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年間9千人以上も!技能実習生の失踪を防ぐには

技能実習生の失踪は社会的な大きな問題

平成30年には9千人超え!技能実習生失踪の現実

技能実習生として我が国にやってきた外国人が、当初の予定通りしっかりと技術を身につけて母国に帰り、その技術を国の発展に活かしてくれていれば雇用主としても日本国としてもそんなに嬉しいことはありませんが、実際には一定の割合で技能実習生が「失踪」してしまっているのが現状です。失踪した外国人は不法滞在になったり、ひどい場合には犯罪に手を染めるケースもあるので、外国人労働者の失踪は今や大きな社会問題で、度々国会でも取り上げられるています。

出入国在留管理庁が公開している下記のグラフをご覧ください。これを見ると、毎年2%前後の技能実習生が失踪していることが分かります。技能実習生の人数自体が年々増加しているため、平成26年には4,847人だった失踪者が平成30年には9,052人にまで増えているのです。

参考:http://www.moj.go.jp/content/001311268.pdf

技能実習生の失踪する2つの大きな原因

技能実習生が失踪する大きな原因は、以下の二つであると出入国在留管理庁は分析しています。

1)賃金の未払いや過剰労働など、実習実施者側の不適正な取り扱い 2)入国時に支払った費用の回収など、実習生側の経済的な事情

それぞれを詳しく見ていきます。

賃金未払いなど実習実施側の不適正な取り扱い

これは、以下のように実習実施者側に問題があり、労働環境に耐えかねた技能実習生が失踪してしまうというケースです。

  • 実習実施者側がきちんと契約した賃金を払わなかった
  • 賃金の未払いが続いている
  • 過剰な残業を強いている
  • 職場でセクハラやパワハラが横行しているなど

こういった「実習実施者側の不適切な対応」が大きな問題となり、平成29年11月には施行された「技能実習法」の下、外国人技能実習機構による適正化に向けた様々な取り組みが行われています。

  • 技能実習計画の認定制
  • 監理団体の許可制
  • 定期的な実地検査
  • 母国語相談体制の充実
  • 二国間取決めによる送り出しの適正化
  • 違約金の定めなどの不適正な契約を認知した場合は,監理 団体の許可を取り消し,送り出し国政府に通報するなど厳正に対処

このように、実習実施側の監視は年々厳しくなり、技能実習生に不利益が起きないよう、ひいては失踪に繋がらないよう国を挙げて制度を整えているのです。

初めて来日し多くのことを学んでいる実習生は、私たちが考えている以上に不安やストレスを抱えています。そういった「メンタルのケア」も非常に重要であることを忘れないようにしましょう。

入国時に支払った費用の回収など、実習生側の経済的な事情

日本に技能実習生を送り出している国のいくつかには、「技能実習生を日本に行かせる前に多額の借金を負わせる」悪徳ブローカーが多数存在することが知られています。

「条件の良い仕事を日本で紹介するよ」

「倍率が高い技能実習だけど自分のコネで通してあげる」

など甘い言葉をささやき、気づいたら来日前に100万以上の借金を負わされているというケースが多発しているのです。こういった悪徳ブローカーから実習生を守ろうと、日本政府も様々な手を打っていますが、2021年段階ではまだ数多くのブローカーが存在しています。

そのため実習生は普通の技能実習の給与ではとても借金が返済できないので、もっと割の良い仕事や犯罪に近い高額報酬を得られる仕事に移るために失踪してしまうのです。

こういった場合の失踪は、実習実施者側の落ち度ではないものの「失踪者を出した事業社」ということでペナルティを課せられる可能性は十分あります。日頃から実習生とよく話すなど精神的なケアを行い、悩みを抱えていないか、しっかりとフォローすることを心がけましょう。

技能実習生が失踪した際の雇用主のペナルティとは

2019年4月より「特定技能ビザ」がスタートし、優秀な技能実習生をしっかりと雇用できる仕組みが生まれ、人手不足に悩む業界では大きな期待と注目を集めています。技能実習2号を良好に修了した方は無試験で特定技能1号に移行できるのですが、受け入れ機関が失踪者を出してしまった場合、特定技能の外国人の受け入れができなくなる可能性があります。これは、技能実習生に数年間、しっかり技術を教えて「少しでも長くいてほしい」と考える企業にとっては大きな痛手です。

決して自分の事業者から失踪者を出さないよう、技能実習生の環境の改善を常に意識しましょう。

技能実習生の失踪を防ぐためにできること

不適切な監理団体・送り出し機関を排除するための取り組み

失踪者を出した監理団体や送り出し機関は、悪徳ブローカーと繋がっていたり、あるいは悪徳ブローカーそのものという可能性もあります。そのため失踪者を出した場合には技能実習生の新規受け入れを停止するなどして、問題のある機関は関わらせないような処置を取っています。

また、相手国の悪徳ブローカーを排除するため、二国間、つまり政府と政府で取締りの強化も実施しています。

実習中の技能実習生を失踪させないための取り組み

実際に実習を始めてから環境の悪さで失踪することが無いよう、失踪者を出した事業所には様々なペナルティを与えたり、実習生に細かな聞き取り調査を行なうなどして原因をしっかりと探っています。

  • 失踪技能実習生を雇用した企業名の公表
  • 特定技能の受け入れ不可の可能性
  • 技能実習生から処遇状況(賃金の支払い状況や人権侵害の有無、職場環境など)のヒアリング
「一年に一万人近い技能実習生が失踪している」というのは国会でも度々取り上げられるほど、日本国内の大きな問題の一つとなっています。「悪徳ブローカーによる多額の借金」「実習受け入れ企業の待遇の悪さ」が主な原因とされており、前者については国がそのような団体を排除すべく様々な法律の強化を行なっています。
実習実施企業としてできることは「給料の未払いやパワハラ、様々な差別などで技能実習生を追い詰め、失踪せざるを得ない状況を作らないこと」に限ります。技能実習生は今や、労働不足に悩む日本社会にとって欠かすことのできない大切な存在です。是非とも技能実習生に対して胸を張れるようなホワイト企業をぜひ目指してください。

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