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クレジットカードを友人に貸したら…
キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件簿Vol.13

生活関連

2025.01.10

これから外国人材の雇用を予定している人もそうでない人も!!

異なる人種、文化、価値観に触れる時
― 外国人って、どんな人たちなんだろう
― どんなことに気をつけたらいいんだろう
― 日本人や日本の文化をどう思ってるんだろう
などなど、不安や疑問に思うこと、ありますよね。

この記事は、実際に起きた珍事を元に、外国人雇用の現場に携わる人々の戸惑いを描き

「外国人材の皆さんと、どんなふうにコミュニケートしたらよいの?」

のヒントが隠れる、異文化理解の橋渡しを目的としたノンフィクションストーリーです。

キャリアアドバイザー伊能ゆりなの事件ファイルVol.13
クレジットカードを友人に貸したら…

私、伊能ゆりなは外国人材を雇用する企業や雇用される側の外国人が抱える課題を解決、サポートする業務に携わる、いわゆるキャリアアドバイザー。日本で働きたいと願うひとりでも多くの海外の方に、負担のないクリーンな就職環境を提供できるよう日々、さまざまな業務にあたっている。

実はこれまでもメンバーとともに珍事の解明に取り組み、全国を走り回っている(これまでの珍事はこちら)からどうぞ)。

ひとえに
「外国人雇用の現場は予想だにせぬ出来事の連続である」
今日はそうした珍事をつまびらかにしながら私たちの仕事を紹介していきたいと思う。

クレジットカードはお金と同じ

私はインドネシア人技能実習生のアディ。もうすぐ来日して3年が経とうとしている。真面目に働き、家族への送金をしながら無駄遣いもせず慎ましく生活してきたので自慢じゃないが多少、生活も潤い、貯金もできてきた。

実は、日本は想像以上に重税国で、職場の方々に聞いてみるとありとあらゆる物事に税金が課されており、さらに近年は物価上昇と生活コストが上がっていて「生活していくのでやっと」なんて話を耳にする。働く私たちももちろん所得税や住民税が引かれているのだが、日本で働くことのメリットは、もはや「日本文化が好きで、どこへ行っても一通りインフラが整っていて住みやすいコト」以外、なくなってきているかもしれない。



話を戻そう。
私は最近、Facebookを通じて仲良くなり、休日に時々一緒に出かける友人ができた。彼の名は、ラマダン。生まれ育った場所も近く、趣味だけでなく故郷の話で盛り上がると、つい時間を忘れて話し込んでしまう。



ある日、カフェでお茶した日のこと。タイミング悪く持ち合わせがなくクレジットカードでの支払いがOKか店員さんに確認していると

「アディさん、クレジットカード持ってるの?僕も欲しいんだけど、なかなか銀行に行く時間がなくて…。ねえ、お金は今ここで渡すからそのクレジットカード、貸してくれない?」

ラマダンさんは財布から5000円札を取り出し、押し付けてくる。

何に使うか聞くと、ちょうどインターネット通販で来週からのSALEで欲しい商品があるので購入したいが、クレジットカード以外の決済方法がなく、近くの日用品店には同じものがないため、この後ちょっと遠出して探す予定だったとのこと。今日、これから帰宅して、となるとすっかり夜になっている。まあ、本人が構わないのであればいいのだが、今日はそもそも僕の予定に合わせてもらったところもある…。

「これこれ!このサイズのが欲しいんだけど近くになくてさ。SALEで買えば半額だからと思いつつ、隣町の大型日用雑貨店だったらもしかしたらあるかもって、この後、帰ってから行こうと思ってたんだよ!」

…なんだか断りづらい雰囲気になってきた。少なくとも僕は日頃、クレジットカードを使うことはない。あくまでも、いざというときのお守りのつもりで持ち歩いている。



「じゃあ、来週、その買い物が終わったら都合いい日に僕の会社か家に持ってきてくれる?時間次第でどちらかに来てくれたら大丈夫だから」

「もちろん!ありがとう、助かるよ」

金の切れ目は縁の切れ目?

こうしてラマダンさんと別れてから1カ月が経った。その間、何度かチャンスはあったのだが、僕が風邪をひいていたり逆にラマダンさんが風邪をひいていたりして、タイミングを逃していた。

そんなある日、通販サイトで防寒着を購入しようとしたところ、クレジットカードが決済できなくなっていた。カードの登録情報は変わってないし、上限額に達するほどの買い物をした覚えもない。

「おかしいぞ」

慌てて、カード会社が設けているサイトにいってみる。やはりカード自体は生きているようだ。利用履歴を見てみると、自分が買った覚えのないものがずらりと並んでいた。これは、つまり…。



「ラマダンさんだ!」

すぐさまラマダンさんに電話してみるが、コールが鳴るばかりで一向につながらない。先月のあの日以降、生活用品や食料品、高額商品まで購入されている。ちゃっかり、住所も登録され便利に利用されていた。つまり、欲しかった物が無事に購入でき、そのまま便利に使われていたと推測される。

警察か、まずはクレジットカード会社か?日本語はそこまで得意じゃないんだけど…

どうしたものか思案していると、キャリアアドバイザーのゆりなさんの顔が浮かんだ。きっと、怒られるに違いない。でも、今この状況で頼れるのは彼女ぐらいしかいない。

ゆりなさんに電話してみる。

案の定「あんなに金銭の貸し借りはダメっていったでしょう?」と、まるで母のような口調でまくし立ててくる。

「ごめんなさい。ラマダンさん、困ってたし、その時はお金預かったから安心して…」

「いやいやいや!だから…もう、言わんこっちゃない!!そんな言い訳が通用するわけがないでしょうよ。で、その、ラマダンさんとは連絡とれたの?」

「いえ、まだです。来週、会う予定もあるしなんとかなるかって…」

金銭の貸し借りは、トラブルになりやすいの。生活にも直結するでしょう?だから入社時や面談の度に口うるさく言うの!」

とにもかくにも、ゆりなさんがカード会社に電話してくれカードの使用中止と、不正利用の旨を伝えてくれた。それから、明日、ゆりなさんがこちらに来て、一緒に警察に届ける手続きをしてくれることになった。



日本人の皆さんも、友人、知人との金銭の貸し借りは十分に注意…いや、トラブルの元になるので“金銭の貸し借りはしない”ようにしましょう。



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