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技能実習生が妊娠したら?
受け入れ側が取るべき適切な対応とは

知識

2021.11.12

途上国の経済発展を目的とした「人づくり」に貢献するとして、日本では外国人技能実習制度というものが発足されています。国を超えて社会や経済の結び付きを深める魅力的な制度でもありますが、日本滞在中のトラブルで悩まされる技能実習生が多くいます。

その中でも、近年、技能実習生の妊娠・出産によるトラブルが取り上げられています。2019年1月には神奈川で、2020年11月には熊本と広島で、技能実習生が出産した乳児を遺体遺棄し逮捕されるなど、痛ましい事件が起きました。

このような技能実習生の共通点は、妊娠が原因で母国に帰国させられることに恐れ、誰にも相談できずに孤立してしまうことです。その中には、日本で稼いだ収入を母国に仕送りしている人もいるため、途中で帰国させられることは避けたいと考え、結果的にひとりで出産することに至るのです。 日本政府側も正しい認識を持ってもらうために、注意を呼びかけていますが、なかなか周知されていないのが課題となっています。 今回は、技能実習生が妊娠した場合に、適用される制度や対応について説明していきます。

CONTENS

  1. 1.法律上の定め
  2. 2.受け入れ側が取るべき対応
  3. 3.技能実習生本人が行うべき対応
  4. 4.まとめ

1.法律上の定め

本人の誤った認識だけではなく、技能実習生という立場を理由に、中絶や帰国を迫るなどして、不当な扱いをする事業者がいることも問題視されています。

しかし、日本の法律上では、妊娠したことを理由に事業者が技能実習生を解雇することはできないとされています。労働者が性別による差別を受けることを禁じた男女機会均等法は、日本で働く技能実習生に対しても適用されます。

参考:厚生労働省 雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために

また、技能実習生が妊娠した場合、以下の権利が認められています。
・妊娠中または出産後1年以内の女性実習生は、時間外労働(休日労働・深夜労働含む)の免除を求めることができる
・妊娠中は、体に付加のかかる作業から、他の軽作業へ変更を求めることができる
・本人の希望により、産前・産後休暇を取得できる(出産前6週間・出産日の翌日から8週間)
・出産後1年に満たない子を育てる女性実習生は、育児時間を取得できる(1日2回それぞれ少なくとも30分)

・母性健康管理の目的で、健康診断を受けるための時間を確保することができる

参考:技能実習生手帳 妊娠・出産した場合に認められる主な権利

2.受け入れ側が取るべき対応

受け入れ側は、このような技能実習生の権利や適用される制度を事前に理解しておくことが大切です。
また、入国後講習などを通して、技能実習生に対して婚姻・妊娠・出産などの理由で解雇されることはないと周知することも重要。これが技能実習生の安心に繋がります。
さらに、外国人技能実習機構の母国語相談窓口や、居住する地域の相談窓口もあります。

相談窓口参考:外国人技能実習機構 母国語相談
       一般社団法人 自治体国際化協会 多言語生活相談窓口一覧
       外国人生活支援ポータルサイト 地域における相談窓口一覧

受け入れ側が技能実習生の妊娠を知った場合には、技能実習生の保健指導や生活状況を把握するなど、積極的なサポートを行うべきです。また、雇用者は、妊娠した技能実習生が定期的に健康診断を受けられるように労働時間を調整し、医療機関等から受けた指導を遵守することも重要です。

3.技能実習生本人が行うべき対応

妊娠した技能実習生は、日本人と同様に妊娠・出産の支援を受ける権利を持っています。居住している市町村に妊娠の届出を行い、母子健康手帳や妊婦健康診査の補助券等の交付をしてもらいます。その際に、母子健康相談員等の専門職員に妊娠や出産に関する悩みを相談することも可能。

また、定期的に妊婦健康診断を受診しながら、上記のような各自治体の無料相談サービスや、外国人生活支援のための相談窓口で必要なサポートを受けることもできます。

技能実習生として日本に在留する外国人は、国民健康保険または受け入れ先の健康保険などの公的医療保険への加入が必要です。日本では公的医療保険に加入している被保険者・被扶養者には、42万円の出産育児一時金の支給されるため、妊娠した技能実習生も適用対象となります。このような国が支援している制度を活用して、金銭的援助を得ることも把握しておくと良いでしょう。

妊娠・出産に関する必要な手続きだけではなく、こうした国の支援制度について技能実習生本人に知ってもらうことも大切です。

4.まとめ

日本では、技能実習生の妊娠や出産による事件が増えてきていますが、適切な処置を行うことで事前にトラブルを防ぐことができます。

受け入れ側が技能実習生に対して、妊娠した場合の対応や制度について説明を行い、定期的な面談の取り入れや窓口への誘導を行うことが重要です。

受け入れ側と技能実習生双方が安心して働いていける環境を作って行きましょう。