拠として2人に突きつけた。ざわざわした空気がすっと静まり、2人に視線が集まる。

「あのね、特定技能外国人として日本で働いている人たちも、さまざまな環境で工夫して過ごしていますよ。Aさんたちは、自転車を買うなどして会社に通ってはどうですか?」

「自転車で通っても距離がありますし、寒いです。私たちが風邪をひいたらどうしますか」

「それは、寒くないような格好をしたらいいんです。防寒着が売ってあるでしょう?そもそも、交通費の支給要件は、日本人の社員の皆さんも同じです。会社の就業規則の中でみな、過ごしています。誰かを特別扱いすることなんてできません。ちなみに、あなたたちが住んでいる家は家賃12万円の部屋です。それを3万円の負担で住まわせてもらっているんですよ。普通なら『負担してくれてありがとう』と言うべきところですよ?」

「………。」

さすがに、本人たちも周りのメンバーも無言になった。時計を見ると15時を回ろうとしている。

「じゃあ、この話はここまで。もうすぐ担当の佐藤さんがいらっしゃると思うので、Aさんだけ残ってもらって。あとの人は休憩時間が終わるんじゃない?早く持ち場に戻りましょう」

こうして、その場は丸く収まったのだった。技能実習生や特定技能外国人のサポートは『優しく&手厚く』を基本としている。でも、わがままに対しては許さないという毅然とした態度、対処が必要だ



このような問題が起きても対処できるよう、入居時に社宅誓約書にサインさせること、やり取りの証拠を残すこと(チャットやメッセージの履歴を残しておく)は徹底しておきたいと改めて誓った出来事だった。






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ストーリー中のキャリアアドバイザー青山智香がおこなう、寮の巡回を含むさまざまなサポートは【LifeSupport(外国人生活支援サービス)】によるもの。

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